書籍「13歳からのアート思考」を読んでみた。個性って一体なに?【第39回】
ありがとうございます。平岡麻奈です。ふと、いつもこのように最初に名前を伝えることについて考えてみました。おそらく世界を探してみれば同姓同名の方はいらっしゃると思いますが、私は今日も【平岡麻奈】として過ごしています。芸能人の方が本名と芸名を分けられていることを思うと、別の人間という位置付けなのか、なんだか興味が湧いてきます。私達もペンネームであったり、自分を色々とアレンジ出来る機会はあります。色々な側面を持つような感覚でしょうか。個性というものは、人間ひとりの中にも複数あるのかもしれません。
自分自身の魅せ方の基盤となる名前を伝えることは、きっと【平岡麻奈】にしか出来ない文章の流れや、言葉の選び方を大切にしたいからなのかなと感じています。『個性』というものを大切にしていきたいと思いつつ、なかなか発揮出来る機会は少ないかもしれません。ましてや、『個性』を押し殺している場面も多いのではないでしょうか。多数決で決まることや、誰かが良いと言っているから取り組んでること。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第39回は、『個性』を学ぶ1冊をご紹介します。
13歳からのアート思考
【著】末永 幸歩
https://www.amazon.co.jp/dp/4478109184/
【アート】と聞くと、あまり自分には関係のないことかな、と思う方がいらっしゃるかもしれません。実際に『美術』であったり、『絵画を鑑賞する』ことが人生の役に立つのか?と疑問を抱いている場合もあります。本書はそういった方が多数存在することを理解した上で【アート思考】の重要性を説いています。
「私たちは『1枚の絵画』すらもじっくり見られない」という言葉が突き刺さりました。興味のある展示会に行ったとしても、流れるように進んでいったり、また解説文を読んで理解した気になっていたり。【物事の表面だけを撫でてわかった気になり、大事なことを素通りしてしまっている】ことは、「絵画を鑑賞する」以外にも言えることです。既存の「正解」に捉われずに「自分だけのものの見方」、すなわち【アート思考】は、美術に関わる方だけのものではないと納得します。
本書では「正解を見つける力」から「答えをつくる力」が求められている現状を伝えています。現代社会の潮流は、【VUCAワールド】と形容されます。本書を通して、初めて知ったこの言葉。「あらゆる変化の幅も速さも方向もバラバラで、世界の見通しがきかなくなった」ことを意味する【Volatility=変動・Uncertainty=不確実・Complexity=複雑・Ambiguity=曖昧】の4つの語の頭文字を取った造語です。近年「時代の変化にいち早く対応しながら、『新しい正解』を見つける」と語られていたことが、現代では「世界の変化に追いつこうとしても追いつけないほどに変動が激しく、変化するたびに【新たな正解】を見つけることが不可能であり無意味だ」と示しています。
本書を通して、特に【リアルさ】に関して沢山のことを学んだように感じます。口癖でもよく使ってしまうフレーズ。「リアルにどう思う?」だったり、リアルってそもそも何?というところに視点を向けています。例えば『リアルな絵を描いてみてください』となった場合、影を付け足すことで奥行きを出したり、立体的に描く場合が多いのではないでしょうか。この視点を変えてみます。例えば【人間】を描く。胴体から腕が2本、指は両手合わせて10本、目は2つ、口が1つあって、、。。ということが『リアル』となるならば、うつむき加減の人間を描いてしまえば、その絵は【リアルではない】という解釈になります。確実に目は2つ描いていなければいけませんし、全身を描かなければ【リアル】とは言い切れません。考え方や捉え方ひとつでこれほどに解釈の幅が広がる『リアルさ』は、「まったく違う地域・時代には、多様な『リアルさ』の表現が存在していた」事実を表しています。
歴史の中でも面白いところが、19世紀に発明された『カメラ』が20世紀に普及したことだと感じました。カメラの発明以前は、いかに目に見えている情景を映し出すことが出来るか?という観点で絵画の技術を発展させていました。そんな矢先、カメラがその役割を果たしてくれるようになる。この時期を境に『アート』には変化が訪れ、目に見えるものを確実に映し出すことよりも、【新しいものの見方】が必要となり、本書で学ぶ【アート思考】に繋がります。
日常は『アート』に溢れていると感じます。携帯ひとつのデザインにしても、毎日身につけているものにも、誰かの【アート思考】が組み込まれ、私達の生活を支えています。【アート思考】は、自分なりの答えを生み出すこと。この機会にじっくり絵画の鑑賞をしてみようと考えています。一見、身を置いている業界や生活に役立ちそうにないかな?と感じているものって、後々役立ったりするかもしれません。引き出しを沢山持っていることが、人生を豊かにするのではないでしょうか。
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