【17】フリーと偽装請負、どうなる?
こんにちは、手塚規雄です。
フリーランサーが仕事を受注するときには業務請負契約になります。しかしその契約、偽装請負になるケースが多くあります。それはこんなケースの時です。
発注:クライアント企業
↓
受注:案件紹介会社
↓
請負:フリーランサー
このような形で業務請負契約し、クライアント企業がフリーランサーに対して直接業務命令をする状態です。このような偽装請負は本来違法なのですが、現実問題としてまだまだ多く存在しています。しかし今後はもっと厳しく規制されていくでしょう。
2015年4月施行で混乱必至、改正労働者派遣法案が臨時国会へ(IT PROより)
この記事の最後に
同制度を甘く見ていると、思わぬトラブルに陥る。好例が偽装請負だ。常駐技術者に直接指揮・命令をするにもかかわらず、委任型の契約を締結していると、それは偽装請負に当たる。「違法とは知らなかった」と言い逃れするのは難しい。その瞬間、常駐技術者に対して、雇用契約を申し込んだことになる。
こちらは一般的な会社における偽装請負の例ですが、改正労働者派遣法案が成立した後は、今まで以上に偽装請負に対して厳しくなっていくでしょう。そうなるとフリーランサーはどうなるのか?
多くのフリーランサーは案件紹介会社に依存している状態。案件紹介会社がいなければクライアント企業に対して直接営業をかけなければなりません。それができないから案件紹介会社に頼っているのが現状です。
じゃあ、今後はITエンジニアのフリーランサーは仕事ができなくなってしまうのか?
私はそんな事はないと思っています。
今の案件紹介会社がちょっとだけ形を変えて残って、他はほとんど変わりません。多分。考えられる例を1つ。案件紹介会社からの業務請負がダメなら、形式を転職エージェントと同じにするだけ。つまり、フリーランサーはクライアント企業と契約をするのですが、案件紹介会社には案件紹介料を支払う形にすれば、最終的な利益は今までと変わりません。お金と契約の流れはこのように変わります。
発注:クライアント企業
↓
受注:フリーランサー
↓
紹介:案件紹介会社
変わるのはフリーランサーの売上額がちょっと増えることと、案件紹介会社の売上が落ちること。変化するのはこれぐらいしかなく、実態としてはほとんど変化なし。
こうすると中間マージンを抜き取る会社の存在がなくなるように思えます。しかし今度は案件紹介会社の中で中間紹介会社みたいな立場が出てきて、中間の会社が多いと案件紹介料が増えていってしまう。そんな仕組みになりそうです。結局は偽装請負という形は変わったけど、エンジニアが受け取れる最終的な利益は今までと大差がない。あんまり意味がない気がします。
他に考えられるケースは営業代行する会社とエンジニアが契約するパターンでもほぼ同じです。名前が紹介会社か営業代行会社という違いだけですね。ただ、エンジニアの中にはこういった会社を使わずに、今まで築き上げた実績や人のコネを使ってクライアント企業と直接契約する人が現場よりは増えるとは思っています。
じゃあ、一般の会社に勤めるエンジニアはどうなるのか?IT業界と同じような構造になっている建築業界を見ることで将来がある程度予測できると思います。すべての派遣や業務請負が無くなるわけではありませんが、大きな影響を受けるのは確かです。発注側としても業務請負と疑われて痛くもない腹を探られるのも嫌がるのが普通です。大企業ではすでにそのように対応されている会社が多い、という印象を受けています。
新しい規制が入ると、「規制に適応する人」「規制の穴を探しだす人」「規制に適応できずじまいの人」という3タイプの人間がいます。自分自身が頑張って適応するのもいいですけど、上手に適応する人にのっかる、というのも一つの手法だったりします。