髪盛ってるから森姫

本気で考えた「次世代Androidアプリケーション」

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◆今回はDevelopers Summit 2011の報告です

 始まりは、2010年のことでした。まだ初雪も降っていないころに、Android女子部に「Developers Summit 2011」スピーカーのオファーが来ました。

 数カ月前まで田舎に住んでいた森姫には「目黒雅叙園」という漢字がとても難しく、何回も「じょじょえん」と言ってしまい、「がじょえん」と訂正されて恥ずかしくなって死にたくなりました。叙々苑は高級焼肉店ですね。

 私はその時、Developers Summit(以下デブサミ)がどんなに大きなイベントであるかということ、そして、目黒雅叙園がとても大きな建物と言うことも知らずに、「しゃべります!!」と言ってしまいました。

 後でデブサミが開発者向けのとても大きなイベントということ、目黒雅叙園が結婚式などで使用される立派な建物だということを知り、事の重大さに気がついて、「なんてこったー!!」と叫んでしまいました。目黒雅叙園は渋谷109よりも大きな建物のように見えました。

◆話したのは「これからのAndroidアプリ開発について」

 デブサミ自体はUstream配信していたそうですが、聞いたところによると、事前募集で申し込んだ人にしか見れないそうです。

 デブサミ内で私がしゃべったのは10分だったのですが、その中でしゃべったこととしゃべりきれなかった部分をコラムに書こうと思います。

 Android女子部での出演ということもあり、題材は「Android」でした。企画段階で話し合い「これからのアプリ開発について」をしゃべることにしました。

◆ところでAndroidの魅力ってなんですか? by 開発者

 さて、皆さんももう実感しているかと思いますが、世の中は「Androidブーム」です。

 ケータイ電話にはじまり、タブレットやらTV(Google TV)、他にもいろいろなものがAndroidになります。本当にブームです。

 開発者にとってAndroidの魅力は何か? 簡潔に言ってしまうと

  • 開発環境が無料で簡単にそろうこと
  • 自分で作成したアプリケーションはほとんど規制なし(注:もちろん利用規約は守らなくてはならない)でマーケットに乗せることができる

 この2点ですね。もちろん、下まわり担当の人は、もっと魅力的な部分があるのかと思いますが、私はそこまで分からないので、これ以上の言及はやめておきます。ただ、Androidの真の魅力はそこではないと私は思います。

