夫の転勤により正社員歴たった2年のCOBOLプログラマーが、ITコンサルタントになるまでの物語。

コボラーからITコンサルタントへ(4) 転勤2回目:再度COBOL

»

 エンジニアライフをご覧の皆さま、こんにちは!

 本業はITコンサルタント、副業は産業カウンセラー。

 TKT48プロデューサー&SE女子部部長の奥田美和です。

 

 現在、在宅SEワーカー採用にあたり、どのような実技試験を課すか考えています。プログラミング経験者ならVBAはできるだろうか?SEとしてブランクがあっても、何年くらい経験を積んでいれば、プログラミングの勘を手(指)が思い出すか? 今回のシリーズコラムを書き終える頃には、具体的な試験内容を閃いているのではないかと思います。

 

 さて、前回の「コボラーからITコンサルタントへ(3) 転勤1回目:基本はExcel」の続きです。

 

■再びコボラー、と思ったら、PL/I?

 東京に引っ越してきてから、M社とT社に登録しました。

 

  私:「できればCOBOLじゃなくて、スクールで勉強してVBのお仕事をやりたいです」

担当者:「スクールは3月までだったんですよ。1年間ブランクがあるから、リハビリも兼ねてCOBOLでもいいですよね」

  私:「……はい」

 

 PCインストラクターの仕事を紹介されたりもしましたが、MOTというプロのPCインストラクターの資格を持っていないとできないレベルの仕事だったこともあり、案件紹介の希望を「COBOL」に絞りました。

 

 その後、某金融の案件を紹介されました。

 そこから、なかなか話が進まない……と思っていたら、「某金融システムは大規模なので、いくつかのソフト会社が派遣されているのですが、結局そのソフト会社のどれかに派遣されます。今回別のソフト会社からも依頼があったのですがいかがですか?」とのこと。仕事先は一緒なのだからOKしました。

 

 この案件で、初めて「多重下請け構造」の仕組みを知りました。

 某金融(情報システム部)→ システム子会社(元請け) → A社(2次請け)→ B社(3次請け)→ 派遣会社(4次請け)

 

 まずは、派遣会社の営業さんと、B社の面談に行きます。スキルシートを見た時点でOKだったらしく、ほとんど顔合わせだけでした。

 

 次に、B社の社長さんと一緒にA社へ。待ち合わせの時に「昨日わかったのですが、COBOLじゃなくて、PL/Iのお仕事になります」と言う。PL/Iなんて某金融のシステムでしか使ってないじゃないか~。それと同時に、PL/Iに関する分厚い資料をもらいました。1週間で予習しておけ、ということらしい。

 

 A社の前で、B社の社員3名と合流。合計4名で、A社の面談を受けました。

 A社から「派遣先(元請け)には、派遣社員じゃなくて、協力会社さん(B社社員)ということにしてあるから」と言われました。「何故だろう?」と当時の私は疑問に思いましたが、それこそが「多重下請け隠ぺい」だったのです。

 

 A社の面談もすんなり通り、この後は某金融で金融知識&PL/Iのレクチャーを受けることになりました。しかし、ここで大変な事態に直面したのです。

 

■初めての失業

 定期券も買って準備は万端!そんな、プロジェクト開始の3日前の夕方。派遣会社の営業さんから電話がありました。当日の集合時間が決まったかな?と思ったら「結論から言いますと……プロジェクトが延期になりました」とのこと。

 『某金融のトップがそう決定してしまったらしく、大規模プロジェクトだったから、350名が失業決定。それにしても3日前に延期決定なんて、某金融もいい加減。9月に合併だから、開始が延期しても終了はそのままだろうに、大変なのはシステム開発の人じゃないか~!』

 当時はまだ新人SEだった私は、上記の通り憤慨していますが……。

 いざPMの立場になってみると、顧客の決裁状況によってはプロジェクトが一時中断し、協力会社さんに頭を下げることも何度かありました。せっかく優秀なエンジニアを集めてくれたのに、顧客の決裁が下りなければ発注もできず、泣く泣くリリースしてもらわざるを得ません。

 

