夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

コボラーからITコンサルタントへ(6) 転勤2回目:念願のVB、VB.NET

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 エンジニアライフをご覧の皆さま、こんにちは!

 本業はITコンサルタント、副業は産業カウンセラー。

 TKT48プロデューサー&SE女子部部長の奥田美和です。

 

 IT系の雑誌やHPで見かける技術者の話は、メーカーや元請け・2次請け(大手SI)の社員の方の話が多いのですが、IT業界全体を見ると3次請け~7次請け(!)の企業から客先に特定派遣されている技術者の方が多い気がします。

 今私が参画している(株)コネクティルでは、どうにか多重下請け構造を無くそうと頑張っています。優秀なエンジニアが、元請けや2次請けで仕事ができ、成長できるような機会を作りたいと思っています。

 

 さて、前回の「コボラーからITコンサルタントへ(5) 転勤2回目:念願のVBのはずがExcel VBA」の続きです。

 

■初めてのVB

 コボラーが、念願のVB開発をやっている元請け企業に特定派遣!

 

 担当になったのが、たまたま新規開発の部分だったので、基本設計書を読んだり業務分析して業界用語を覚えつつ(このあたりは生保時代にやっていたので得意だった)、チームで1番技術に詳しいベテランSEさんのプログラムを見てVBを勉強し、DBとSQLも覚えました。

 自分で外部設計書を書きながら、ベテランSEさんのプログラムをコピーしてプログラミングするところから開始。質の高いプログラムを早く作るコツは、質の高いプログラムを模倣することだと今も思っています。

 

 今回の派遣先は運良く「元請け・社内製造」で、「設計書を書くのも、プログラムを作るのも、自分」。自分のプログラムが動かず何度も修正するはめになったのは、自分の設計が悪いからです。

 この時「しっかり設計しないと、プログラムのやり直しが増える」ことを痛感したおかげで、後々、要件定義の時から「プログラミングする時に、決まっていないと困ること」をエンドユーザーからヒアリングし基本設計書に盛り込んでおくようになりました。

 こうして、最初の1本は時間がかかったけれど、残りは予定よりも早く設計書とプログラムを作り上げていったのでした。

 

 その後、プロジェクトの規模が増えるにつれ、協力会社の人数も増えていったので、ほぼスタート当初から参加している私が教育係になり、自分がわからなかった部分を教えていきました。

 新潟のパソコンスクールでPCインストラクターをやった時もそうですが、自分が全くわからなくてゼロから勉強したり教えてもらった経験があったからこそ、全くわからないエンジニアにゼロから教えられるようになりました。

 

 システムが完成した後、協力会社社員なのに職員研修にも参加させてもらうことができました。自分がゼロから設計し作ったシステムを自分の言葉で説明し、ITは苦手だという職員の方から「使いやすくなったね」と言われた時の感動は今でも忘れられません。

 

■念願のVB.NET(ASP.NET)

 派遣先に常駐し、VB5・VB6の案件でVBのプログラミングの経験を積んだ後、ちょうど日本で流行り始めたVB.NET(ASP.NET)で既存システムを全て作り直すという案件を担当することになりました。念願のWebプログラマーデビュー!!

 

1.COBOL: オフコン(巨大なホストコンピューターで動くシステム)

2.Excel VBA、VB: C/S(パソコン上で動くシステム)

3.VB.NET(ASP.NET): Web(インターネットや、イントラネット上で動くシステム)

4.現在はクラウド(自社でシステムを持たず、インターネット上のシステムを利用する)

 

 COBOLからVBへは、気合で転職してチャンスをつかみましたが、ここから先は「たまたま日本で流行り始めた」言語やツールに乗っかっていくことになります。

 当時はVB.NET(ASP.NET)に関する日本語の技術書も2冊くらいしか出版されていなかったので、インターネット上で探したり、新たに参画したベテランSEさんに聞きながら勉強しました。

 

 Webシステム開発では、「ASP.NET」(Web上で動く仕組み)と、「VB.NET」(ASP.NET上で動く仕組み)の2つを理解する必要がありました。

 また、VB.NETは、VB6がバージョンアップしただけではなく、「オブジェクト指向」が取り入れられていました。今では当たり前のオブジェクト指向も、コボラー上がりのVBプログラマーには大きな壁だったんです。

 クラスのカプセル化、継承、ポリモーフィズム。

 1年かけてVB5・VB6をクリアしたと思ったら、同じVBでも全く違う種類のプログラミング言語。また、ゼロから挑みました。

 

 「オブジェクト指向」を理解するのも苦労しましたが、Webページ上でのデータの受け渡し(Session/セッションへの保存など)の流れを追うことにも苦戦しました。ステップ実行(1行ずつプログラムを動かすこと)をして、ゼロから流れを追い、全体を把握しました。

 だから今、色々な企業のWebサイトの申込ページで項目を入力し、「次へ」ボタンを押して画面遷移した後で「戻る」ボタンを押し、入力画面に戻った時に入力した項目が消えていると「あらー、Sessionへの出し入れをやってないんだ」と、エラー報告をしたくなります(笑)

 

 VB6で作った設計書を元に、ゼロから設計書を作り直し、ゼロからVB.NETでシステムを作って、1年9ヶ月後。

 気がつけば、協力会社社員ながらサブリーダーになり、派遣先の新人や協力会社社員にオブジェクト指向を教え、最後は電子入札のXML/XSLTまで作りました。

 顧客の全システムをVB.NETで作り直したため、自分のチームのシステムだけではなく、関連するシステムも全て把握し、業務や用語も覚えました。

 ――生保時代に2000年問題対応をした後と同様、ここでまた、プチ燃え尽き症候群になりました。

 

■そして、海外駐在員の妻に

 ちょうどVB.NETで最初の顧客のシステムが完成した頃、夫に海外駐在の話が出ていました。行先は、タイです。

 

 ――Webシステム開発まで経験できたのだから、もう、IT業界に思い残すことはない。

 そう思って、IT業界を去りました。

 5年後、「専業主婦5年間のブランク」と戦うことになるとも知らずに。

 

 次回、「コボラーからITコンサルタントへ(7) 転勤3~5回目:またExcel」に続きます。

 次回もお楽しみに!

 

■本日のまとめ:スキルアップの時に必要なこと(VBからVB.NET編)

1.VBとVB.NETは別物。VBまで経験してその後ブランクが空いている方は、VB.NETを1から勉強して「オブジェクト指向」「Session/セッション」を理解しておきましょう。SessionはPHPでWebサイトを作る時も登場します。

2.プロパー(自社正社員)もベンダー(協力会社社員)も関係なく、チームは1つ!の精神で。いざという時に助けてくれるのは、プロパーではなく、技術力の高いベンダー社員です。

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