禁煙、という名の減煙
2005年7月20日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。エンジニアライフ担当(岑)の隣のデスクに座る柳澤さん。2008年10月現在、たばこは1日20本だそうですよ。「やめらんねーんだよ……」とぼやいています。
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「17時00分、この1本を最後に禁煙」。去年のスケジュール帳を見ると、2004年8月10日の欄にこう書いてある。この日、私は禁煙することを宣言したのである。それまでは1日に30~40本吸うスモーカーだった。
禁煙の理由を挙げるとすれば、夜中にたばこがなくなったときの恐怖を感じたくないということくらいだろうか。でも、だからといって本気でたばこをやめるつもりはなかった。
それなのに禁煙を始めたのは、後輩のひと言がきっかけだった。後輩が私に「『禁煙セラピー』という本を読んでたばこをやめることにしました」と話してくれたのだ。
本を読んでたばこをやめることができれば苦労はない、と馬鹿にしてはいたが、ほかの友人もこの本で禁煙を始めたと聞いていた。どうしてその本を読むとたばこをやめようと思うのか、それが知りたいと思い、読んでみることにした。
本を読み終えたとき、喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら最後の1本を吸った。スケジュール帳に「17時00分、この1本を最後に禁煙」と書いた。たばこの無意味さが書かれているこの本に、すっかり影響されていた。われながら単純である。
軽い気持ちで始めたこの禁煙は、あっさりと失敗に終わった。禁煙期間3カ月。だがいままで、私は禁煙の失敗を認めていなかった。たばこを再び吸い始めたとはいえ、それは食事をするときか、友人とお酒を飲むときに限っていたからだ。
仕事中には吸わない、自分では買わない、これを私は禁煙の定義にしていた。だからまだ禁煙中だということにしていたのだ。しかしこれでは禁煙でなく、減煙である。
もうたばこはやめようという気持ちはある。もう一度『禁煙セラピー』を読み直すか、本気でたばこをやめる理由を見つけるか。40本吸っていたころに比べれば体調も良いし、好きなサッカーをしていても苦しくない。これだけでもたばこをやめる理由として十分なのだが。いつまでこの迷いが続くのか……。
(人財開発部 柳澤浩嗣)