少数派の独白
◆森姫さん、パワー全開の独白
自己啓発、ビジネス書の類は実はあまり読まない森姫です。しかし、最近はちょいちょい読むようになりました。といっても、古本屋で表紙買いしたり、たまには本屋で定価で購入します。
発行年代によって、自己啓発の内容は違います。
最近の自己啓発やビジネス書はだいたい「日本は悪くなりつつある」「このままでは生き残れない」「海外に出よう」「情報発信をしよう」の類が書いてあります。
私は政治のことはよくわからないので、「そうなのかな?」と疑い、新橋に1時間ぐらい立ってみて行きかう人々の顔を見ています。
うーん、たしかに聞こえてくる話題はわりとネガティブ。
ところが渋谷109に行くと、活気にあふれた女性たちがたくさんの買い物をしている。
電車で30分以内の距離でもこんなに空気が違うのか、日本ってよくわからないな……というのが率直な感想です。
日本の状況がよくわからない人間が、本を書いている人の内容の感想をかくというのは無礼なことですが(本の内容をすべて理解できていないという意味で)、たまにはいいかな、と思って持論をかかせていただきます。
※あまりにも的外れなところは、きっと編集部が斜線を入れてくれるだろうという甘い期待。
◆修正速度よりも速い成長速度
なんで「日本は悪くなりつつある」と人は言うのか。本にはだいたい「日本は横並び」とか「学歴社会だから」と書いてあります。
このことは、どうやら「日本独自」らしい。この姿勢を直さなければ日本はだめになる。……たくさんの本が書きつづりますが、相変わらず日本は横並びだし、学歴社会です。たくさんの人が「日本の悪いところ」を指摘しているのに、日本は変化しません。
なぜか? 私なりに考えてみたのですが「まだ、その思想が少数だから」ではないでしょうか。
本屋にどれだけたくさん本があっても、読む人は限られているわけです。日本全体に本が配られて全員が読んだら、たしかに変わるかもしれません。常識やルールは「大多数が心地よく過ごせるためにつくられたもの」なので。
常識を覆すのは、時間がかかります。そして日本全体の常識を覆すのは、もっと時間がかかります。日本の常識を覆す速度より、海外が成長する速度の方が速いのです。一度覚えた公式を覚えなおすことは、まず「なんでこの公式を覚えたのか」という原点に立ち向かわないといけないため、成長するよりも時間がかかります。
◆自分が「少数派」であることを自覚する
多数派の考えを覆すのは、はっきり言って難しいです。
では、具体的にどうすればいいのか。まずは「世界の中の少数派」であることを自覚することから始めればいいのではないでしょうか。
そして「ルールは多数派が決めること」ということも覚えましょう。
最後に「多数派のことを勉強しましょう」。おそらく多数派のことを勉強している間に「へぇー」という純粋な感嘆が出てきます。
多数派の考えていることを勉強しているときに大切なのは「少数派として育てた大人たちが悪いんじゃん!!」と怒らないことです。
過去に戻って勉強しなおすことはできません。ですから、「少数派として育った」ということを受け入れるのです。受け入れるのは難しく、これまた時間がかかりますが、それでも多数派のことを勉強していると、急に世界が変わります。
「他の人ってこういう考えたしているんだ。なるほど……」
ここまで至れば相当、気が楽になります。少数であることを自覚して多数派とどう分かり合えばいいのかということが明確になるのです。
◆甘いカレーが好きな自分を捨てずに、いつか辛口を食べてみる
このときに「失ってはいけないこと」は「少数派である自分の考え」です。
多数派に合わせるということは、自分を否定しなければいけません。自分を否定するといいことはありません。気持ちが暗くなります。
自分は「だめ」ではありません。「自分の「核」を曲げないで、多数派を受け入れていきましょう」。
例えば、大人が4人集まって、カレーを食べています。3人は辛口をたべていて、1人は甘口を食べています。3人は1人を笑います。
「大人なんだから、辛口を食べなさいよ」
「甘口しか食べられないなんて、かわいそう」
「カレーに辛口があるのを知らないの?」
少数派の1人の答え。
「そうだね。大人だからカレーは辛口を食べた方がいいわね。私は甘いものが好きだから、甘口しか食べたことがないからわからなかったわ。辛口って辛いのよね。少し時間がかかるかもしれないけど、いつか食べてみるわ。教えてくれてありがとう」
この会話では「辛口を食べる大人」の理由を受け入れつつ、なおかつ「甘口を食べている少数派の自分」を説明しています。かつ、多数派を受け入れようとしています。ただ、すぐにではなくて「自分が納得できたとき」に多数派を受け入れます、と表明しています。
実はこの「少数派の1人」は頭の中では、「カレーは本来、辛いものだけど甘口という「カレーを甘くする」という発想が気に入ったからカレーをたべている」という信念があります。そのことは口に出しません。自分が少数であることを知っているからです。その上で「ありがとうございます」としめています。「あなたたちを知ることができて嬉しい」という共感の気持ちをあらわしています。
どうでしょう、これを世界規模でやってみませんか?
