夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

【書評】プログラミング経験の少ないSEやエンドユーザーにも最適「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」

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 皆さま、こんにちは! 転勤族協会TKT48代表/ITコンサルタント/産業カウンセラーの「おくちゃん」こと 奥田美和です。

 

 キャリアコンサルタント高橋さん こと 高橋雅明氏の著書「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」を読了したので、感想を書いてみようと思う。

 

■ マンガがついているのは大事だ

 SEの仕事に就くことが決まり、内定者に配布されたのは、分厚い文字だらけの本だった――。

 

 「入社したら、第二種情報処理技術者試験にチャレンジすること」

 内定式の時にそう言われたのだから、しょうがない。

 しかも、毎月課題を解き、提出までしなければならない。

 ああ、なんと眠気を誘う本なのだろう。

 ――そうやって、眠気と戦いながら第二種の勉強をしたことを思い出した。

 

 プログラマーやSEになりたいと、憧れのIT業界の門戸をくぐったエンジニアは、まず内定者研修・新人研修の段階で「訳のわからない本」を手にして挫折するのではないかと思う。

 

 それに比べると、高橋氏の本書はわかりやすい。

 メディア対応で過労死寸前の私でも、移動中の電車の中で、眠くなることなくサクサクと読めた。

 

 「飽きさせずに読ませる」そのコツは、やはり、「マンガ」を入れることだと思う。

 マンガだけでは内容が薄くなりがちだが、本書は、マンガの後に高橋氏によるわかりやすい文章が掲載されている。

 

 しかも、マンガに登場する小野寺部長のキャラがいい。

 「みなさんはやればできる!」

 「プログラミングの本質、それは問題を解決するということなんだ」

 見た目は好々爺だが、メンバーに信頼されるタイプの部長だ。このタイプの部長なら、プロジェクトも進めやすいだろう。

 

 その小野寺部長がプロジェクトメンバーに推薦したのが、主人公の野々原マイミだ。

 

■ 奥田も昔は、野々原マイミだった

 文系出身。周りは、専門学校や理系出身で、すでにプログラミングができる人ばかり。

 入社前に分厚い文字だらけの本を渡され、情報処理の知識は増えたけれど、プログラミングはよくわからない。

 エラーが出る度に「先輩、助けて~」と涙目になっていた。

 

 当時の私と同様の読者が読んだとしても分かりやすいように、本書では普段の生活で目にするような実例をうまく用いている。

 実際のプログラミングに関してはExcel VBAを用いて説明しているが、私がコボラーから脱出しようと独学したのもVBAであるから、懐かしさを覚えながら読んだ。

 

 高橋氏がプログラマーからPMまで開発15年の経験を持ち、現場のことをよく理解していると感じたのは、VBAを用いたプログラミングの説明の部分である。

 通常のプログラミング本では、本の通りにコーディングすれば「正確に動くプログラム」ができてしまう。しかしながら、そのような本で学んだところで、現場でつまずく(そして最も大事なスキルである)「バグが出た時の対応」が身に付く訳がない。

 

 それに対して本書では、よくありがちな「オーバフロー」「0除算」についてもしっかり記述してある。デバッグだけで30ページ近くも書かれている。素晴らしい。

 最後に、高橋氏が失敗した実例まで書かれており、誰もが「失敗を経験して立派なSEになる」のだと再認識させられる。

 

 ――デバッグを制する者は、プログラミングを制する。

 

■ 本日のまとめ: 新人研修に予算が取れない中小IT企業でこそ、活用すべし

 できれば入社前に本書を人数分購入し(1冊1800円+税)、1人1冊渡して「入社までに本書のプログラムを作り、入社時に提出」という指示を出しておけば、入社してすぐに特定派遣に出しても、プログラマー本人も困らずに仕事ができるだろう。

 また、本書には「プログラム作成シート」という外部設計書と内部設計書を簡易化したシートの例も掲載されているから、新人のうちに「設計書は事前に作るものなのだ」という意識が芽生える。

 

 いずれにせよ、読んで役に立つ「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」だった。お求めは、こちら。

 

Comment(2)

コメント

キャリアコンサルタント高橋

お邪魔します、キャリアコンサルタント高橋です。


本の書評、ありがとうございます!


この本では実際にプログラミングをするときに経験するであろうプログラミングの流れを知っていただきたいと思い、書かせていただきました。
最初から完成したプログラムができないという前提に立ち、デバッグやメンテナンス(改修)をすることでプログラムを作り込んでいくことを表現させていただいたつもりです。


ちなみに、デバッグの部分はかなり産みの苦しみがありました。奥田さんもおっしゃるとおりデバッグはプログラミングにおいてとても重要な作業で、私もそこは絶対に端折りたくなかったので最初はかなり厚く(110ページほど)書き込んでおりました。しかし、それだと紙面の都合ですべて入らないので、編集者さんと連日徹底的に話し合い、結局今のような形に落ち着きました。。。


こういった箇所が随所にあるため、この本はベテランITエンジニアの方からすれば説明不足ととられる箇所が多々あると思っております。それでも、初心者の方がプログラミング本を読了していただくことを第一に考え書させていただきました。


ですので、奥田さんのようなご意見をいただけたことは本当にうれしく思っております。
ありがとうございました!!!

奥田美和

キャリアコンサルタント高橋様


しばらくシステム開発の現場を離れているので懐かしく、また、新人や後輩育成していた時のことを思い出しながら読ませて頂きました。


独学でプログラミングを学ぶための教本とは違い、実際にシステム開発現場に入った時の流れがよくわかり、とてもわかりやすく素晴らしい本だと思います。全体のボリュームもちょうどいいですしね。


Web業界では、Webディレクターやエンドユーザーが本書くらいの知識は無いとエンジニアと対等に話せないことも多々ありますから、多くの方に読んでもらいたいと思いました!

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