お気楽“IT系女子”の日常を徒然と綴ります。

“アラサー”IT系女子が、“アラハタ”だった頃(その1-1)

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 こんにちは。前回から、「アラサーIT系女子の来し方行く末」というタイトル通り、本格的に「来し方」(過去ネタ)を書いてみましたが、その2へ進む前に、データエントリー業務について、もう少し振り返ってみようと思います。

 あくまで経験に基づいた内容で、しかも9年前ですので、現在の「データエントリー業務」事情と違うところや、間違った内容があるかもしれません。申し訳ありませんが、予めご了承ください。1つの経験談として読んでいただければ幸いです。

◆職能レベルについて

 データエントリー業務のことを前回、「ひたすら入力しまくる仕事」と説明しましたが、もう少しまともに表現すると、「パソコンまたは専用端末機を操作し、伝票などのデータを入力する業務」となります。

 わたしがいた現場では、作業の流れが3段階ありました。各段階の作業をすることが許されているか否かを、自身の職能レベルに置き換えて考えることができます。

  1. エントリー
  2. ベリファイ(1回目)
  3. ベリファイ(2回目)

 「エントリー」とは、最初の入力=一次入力をすることです。そして、この作業をする人のことも指します。全員ここからスタートです。「ベリファイ」とは、検査入力、およびその作業をする人のことを指します(もちろん、わたしがいた現場でそのように呼称していた、という意味です)。

 検査入力は、エントリーが入力したデータを上書き入力します。その際、両者の入力が不一致だった箇所で警告が発せられます。そのため、誤入力箇所を1文字単位で確認・修正できるのです。ベリファイがタイプミスした際は、作業中に自分のミスが分かるため、両者のタイプミスをダブルで防止できます。この検査入力は、通常2度繰り返し、1回目の検査入力をすることおよび、その作業をすることが許されている人を通称「1ベリ」と呼び、同様に「2ベリ」と呼んでいました。

 また、内容の重要度や入力の難易度によって検査入力の回数が決まっています。難易度が低いものや、入力箇所が少ないデータは1度だけです。すなわち、1回目の検査入力が最終確認ということになります。

 表にまとめてみました。

用語意味説明・補足
エントリー データを入力すること。
入力作業をする人。
いわゆる「一次入力」のことですね。
ベリファイ 検査入力をすること。
検査入力する人。
さらに「1ベリ」「2ベリ」と意味が細分化されます。
1ベリ 1回目の検査入力をすること。
作業することを許された人。
1度しかベリファイしないデータ。
1ベリの人は、「最終確認はまだできない人」ということになります。
エントリー作業もしくは、「2度検査入力するデータの、1回目の検査入力」ができる人です。
2ベリ 2回目の検査入力をすること。
作業することを許された人。
2度ベリファイするデータ。
「最終確認」ということになるので、1度しかベリファイしないデータを検査入力出来るのは「2ベリ」レベルの人のみです。

 わたしは2年と1カ月、データエントリー業務に従事していたにもかかわわらず、結局「1ベリ」のまま終わりました😅。

◆入力作業や新人研修について

 さて、気を取り直して、入力作業や新人研修についてお話します。

 文字はカナ入力で、拗音や促音は表現しません。例えば「組長」という文字を入力する場合、ローマ字入力だと「KUMICYOU」で、8回のキータッチと、カナに変換する手順が必要ですが、カナ入力だと「クミチヨウ」と5回のキータッチで済みます。「長」を「チョウ」と打とうとした場合、「shift」キーを押す手間が必要ですので、拗音は表現しないのです。同様に、促音も。

 数字の入力は少し特殊です。伝票や帳票は、数字と文字が混じっていますので、入力時に都度、手をテンキーへ移動し、またキーボードに戻すと、余計な時間がかかります。よって、テンキーからではなくキーボードに割り当てられている数字から入力していました。わたし達が使っていたのは逆テンキーなので、上から「1、2、3」「4、5、6」「7、8、9」、最後が「0」という並びだったはずです。なぜ逆テンキーなのか、理由はよく分かりません……。電卓と同じ並びなので、金融機関の人に馴染みやすいとか、そういった理由なのでしょうか。

 研修は、逆テンキーでの数字入力やカナ入力の練習をします。キーボードのホームポジション「F」と「J」をご覧ください。カナでは「は」と「ま」ですよね。新人はまず、ひたすら「ハマハマハマハマ……」と入力することから始まるのです。そのため、新人研修は通称「ハマハマ」と呼ばれていました。

