夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

コボラーからITコンサルタントへ(5) 転勤2回目:念願のVBのはずがExcel VBA

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 エンジニアライフをご覧の皆さま、こんにちは!

 本業はITコンサルタント、副業は産業カウンセラー。

 TKT48プロデューサー&SE女子部部長の奥田美和です。

 

 前回の「多重下請け構造」の追記になりますが、生保のシステム会社で働いていた頃、同じフロアで働いていた協力会社さんは2次請けベンダーしかいませんでした。数年前に同期に聞いたところ、今も厳しくチェックしているそうです。色々なIT企業の方に話を聞く度に「2次請けと3次請けの間の大きな壁」の存在を感じます。

 

 さて、前回の「コボラーからITコンサルタントへ(4) 転勤2回目:再度COBOL」の続きです。

 

■大企業(元請け)と中小企業(4次請け)の違い

 コボラーから卒業すべく、なんとかメーカーの4次請けのIT企業に中途入社しました。

 4/1入社だったので、新人さんと同じ立場の、第二新卒の立場で入社したつもりでした。

 

 「PCインストラクターをやっていたんだよね?新人へのWord・Excel研修をやってもらっていい?」

 中途入社して最初の仕事は、新人へのパソコンの研修でした。

 

 2週間後、今度はVB研修。新人と一緒に、最初の課題に着手しました。

 Excel VBAは独学したけれど、VBは別物。やはり新規開発は楽しいな~と最初の課題を終わらせたところで、「じゃあ、奥田さんは実務に入って」と言われました。

 はい?VBの課題を3日で作っただけで、いきなりOJT??

 ――元請けと4次請けの違い。それは、社員教育にかける時間もお金もないこと。

 

 「Excel VBAを独学したなら、これ、できるよね」

 渡されたのは、業務システムから出力されたデータをExcelで読み込んだ……100列×5000行くらいある表。もちろん、VBAでプログラミングされており、ボタンを押すと各種計算されるようになっています。ソースは1万行越え。

 Excel VBAをやったことがある方ならわかると思いますが、Excel VBAの列の指定は、「Cells(行番号, 列番号)」。例えば「C5」セルなら、「Cells(5, 3)」となります。

 (以降、細かい部分はうろ覚えなので、行列番号については仮とします。ぜひ、Excelを立ち上げて列を確認しながらご覧ください。)

 

 仕様書を見ると、「AG列を削除、AQ列とAR列の間に2行追加」とある。

 えーと、AG列は数字で表すと何列だっけ……。

 AQ列の次に2列追加すると、元々AR列だった列はAT列になる訳で……。

 あれ、AG列を削除したら、AH列がAG列になり、それ以降全て1つずつ前倒しに……。

 

 いくらCOBOLの「机上デバック」特訓で、ソースを印刷し紙上でプログラムの構造を追っていく練習をしたからとはいえ、1万行の「Cells(行番号, 列番号)」を1つずつ修正していくのは苦難の技でした。

 奥の会議室では新人さん同士が「2個目の課題終わったよ」「僕は3つめの課題もやってみたよ」と楽しそうに語らいながらVBの課題をやっている一方で、1人泣きそうになりながらExcel VBAと戦っていました。

 

 確か、2週間くらいかかったでしょうか。

 社内で1番技術に詳しいベテランSEさんに助けてもらいながら、どうにか完成させました。

 業務システムにどのようなデータが入力されたから、このようなExcelデータが出力されたのか、これはどのように使われるのか。……今まで当たり前のようにやってきた「入力データと出力データをしっかり把握する」余裕も気力もないまま、ただ仕様書通りに作業しただけでした。

 ――元請けと4次請けの違い。それは、全体像が見えないこと。

 

■面談では、できなくても「できます」と言いましょう

 入社直後からハードな案件をこなした後、OpenCOBOLというC/S(パソコンで動くシステム)の案件を3か月やりました。この時も、業務の全体像は全く見えず、ただ3次請けの会社からもらった設計書通りにプログラムを作っただけでした。

 

 その後で、念願のVBの案件が舞い込んできました。

 それも、念願の公共システム!念願の元請け&社内製造!!

 

 派遣先の面談にて。

 自社営業:「奥田はVBは完璧です!」

 ――はい?VBの課題を1本作っただけで、Excel VBAも2週間やっただけですが……。

 私:「完璧という訳ではありませんが、できます!」

 

 こうして、コボラーを卒業し、VBプログラマーになれたのでした!

 この時採用してくれた派遣先の上司には、未だに頭が上がりません。

 

 でも、後々PMになって技術者面談をすることになった時、協力会社の営業さんの営業トークとエンジニアの「できます」には、特に注意を払うようになりました(笑)

 

 次回、「コボラーからITコンサルタントへ(6) 転勤2回目:念願のVB、VB.NET」に続きます。

 

0.生保のシステム子会社で正社員SE

1.PCスクールでインストラクター

2.一般企業の総務部(情報担当2名)で派遣SE

3.4次請けベンダーに中途入社SE

4.→ 元請けベンダーに特定派遣SE 【次回ここ】

5.旅行記ブロガー

6.ICTサポーター(小中学校で情報処理の授業のサポートをする)

 → 採用1週間後に転勤辞令

7.国立大学教授秘書 → 研究でITを利用するため技術補佐員に

8.Web制作会社でコーダー

9.4の会社の方々が起業した会社(元請け)に中途入社SE

10.→ 一般企業の情報システム部が独立したIT企業に特定派遣SE

11.ITコンサルタントとして起業

 

 次回もお楽しみに!

 

■本日のまとめ:特定派遣の時に必要なこと(COBOLからVB編)

1.派遣先を選べるなら、「元請け・社内製造」の派遣先を選びましょう。

2.コボラーでも、1万行のExcel VBAが修正できれば、VBはできます。

3.自社で教えてくれる人がいるうちに、1人で派遣先に出されてもへこたれないメンタル力と情報収集力とコミュニケーション力を身に付けておきましょう。

Comment(2)

コメント

初めまして
文系の院卒がIT業界に入って感じたことを書いているひろ氏です。
ご挨拶に来ました。
僕も今派遣の下請けで4次受けをしてるんですけどなかなか大変で思わず共感したのでコメントさせてもらいました。
このような派遣の身になった場合はどうするのが正解とかありますかね。今のところ技術身につけて上の商流に行くしかないかなと思っていますが。

>ひろ氏さん

コメント有難うございます!
私も文系で、未経験でIT業界に入りました。

コラムを拝読したら、院で経営関係を学んだので、ITコンサルタントになりたくてIT業界に入られたとのこと。コンサルファームのITコンサルタントは経営コンサルタント寄りで経営知識がないと仕事にならないから、経営の知識があるのは強みですね。

インフラ系SEなら、事業会社の社内SE(元請けに発注する側)に転職できますよ。
私はネットワーク系が弱いので、この後登場する大学SE時代に苦労したので、羨ましいです。

事業会社の社内SEで経験を積んで(=業務知識を蓄えて)から中小企業診断士を取れば、フリーでITコンサルタントのような仕事はできると思います。

いずれにしても、まずは3年は、今の職場で頑張ってみて下さい♪
3年未満で辞めると、転職時に「忍耐力がない」と書類審査で落とされてしまうので…。

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