記憶が混乱する家族とカラーテレビとPCの物語
2006年6月23日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。……ハイ、生まれたときにはもう、カラーテレビが自宅にありました。きっと近い将来、「生まれたときからPC(もしくはケータイ)があった人は分からないだろうが……」というコラムを、私も書くことになるのだろうなあ。
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若いITエンジニアにはよく分からない話かもしれない。生まれたときにはもうカラーテレビが自宅にあっただろうから。しかし、ぼくよりも年齢が上の人であれば、カラーテレビが自宅に来た日を覚えている人も多いに違いない。
日本におけるカラーテレビの普及率は、1970年でまだ26.3%だった。しかし、1971年には42.3%になる。逆に1969年では13.9%。1968年に至っては5.4%に過ぎない(経済企画庁の消費動向調査による)。この数年だけを見ても、カラーテレビが急速に普及していった過程がよく分かる。
ぼくの実家にカラーテレビが来たのは1968年だ。ただし父親は、そのときのテレビは一時的に知人から借りたものだと強く主張。購入したのは翌1969年という。それに対して母親は、カラーテレビを購入したのは1970年代に入ってからという記憶を披露。そしてぼくは、そのときの(1968年に来た)テレビがその後もずっとあったと主張した。が、当時3歳の記憶である。誰も同意してくれない。
話変わって10年ほど前、コンピュータ業界(当時はまだIT業界といういい方はしていなかったと思う)の記者会見でよく使われたのが、カラーテレビの普及速度との比較だ。カラーテレビの普及率は1995年で98.9%。カラーテレビの普及速度よりもPCの普及速度の方が早くなるといった論旨だったと記憶している。
そして話は戻り、実家のカラーテレビ論争は結局結論が出ないまま。そんな実家にもいまや大型薄型テレビが鎮座する。父親は、そんなに余命がないのだから「生きているうちに大画面で見たい」といって、衝動買い。
(@IT情報マネジメント 編集部 大内隆良)