 ここで、話を再び職能レベルに戻します。

 はじめは、入力速度が遅かったり、ミス入力率が高くても、数カ月もすれば慣れます。それに伴い、個々の能力に明確な差が表れてきます。通常は、1年ほどで「1ベリ」へ。早ければ、1年半ぐらいで「2ベリ」へ昇格です。遅くとも2年程度。昇格できるか否かは、毎月出される入力速度とミス入力率の成績表に基づきますので、互いのレベルがはっきり分かるシビアな世界と言えますね。成績が悪いと、後輩が入ってきても「エントリー」のまま、後輩の方が先に昇格、ということもあり得ます。……ええ、わたしのことですが、何か?😭

 では、優秀なキーパンチャーの資質とは何でしょうか。ちょっと考えてみました。

<身体面>

  • 手先が器用であること
  • 反射神経が(そこそこ)鋭いこと
  • 運動神経が(そこそこ)鋭いこと

<精神面・性格面>

  • 真面目であること
  • 几帳面であること
  • 集中力があること
  • 無言でコツコツ地道に作業できること

 「ひたすら入力しまくる仕事」をイメージしていただければ、上記特性は大体ご理解いただけるかと思います。

 反射神経と運動神経は無関係では、と思われるかもしれません。しかし、例えば手書き伝票を扱う場合、判読しにくい文字、「ソ」と「ン」など見分けにくい文字を瞬時に判断する能力に繋がると思ったので、挙げてみました。また、入力速度を上げていくことを考えると、データを目視してから、それを入力するまでの時間を縮めることに行きつきます。見ると同時に手が入力しているというか、コンマ何秒の世界でしょうか。

 要は、普段から鈍臭いタイプの人は、成績表の上位レベルに到達するのは難しいと思われます。実際、成績トップ10入り常連の先輩たちは皆、頭の回転が速くて会話も面白いですし、鈍臭い人は皆無でした。編み物も流行ってましたし、お菓子やお料理が好きな人など、比較的器用で要領の良い人がたくさんいましたね。

 わたしの場合は、とにかく1日中座ったまま、黙ってコツコツ几帳面に作業し続けることに不向きなタイプで、性格面でかなり劣っていたと思います。入力速度は速いけど注意力散漫で、ミス率の高い社員でした。普通は、徐々に低くなっていくはずが、なぜかずっと高めで推移しつつ、月によって高かったり低かったり、波が激しかったです。配属から1年半ほどでようやく「1ベリ」になりました。かなり遅いです。

 データエントリー業務に従事する正社員はわたしの代が最後で、以降は派遣の方がお越しになりましたが、同期をはじめ彼女たちにも次々と抜かれていき、非常に惨めで自分に対して不甲斐ない思いでいっぱいでした。「向いてないから辞めたい」とか、「入力ロボットみたいな仕事だから嫌だ。自分にしかできない仕事がしたい」とか、勝手なことばっかり言ってました。

 当時は、もっと広い視野で就職活動をしなかったことを悔いていましたし、周りは寿退社するまでの腰掛け仕事として捉えている先輩ばかりだったので、先輩をお手本とした将来のビジョンも描けず、本当に何もかも行き詰まっていたように思います。あのまま現場にいたら、やっぱり辞めていたのかなぁ。それとも、不平不満ばかり溜め込んで、名実共にブクブク肥え太っていったんでしょうか……。「ヘルプデスク」という、適度に集中し、適度に人と話し、しかも人様から感謝していただける仕事に出合えたのは、わたしにとって、とてもラッキーなことでした。

 次回「その2」では、ヘルプデスクになる手前のことを書く予定です。まだまだ、引っ張りますよー(笑)。

Comment(7)

コメント

第3バイオリン

組長さん

今回ご紹介されていたキーパンチャーの業務を読んで思い出しました!
私の大学でアルバイトでやっている人がいました。
といっても、直接の知り合いとかではなく、
入学時に配られた学生新聞みたいなのに書いていました。
やはり9年くらい前のことです。
(書いてみて、もうそんなになるんかいのーと軽く驚愕)

大学の新入生にとって最も気になる情報のひとつがアルバイト。
その学生新聞の特集で、キーパンチャーのアルバイトをしている人が
自分の仕事について文章を寄せていました。
そのときは「ふーん、こういうアルバイトもあるのね。さすが工学系の大学」程度に思ってました。

目の回るような速さでキーを打ちまくり、しかも完全歩合制(アルバイトだからですね)と記事にあったので、
私も即座に、自分には向かないと判断しました(笑)。

>周りは寿退社するまでの腰掛け仕事として捉えている先輩ばかりだったので、
>先輩をお手本とした将来のビジョンも描けず、本当に何もかも行き詰まっていたように思います。
その気持ちわかりますよ。
私も開発やっていたときはそうでした。

