夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

コボラーからITコンサルタントへ(9) 転勤5回目:IT業界からWeb業界へ

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 エンジニアライフをご覧の皆さま、こんにちは!

 本業はITコンサルタント、副業は産業カウンセラー。

 TKT48プロデューサー&SE女子部部長の奥田美和です。

 

 IT業界でSEをやっていた女性が、妊娠出産でIT業界を去った後、在宅でもできると人気のWeb業界の仕事。そのWeb業界の仕事で、初めて「能力の限界」を知ることになりました。SEがデザインすると、何でもまっすぐに並べたくなるんですよね(笑)

 

 それでは、前回の「コボラーからITコンサルタントへ(8) 転勤5回目:PMデビュー!」の続きです。

 

■IT業界よりも過酷な、Web業界

 IT業界は過酷だと言われていますが、私が1~2年の長期案件ばかり携わってきたせいか、Web制作会社での日々は慌ただしく、Web業界の方が過酷だと思いました。

 元々、コーディング(デザイナーさんが作った画像を切り抜いて、htmlやcssでWebサイトを作り上げていくこと)は外注していたそうで、今回内製化するために初めてコーダーを採用したとのこと。

 派遣会社の営業さんの営業トークにより、本格的なWebサイト制作は未経験ながら採用されてしまったので、最初は本当に大変でした。

 

 デザイナーさんからPhotoshop(写真を加工するソフト)で作成されたファイルをもらっても、一度にスライス(切り抜き)する方法がわからないというダメっぷり。

 WordPressの設定は簡単にできたけれど、資料請求ページをPHPで作ってと言われ、Google先生に聞きながら(=Googleで検索しながら)どこかのWebサイトの例題を元に作るというダメっぷり。

 

 Movable Typeのブログを2日で作ってと言われ、頭に10円玉ハゲができるのじゃないかというくらい悩みながら、どうにか作りました。

 当時、jQueryというWebサイトに簡単に色々な機能を組み込めるJavaScriptライブラリが登場したので、それを組み込んでという。これもGoogle先生に聞きながら、どうにか組み込みました。

 

 「SEだから、できるでしょう?」

 その言葉が、プレッシャーでした。

 

 この時、悟ったんです。

 ――今まで1人で派遣されても何とかやってこれたのは、新人時代にしっかり教育してもらったからだ。自分にWeb制作の実務レベルのスキルがないのに、周囲に聞く事もできず(周りはディレクター&デザイナーばかりでコーディングに詳しい人はいなかったので)、頼れるのはGoogle先生だけという状況が、こんなに苦しいとは。

 

 今では当たり前のWordPressも、当時は日本で流行り始めたばかり。

 PHPに、Movable Typeに、jQueryと、当時流行り始めたばかりの最新技術に触れることができたのに、仕事が辛く感じました。

 

 そして、もう一つ悟ったことがありました。

 ――Webサイトという表面的なもの(広報PRツール)のコーディングより、顧客と直接話して悩みを聞いて業務分析し、業務システムという内面的なもの(会社のコア部分に繋がるもの)の設計書を書くことに興味があるのだ、と。

 

 大学SE時代の経験のおかげで、すっかりプログラマーではなくSEになっていたのです。

 

■残された選択肢は、ただ一つ

 転職活動の最低条件として「最低でも7か月は続けて、引継マニュアルを作ってから辞める」と決めています。元々、夫の転勤辞令がいつ出るかわからないので、最初の1か月で慣れて、2か月目からは引継マニュアルを作り、半年目からは社員や協力会社さんに教える……という仕事の仕方をしてきました。

 

 Web制作の仕事が増えて、コーダーがもう1人増えるということで、1つの仕事をシェアするようになりました。私が月・水出勤、彼女が火・木・金出勤、という感じです。引継マニュアルを作っていたおかげで、ワークシェアが始まってもすんなり仕事ができました。

 彼女はWeb業界出身だったので楽々と仕事をこなし、私にはお手上げな部分は彼女にお願いしました。

 

 さて、ここからIT業界にどうやって戻れるか。

 

 PHPプログラマーなど、Webシステム開発の仕事ならたくさんある。

 でも、業務分析や設計がしたい。

 でも、顧客とやり取りする上流工程は、派遣社員にはやらせてもらえない。

 

 悩みに悩んだ末、産業カウンセラー養成講座を受講することにしました。

 産業カウンセラーの資格を取ってIT業界の相談室で働けないかと思ったのです。

 

■そしてfacebookの時代へ

 産業カウンセラー養成講座では受講生同士がカウンセラーと相談者になって面談の練習をしていくのですが、相談者役の時は、頭に10円玉ハゲができるのじゃないかというくらい悩みに悩んだ時の心境を話して聞いてもらいました。

 

 スキル不足なのに、1人で派遣先に送り込まれる辛さ。

 これが、今から私が産業カウンセラーとしてやろうとしている「在宅SEワーカーのサポート」の原点です。

 

 そしてこの頃、日本ではFacebookが流行し始めました。

 使い方がよくわからないまま、Facebook上で「仕事を探している」と書き込みました。

 

 すると、VB.NET時代の派遣先の上司(「コボラーからITコンサルタントへ(6)」参照)とFacebook上で再会。

 「起業したから、うちの会社に来る?」と声をかけてくれました!

 2回も救ってくれた上司には、今も本当に頭が上がりません。

 

 次回、「コボラーからITコンサルタントへ(10) 転勤5回目:再びIT業界&PMへ」に続きます。

 

1.PCスクールでインストラクター

2.一般企業の総務部(情報担当2名)で派遣SE

3.4次請けベンダーに中途入社SE

4.→ 元請けベンダーに特定派遣SE

5.旅行記ブロガー

6.ICTサポーター(小中学校で情報処理の授業のサポートをする)

 → 採用1週間後に転勤辞令

7.国立大学教授秘書 → 研究でITを利用するため技術補佐員に

8.Web制作会社でコーダー

9.4の会社の方々が起業した会社(元請け)に中途入社SE

10.→ 一般企業の情報システム部が独立したIT企業に特定派遣SE 【次回、ここ】

11.ITコンサルタントとして起業

 

次回もお楽しみに!

 

 

■本日のまとめ:Web業界に転職する時に覚悟しておくこと

 

1.Web業界は、IT業界よりも技術革新のスピードが速いです。

2.Web業界は、IT業界よりも納期が短いです。

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