一方的に「悪いところを直せ!!」と押し付けるのではなくて「悪いところでも良いところを知っている自分を肯定して、多数派の意見を取り入れていく」というのはいかがでしょう。
◆相手の形式、自分が持つ言葉
なんだか説教がましくなってしまいました。なぜこんなことを書くのか、というのは私自身が少数派だからです。
周りの人はだいたい「あなたは変わっている」「常識がない」「宇宙人」と言います。
私はこれまでその言葉に対して「あんたたちに私の生きてきた道がわかるのか!!」と心の中で怒ってきました。表面上は「申し訳ございません。反省します」と謝って。
今まではこの冷戦がずっと続いていたのですが、この戦争を終わらせることを思い立ちました。
争いは「勝ち」「負け」しかないと思っていました。自分が負けると自分が不幸になるし、自分が勝つと多数派が不幸になる。誰かが不幸になるのは良くないことです。だから「和解」の道を選びました。
そのために、まずは自分と大多数の違うところを観察して……時には大多数の意見を聞いて……そして「受け入れる」。
といっても、これがまた難しくて、今でも天然で自分ルールを発揮してしまって人を怒らせてしまうのですが。ただ、自分を「少数の人間」と自覚するだけでも肩の力が抜けました。
相手の形式に合わせて、自分の言葉で説明する。これは難しことで、きっと試行錯誤は続くのでしょうが、私は良いことだと思っています。
◆日本人として、美しく「好きです」
「主語を言わない日本人」と言われますが、「以心伝心」「阿吽の呼吸」ができる日本は本当に美しいと思います。
そして美しく変化する日本語、日本独自の文化、私は好きです。
たしかに悪いところはある。暗黙のルールという不可思議な常識が存在します。でもそれは、言葉以外で相手のことを読み取ろうとした、本来日本がもっている「情の深さ」「相手を思いやる心」の象徴ではないでしょうか。
その心を忘れずに、むしろ「相手を思いやることができる力を無意識にもっていること」を誇りに思って「日本人として」世界に向けて生きていきたいのです。
コメント
Euglena
森姫さんのコラムを読んで、少数派の定義が少し偏っている印象を受けました。
少数派は大きく2つに分けられると私は思います。
それは、常人(多数派)に考えが及んでない人と常人の先を行ってる人の2種類で、簡単に言うと馬鹿と天才のことです。
よく馬鹿と天才は紙一重と言いますが、その言葉の真意は、常人から見れば馬鹿も天才も等しく理解出来ないということなのでしょう。
つまり、どちらも少数派なんです。
その点を踏まえて貰った上で、森姫さんの言う「ルールは多数派が決めること」、これはかなり疑わしいと思っています。
おそらく古代文明の時代からルールは王様が決めて、庶民はそれに従っていたのではないでしょうか。
ファッションの世界でも、雑誌に載っているモデルの子から流行が生まれることの方が多いのではないですか?
「優秀な少数派が決めたルールに、普通の多数派が従ってきた」の方が私はしっくりきますね。
インドリ
このコラムを読んで、森姫さんが変わっていると感じた事がありません。
今回のコラムも「人を思いやる」という美徳が示されており、常識を持っているいい人だという印象を持ちました。
私の場合、よく変わっていると言われますが、仕事の成果で納得させます。
私はよく少数派の意見を持つのですが、発明家ですのでそれを誇りに思っています。
何故ならば、大多数の人間が持つ視点しかもてなければ発明は生まれないからです。
森姫さんが少数派であったとしても気にする必要はありません。
本来人はそれぞれ個性があるはずです。
日本人は付和雷同になりがちですが、それがおかしいのです。