 ちなみに、案の定、上記の某金融はカットオーバー時に大問題を起こしました。

 当時、不眠不休で対応されたSEの皆さま、本当にお疲れ様でした。

 

■そして、再びコボラーへ

 失業決定4日後には、別の会社の面接へ。

 派遣会社2社に登録していたので、実はこの日、午前中と午後にそれぞれ面接を入れていました。

 

 午前中の会社は、IT企業ではなく事業会社でした。情報システム部は無く、総務部の一角で、社内SEが一人で運用から帳票発送までやってきたそう。残業はほとんどなく、土日休み・17時定時と魅力的。

 面接の後に、10分ほど営業さんと先方で話した結果、OKをもらいました。営業さんに「時給はおいくらですか?」と聞いたら、「午後から他社の面接でしたね。そちらはおいくらでした?」と聞くから、「2000円です」と答えました。すると「それなら、うちは2050円出します」とのこと。

 結局この会社にお世話になることになったのですが、正社員歴たった2年のコボラーで時給2050円も出してくれるとは、いい時代でしたね。

 

■私はVBがやりたいの!

 もし、システム開発の最前線で、終電まで残業&休日も出勤という過酷な日々に疲れたSEの方がいらしたら、事業会社の社内SEはおすすめです。

 新規開発は無く、保守も少なく、月末に全支店からデータを集めて月次処理を行う以外は、独学し甲斐のある職場でした。

 生保時代は当たり前のようにあった業務フローが1つもないので、業務フローを全て作りました。Excel VBAの勉強もしました。それでも時間が余りました。

 

 ――このままここにいたら、SEとして成長しない。

 いつしか、そう思うようになりました。

 

 派遣は、実務経験がある仕事しかできない。

 だったら、東京にいるうちに、正社員として転職すればいいのでは?

 

 SE3年目(PCインストラクター半年を入れると、SE4年目)の冬。

 ――「転勤辞令が出ないうちに、VBをやる!」と決意したのでした。

 

■初めての転職活動

 早速、技術者のための求人誌を買ってきて、「未経験者可・教育充実」という会社を探しました。

 

 『なりたい職業はWEBプログラマー、やりたい仕事は公共システム。

 どうすればなれるか → JAVAを勉強する。

 どこで勉強するか → 派遣会社のスクール or 正社員での研修。

 転勤はどうするか → WEB系なら在宅勤務が可能。』

 

 当時のメモを見ると、求人誌や「就職四季報」で勉強したところ、JAVAが流行り出したので、VBよりもJAVAをやっておくと良さそうだと判断したようです。また、派遣だと業界問わず紹介されるので、公共システムに絞ったようです。

 

 しかし、当時の私が履歴書を送付したのは、大手SIばかり。

 正社員歴たった2年のコボラーなど、相手にする訳がありません。

 そこで、作戦変更しました。

 

 『中途採用でCOBOL経験者もOKという会社を探したら、最終的にはメーカーの子会社に辿りつきました。何故なら、COBOLを作ったのはメーカーですから。IBM(COBOL2)・日立(COBOL85)・富士通(FACOM)の3社が作っています。おまけに、公共システムはまだまだCOBOLが現役。

 なりたい職業は、将来的にWEBもできそうなCOBOLプログラマー、やりたい仕事は公共システム。』

 

 インターネットでこの条件で探したところ、メーカーの4次請けの会社を発見。

 カバーレターに志望動機を書いておいたので、面接ではいくつか質問されただけで、あっさりと中途採用が決まりました。

 

 こうして、4次請けベンダーの正社員になりました。

 そして、入社してから気が付いたのです。

 ――正社員を派遣する「特定派遣」という、派遣社員と大して変わらぬ仕組みが存在することに。

 

 次回、「コボラーからITコンサルタントへ(5) 転勤2回目:念願のVBのはずがExcel VBA」に続きます。

次回もお楽しみに!

 

■本日のまとめ:転職の時に必要なこと(COBOLからVB編)

1.やはり「応用情報技術者」は取っておきましょう。

2.新卒の就活と同じくらい、気合を入れて準備をしましょう。

3.即戦力を求めている4次請けベンダーなら、正社員として中途入社できます。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する