開発の女性社員はただでさえ人数が少ないうえ、プロマネをしている人や役職者もいなかったので、この人みたいになりたいと思える人がいませんでした。
私生活面においても、開発の女性は独身か子供のいない既婚者ばかりだったので、
「子供を持って開発を続けるのは無理なのかな?」と思い余計にテンション下がりました。
今の部署では子供を持って働く女性社員が多く、産休と育休を経て現場復帰した人を
リアルに見ることができたので希望が持てました。
まあ、結婚も出産もまだ予定ないんですけどね(苦笑)。

組長さま

あれはまだ、僕が工業高校出たての頃……平成2年頃の話なんですが、千葉そごうに母親がアルバイトをしていて、キーパンチャーが足りないから、詳しい人を……というので、第一家庭電器が閉店で終わった後、ぼーっとしていたのですが、キーパンチャーならまかしとけ!! といった案配で、1日だけ手伝いました。

幸いにして、日本語106キーだったので、パートのお姉さん2名が、カードを入力するのですが、僕は、そのカードの山を、8時間で入力し尽くしてしまいました……。おかげで、自律神経をこわして、3日寝込むことになったのですが(苦笑)僕は、そこで「伝説」になりましたっす(苦笑)千葉そごう時代のことは、後々「ダリアの花散るとき」(仮)で公開しますので、どうぞよろしくお願いします。

それにしても、カスタマーサポートに移れて良かったですね。あれは、詳しくなって来ると、なんだか「詰め将棋」に似た快感というか、解決できて良かった、というのと、素人のお客さんが喜んでくれるのがうれしいものですね。あなたはいかがでしょう。最初、怒っていた(あるいはパニクってた)お客さんが、平静を取り戻すプロセスが、僕は好きです。では~。

組長

>第3バイオリンさん
わが社にもプログラマの女性はいるのですが、そういえば皆さん独身だったような・・・。そもそも、産休や育休を取ってまで正社員として仕事を続ける女性社員が実はわが社にはいないのです。寿退社して、再雇用制度を利用して契約社員(時給制)で戻ってくる人が多いです。これはこれで子育てをしながら働けて良いのかもしれませんが、私はおそらくわが社初の「産休・育休取得&正社員のまま現場復帰した女性社員」を密かに目指してます。使える制度はとことん使う!もらえるもんはとことんブン取る!

もちろん、結婚も妊娠も予定はありませんが・・・。笑


>稲造パパ
(とうとう「パパ」呼ばわり。笑)

わたしは悪い意味で伝説のキーパンチャーとなりました。ミスして反省文を3回書き、2ベリには上がれず・・・。なのに、皆がリストラ騒動に揺れる中、鮮やかに(?)転身。ええ、女の嫉妬は怖いですよー!なんと言っても「転身=給料上がる&リストラ回避」ですからねぇ。その2あたりから書きます。

稲造です。パパですかw そういやあ、今年で39歳になるから、もし20歳で結婚できていたならば、18歳ぐらいの息子や娘がいてもおかしくないわけでして……。

嗚呼、一刻も早く配偶したい(何のこっちゃ)

ヨギ

ううーむ。

自分で言うのもアレですが、僕はキーパンチわりと早い方です。

でも、組長さん言われる、
<身体面>は全部あてはまるけど、
<精神面・性格面>が、一つも..................................

組長

>ヨギさん
こんにちはー。私も<身体面>は当てはまりますが、<精神面・性格面>がちょっとなぁ・・・。特に「黙ってコツコツ」が無理です。笑

私が書いた<精神面・性格面>は、キーパンチャー全般に必要な最低限(?)の資質だろうと思います。+αで<身体面>が備わっていると、より優秀なキーパンチャーになるんだろうなぁ、と先輩たちを見ていて感じました。

速さは、程度の差はあっても後から自然に備わってきますが、正確性は意識の問題だと思うので後から自然に・・・というのは限界があるのかなぁ、と思います。ヘルプデスクになってからも、相変わらずドジばっかしてるので今、キーパンチャーに復帰しても私はダメダメなキーパンチャーなんだろうなぁ。ただ、私にとって救いだったのは、キーパンチャーと違って「***はダメですが、###なら任せて!」という風に自分の得意分野で挽回出来るチャンスがあることですかね。

父です(笑)……コラム更新&全記事コメント欄解放でジャンジャンバリバリお待ちしております。

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