図書室での攻防と猫マッサージ
2005年7月13日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。元エンジニアである編集部の長谷川さんのデスクの上は、猫の写真でいっぱいです。
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わたしは異様に本好きの子どもでした。幼稚園では絵本ばかり読んでいて、先生によく外で遊びなさいと追い出されていました。眠る前に親に本を読み聞かせてもらっていると、速度の遅さにイライラし、結局本を奪って読んでいたものです。
小学校の図書室はパラダイスに思えました。しかし、本は一度に1冊しか借りられなかったのです。それでは借りた日のうちに読み終わってしまいます。仕方なく、閉室後や開室前の図書室に忍び込み、こっそり本を取り換えていました。幸いにもそれがばれたことはありませんでしたが、いまは懐かしい「帰りの会」で、図書係に「本を1日で返すのはやめてください」と注意されたことがありました。何がいけなかったんでしょう?
なぜこんなことを話すかというと、先週末に友人と飲みに行った際、好きなことと仕事の関係について考えさせられることがあったからです。
会った友人たちは偶然にも、2人とも十数年勤めた会社を6月で退職し、1人は夢に向かって勉強中、もう1人も留学を控えています。キャリアが長いこともあり、辞めてしまうとは誰も思わず、それぞれ周囲の人たちにびっくりされたそうです(わたしもびっくりしました)。
勉強中の友人は、以前の会社の先輩であり、わたしの「猫好き仲間」でもあります。そんな彼女の目指す職業は何と、犬猫のマッサージ師だそうです。
「転職を意識して、はじめはお金を稼ぐことしか考えていなかった。でも、いろいろな人に会って話を聞くうちに、それだけじゃだめだ、自分の好きなことをもう一度考えようって思ったの」。すぐにお金になるかどうかは分からないけれど、しばらくは何とでも暮らしていけるから大丈夫。そういって笑う彼女、かっこいい……と思ってしまいました。
わたし自身も1月に、未経験の編集者を志して転職をしました。前職はエンジニアだったのでまったくのキャリアチェンジです。転職時には特に意識しませんでしたが、その選択には小さいころからの本好きも確かに影響していると思います。
「好きなことは仕事にはならない」「好きなことは仕事と別に楽しむべき」という話もよく耳にしますが、やはりわたしたちには、知らず知らず自分の好きなことに吸い寄せられる傾向もあるのかもしれません。
(@IT自分戦略研究所編集部 長谷川玲奈)