直球? 変化球?
2005年7月27日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。当時、人財開発部にいた大杉さんの「チームプレー」の話。これも「コミュニケーション能力」、ということですかね。
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わたしが社会人としてまだひよっこだったころの恥ずかしい話です。
頼んだ仕事をやらない同僚に毎日ガミガミ怒っていたのですが、ある日とうとう衝突をしたのです。気の強いわたしは謝るどころか、仕事をやらないあなたが間違っていて、わたしがいっていることは正しいというような文句をいった覚えがあります。
腹立たしい気持ちを抱えて席に戻ると、上司からこんなことをいわれました。
「お前はへなちょこなストレートしか投げられないピッチャーなんだよ。直球勝負をしても簡単に打たれるんだから、変化球を投げたり、時には打たせて取ることも覚えなきゃだめだ。お前が直球を投げることを目的としていたんじゃ、点を入れられるばかりでチームは勝てないぞ。目的はチームを勝利に導くことだろう? それともう1つ、野球も仕事もチームプレーだ。1人でやってるわけじゃないってことを忘れるな」
そういわれても怒りの収まらないわたしはまだ「そうはいったってあの人が仕事をしてくれないと、わたしの仕事が進まない」と恥ずかしながら心の中で思っていたのです。
それからしばらくして、同じような衝突をしている同僚を目の当たりにしたとき、自分のことはポーンと棚に上げ「あぁ、目的を見失っちゃってるな」という言葉が頭に浮かびました。
本当に身勝手で都合の良いわたしですが、「協力してもらわなければ仕事は進まないのだから、気持ち良く協力してもらえる方がいいな」と思えるようになったのはそれからでした。人のふり見てわがふり直せとは、まさにこのことです。
その後はコミュニケーションをよく取るようになり、仕事もうまく進み、気付けばガミガミ怒ることもなくなっていました。同僚に気持ち良く仕事を引き受けてもらおうとしたことで、わたし自身も気持ち良く仕事ができるようになっていたのですね。
いまではわたしにもたくさんの後輩ができました。時には上司からいわれた言葉を後輩に伝授することもあります。「やっぱり大人ですね」と目をキラキラさせているかわいい後輩は、それが上司の受け売りで、わたしがまだまだ大人ではないことを知りません。だって2005年下期の目標は、「嫌い」ではなく「好きではない」というように心掛ける! ですもの。
(ターゲティング・メディア事業部 大杉文)