◆私が考えるAndroidの魅力と開発者の願望

 私が考えるAndroidの魅力は、

 「ちょっと技術を覚えてしまえば誰でも他人に渡せるアプリケーションが作成可能であること」

です。

 開発者にとって「自分で設計したアプリケーションを自分で自由に作成できる」ということは大変に魅力的です。

 なぜかというと、仕事で作成するアプリケーションはよっぽどのことでない限り「お客様」がついてきます。

 他人が絡んでくる以上、自分が好きなようには作れない。

 その「お客様」が大人数であればあるほど「王道のアプリケーション」を作成しなければならない。

 仕事でつくる「アプリケーション」は「顧客の要求」に応える必要があります。

 しかし、趣味で作るアプリケーションの顧客は「自分自身」です。

 自分自身の要求に答えればいいので、王道でなくてもいいのです。

 自分さえよければ、ちょっと少数派な意見……言い方を変えれば「それ、誰の得になるの?」というアプリをつくっても怒られないのです。

 なおかつ、それを容易に他人に渡すことが可能。

 他人に見せびらかすのにいちいちパソコンを持っていかなくても、相手のケータイにアプリケーションをダウンロードすればいい。

 人間には「自己実現欲求」と「他者に認められたい欲求」が存在します。

 開発者は特に、この欲求を持つ人間が多いです。

 もっとかみ砕いて言うと……

 「自分が思いどおりのものがつくりたーい!!」

 「つくったから見てー!! ほめてー!!」

という、開発者の最大欲求が認められる可能性が、Androidでは比較的高いのです。

 これが、Androidの魅力です(注:あくまでも個人の思想ですが)。

◆Androidブームにより、発生する自然現象と回避方法

 そんな魅力的なAndroidなので、ブームに火がついてしまえば、あとは燃えるだけです。

 技術もそんなに難しくはないので、頑張れば初心者の人でもアプリケーションを作成することができます。

 そしてお金を払えばマーケットに出すこともできます。

 これらが急激に広まる……つまり「アプリケーション開発者が増加する」ということで起こりえる現象は何か。

 「アプリ沈没化現象」が発生します。

 皆がマーケットに出す世の中になれば、アプリケーションの氾濫が発生します。

 自分がマーケットにアプリケーションを出した10分後には「新着」の最下部にあってもおかしくない世の中になりつつあります。

 この「アプリ沈没化現象」により、本当に良いアプリケーションが埋もれてしまう、光が当たることなく沈没してしまうという大惨事が発生します。

 これは、開発者としてはとても悲しいことです。

 自分が丹精込めて作ったアプリケーションです。多くの人に見てもらえた方がいいですよね。そのためにはどうすればいいか。沈没せずに浮上させるには……

という題材で(前置き長い!!)、デブサミでは話させていただきました。

 先述したとおり、Ustreamは限定配信……かつ、自分のすべりっぷりはあまり見てほしくないので、コラムに書こうと思います。

◆その1:使用者を決める

 アプリケーションを使う人を決めます。最初はぼんやりと「男性or女性」や「子供or大人」ぐらいのくくりでかまいません。

 大きく考えて、どんどん具体化していけば良いです。まるで絵を描くように。

 デッサンから始めて、どんどんパーツを描いていきましょう。最終的に「○○さん」という絵が完成するぐらいまでがベストです。

◆その2:シーンを想像する

 アプリケーションが使用される場所を想像しましょう。どこで使ってほしいか、どんな場面で使ってほしいか。

 例えば、プリクラのように画像加工のアプリケーションだったら、みんなで集合写真をとったときにわいわい言いながら。

 ブログ用の画像加工アプリだったら、売れるために頑張ってるage嬢のスッピン姿を想像しながら(ちょっと違うか)。

 どういう場面で使われるか……ということを考えると、おのずとデザインが出来上がってきます。

 具体的にいえば、配色ですね。age嬢が普段の頑張り時に使うのだったら、リラックスできるデザインの方がいいし(変にゴテゴテしいと、逆に仕事してるみたいで疲れるんですよね)。

◆その3:使ってる姿を妄想する

 実際にその人がその場で使って遊んでる姿を妄想してください。もう、その人になりきるぐらいでもいいです。

 これはどんな効果をもたらすか、というと……アプリケーションの細部に出てきます。

 開発者がなにげなく使用している専門用語を避ける……など。

 逆にその人が普段使用している専門用語を並べてみる……など。

 改行位置や、ボタンの配置。細かいところに「気遣い」が出てきます。

◆その4:マーケットには必ず出す

 アプリケーションが完成したら、マーケットには出しましょう。

 野良でそのへんに公開して楽しむのもありですが、輝くためにはマーケットに……つまり、日の当たる場所に出していくのが一番です。

 もっと勇気を出して、レビューサイトへ持ち込むのもありです。

 待っていても、光はやってきません。

 果報は寝て待て、という言葉がありますが、寝て待っている時間があったら自分の手を動かしてください。光を自分で持ってくるぐらいの勢いが、これからの時代は必要になってきます。

◆その5:笑顔を見る

 最後に、使ってほしかった人の笑顔を見ましょう。

 それだけで、すべてが報われます。作ってよかったな、と思えることがとても重要なのです。

 なぜか。それは「次への活力」です。

 アプリケーションはつくってしまったらおしまい……ではありません。メンテナンスが必要になってきます。

 使っている人が少しでも不満を口にしたら「あなたのためにつくったのに!!」なんて怒らないこと。それは押しつけにしかならないからです。

 反対意見は素直に聞いて、どうすれば相手がもっと自分を褒めてくれるようになるか考えましょう。それが「アップデート」(いわゆるメンテナンス)という作業になります。

◆オフレコ話

 実は、その5はデブサミでは言いませんでした。

 代わりに「アプリケーション作成チェックシート」を配布しました。

 具体的にどうすればいいのかをまとめた資料です。Android女子部ブログからDLできますので気が向いたらどうぞ。

 なぜ私がこの句を言わなかったか。

 デブサミは「ガチ開発者」向けのイベントだからです。ガチの人向けに精神論を語っても、消化不良になるだろうと思っていたからです。あと、「時間制限」という、厳しいものも存在していたので……。

◆好きです

 長くなってしまいましたが、デブサミではそんな感じのことを言いました。

 ざっと見た感じですが、100人以上来てくださったので、さすがに緊張して早口になりました。

 お話をくださった翔泳社の方々、ありがとうございました。貴重な体験となりました。生きててよかった……と思いながら、今日もご飯を食べる私でした。

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