モチベーション3.0の動作環境
もし、あなたの組織が「モチベーション3.0」というOSをインストールしようとして失敗したとしたならば、それはあなたの組織が、ハードウェア的に「モチベーション3.0」の動作スペックを満たしていなかったからということになるでしょう。
心理学者マズローは、自己実現理論(欲求段階説)の中で人間の欲求を5段階のピラミッドで表し、ヒトは低次の欲求が満たされた後に、次の段階の欲求を満たそうとすると定義した。
これを、モチベーション3.0の動作環境として、組織が従業員に提供すべき機能に当てはめてみよう。
●生理的欲求
生命維持のための根源的な欲求。ほとんど本能レベル。これは組織以前のものなので、ここでは割愛する。
●安全の欲求
一家が路頭に迷わない程度の収入。健康を害さない程度の労働時間、労働環境。
●所属と愛の欲求
信頼できる上司、同僚、部下。組織への帰属意識、連帯感。良好な人間関係。
●承認の欲求
上司、同僚、部下からの正当な評価。自分自身に対する満足感。
●自己実現の欲求
「自分の能力や可能性を最大限に発揮したい!」という欲求。
この中でいうと、生理的欲求から承認の欲求の「上司、同僚、部下からの正当な評価」までは、整った組織であれば、モチベーション3.0をインストールして実行可能となるはずだ。
しかし、所属と愛の欲求が整っていない組織が多いと思われる。ましてや「上司からの正当な評価」など、望むべくもない…というのが現実といったところだろう。中には安全の欲求まで脅かされているヒトだって実際にいるのだ。
多くのエンジニアが転職の理由に「専門知識・経験・市場価値の向上」を挙げている。このようなエンジニアはモチベーション3.0そのものだ。
ところが、それを理由に転職しているということ自体、裏を返せば「今の会社じゃそんなことは望めない」という不満のあらわれといえる。
そんなわけで、組織内でモチベーションを高めたいのなら、欲求の5段階のピラミッドを順に積み上げていくことだ。順番を間違えてはいけない。
モチベーションは一番最後にやってくる。