髪盛ってるから森姫

AQUOS PHONE 007SH Jが私に放った渾身の平手打ち

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◆あなたを2年間待っていた

 毎日、暑い日々がつづいております。皆さまにおかれましてはスポーツドリンクなどでときめきを冷やすなどの熱中症対策はしておられますでしょうか。

 さて、1カ月ほど前でしょうか。なにげなくガジェット関係のニュースをみていたときでございました。007SHというケータイが発売されるとのことでした。これまでの日本のケータイ、通称「ガラパゴスケータイ」を踏襲した形。だけど、中のOSはAndroid(2.3)。

 なんという斬新な形。いいえ、私はずっとこの瞬間(瞬間と書いてトキと読む)を待っていたのです。

 見た目はガラパゴス! 頭脳はアンドロイド!! その名もAQUOS PHONE 007SH!(若干ゴロが悪い)。

 なんということでしょう。ニュースでその写真を見かけて、発売日になってソフトバンクショップにてその姿を拝見したときに、私の目からは涙がこぼれそうになりました。ずっと、ずっと待っていたのです。あなたを。片手で操作できて、自分でアプリをつくることもできる。持ち運びも容易。いざとなったら画面を指で操作することもできる。なんて素敵な彼(彼と書いてヒトと読む)。

◆これまでの旦那との関係を見直す

 暗い部屋で、私はこれまで人生を共にした2台のケータイ……もとい、旦那と向き合いました。

「あなたたちを愛している。けれど、私はあなたたちよりも大切な人を見付けてしまった」

と言えば、彼らは果たして納得してくれるでしょうか?

「そうか、君が幸せになるのなら僕らは喜んで身を引くよ」と言ってくれることを祈って、私は紅白の旦那と対面しました。いえ、正確には紅白の旦那と交わした契約書に。

白い旦那の書類にはきっちりと「契約日:2010/7」と、赤い旦那の書類にはきっちりと「契約日:2011/2」と書かれておりました。同時に書かれていたのは以下の言葉です。

※2年以内に契約を解除した場合には機種代金および解約手数料をいただきます。

 そう。旦那たちとの結婚生活には2年縛りがあるのです。

◆惰性の関係は美しくございません

 それならば、旦那を3人にすればよいのではないか。と私は安易に考えました。だけど、私という人間は1人なのです。3人の旦那を満足させるだけの経済能力があるか、ないかといったら答えは「ノー」です。

 私は少しだけ涙を流して、二人の旦那を抱きしめました。「ごめんなさい」

 そして紅白のおめでたい感じのする旦那を腕に抱いたまま、私はケータイ電話ショップへと走りました。

◆森姫さん、たくさんのケータイと共に街を駆け抜ける

「いらっしゃいませー。何かお探しですか?」

と、ショップのお姉さんは言うでしょう。私はその言葉をお姉さんに言わせる前に、まずは白い旦那をお姉さんに突き出しました。

「解約手続きをお願いします」

 そのときの私の目は、いったいどのような感じだったのでしょうか。鬼の形相でしょうか。未練たらたらでしょうか。どちらかは分かりませんが、お姉さんはあっさりと解約手続きをとってくださいました。その後、別のケータイショップへ赴き、赤い旦那を取り出して同様に解約手続きをとりました。

 そのときでしょうか。私の中ですべてがはじけた感じでした。他にも所有していた使用していない回線を一気に解約しました。無駄に維持だけしていた回線という旦那に別れを告げました。

 愛は真剣でなければいけません。だらだらと惰性で続けるような関係は愛情とは呼べません。いつまでも、お互いにときめきと緊張感を持って接する。そのためには、「多少の離別はしょうがないことなのだ」と自分に言い聞かせて、私は離婚を迫るために街中を歩き回りました。

 「いらっしゃいま……」 「解約です」

 「番号札296のお客さまー」「解約です」

「このケータイを解約するとこのアドレスはお使いになれなくなりますが……」「かまいませんので解約です」

「電波の入り方が悪かったのでしょうか?」「いいえ。解約です」

 大・大・大 離婚劇でした。そうした離婚劇の末にのこったのは1つの番号です。残った番号をMNP(ナンバーポータビリティ)手続きを行い、予約番号を発行。私は、ソフトバンクショップへ向かいました。

◆時の流れを止めて……

 「いらっしゃいませー」

 「AQUOS PHONE 007SHをいただけますか?」

 「新規でいらっしゃいますか?」

 「いえ……」

私は手に持っていた紙を広げました。

「MNPでお願いいたします」

「……少々お待ちください」

 まるで逮捕状のようでした。結婚というよりかは逮捕というような面持ちだったことでしょう。店員さんがAQUOS PHONE 007SHを取りに倉庫に向かいました。そのとき、私の頭の中では中島みゆきの「世情」が流れていました。

 そして、倉庫から007SHが出てきました。あぁ、やっと、やっと……あなたに逢えた。Androidケータイが世の中に出始めて2年間。私はこのときをずーっとずーっと待っていたのです。

「こちらのAQUOS PHONE 007SHでよろしいでしょうか?」

「はい」

 私はこの世のすべての快楽を超越したかのような笑みをうかべて彼を手にとろうとしました。

◆彼女の平手打ち

 その瞬間、店員さんが思いがけない一言をいいました。

 「お色はいかがいたしましょうか?」

 色? 私はとにかくAQUOS PHONE 007SHがほしくて、色のことなど考えておりませんでした。少し悩みました。夏にふさわしい水色。美白を極めた美しさを放つ、白色。持つだけで知性を上げてくれるかのように影の引き立て役となるような、黒色。どの彼も捨てがたい。

 「女性向けのAQUOS PHONE 007SH Jというピンクタイプもございますが」

 「ピンク?」

 取りあえず現物を見せていただきました。今まで出会ったことのない……かわいらしい輝きを放つピンク。ピンクいえば林家ペー、パー子夫妻ぐらいしか思い浮かばないぐらいに発想力が貧困な私の頬を平手打ちしてくれたかのようでした。

 「あなた、覚悟よろしくて?」

 AQUOS PHONE 007SH Jというピンクのお姉さまは明らかに私を見下している「かわいい」というよりかは「クールな大人の女性」でした。

「あなたに決めたわよ。私、あなたのような女性になりますわ」

 そういうわけで、私はAQUOS PHONE 007SH Jというピンクのケータイ……もとい大人女子のお姉さまとこれから先歩むことになったのです。数々の旦那に別れを告げて、女子として修行し直すために。

◆好きです

 結果的に、今まで惰性で増やし続けていた無駄な回線を一掃でき、通信費も下がったのでこれはよい機会だったのかもしれません。たしかに今まで苦楽を共にした端末との別れは悲しくてしょうがなかったのですが、多少の痛みは仕方がありません。それに、解約したとはいえ、Wi-Fi経由なら問題なく使えるわけなので……。

「ま、いいか」

 といつものように気楽に考え、その日の帰りに少し飾りのついた箱を買いました。ジュエリーボックスならぬガジェットボックス。ちょっと飾り付けをしてきれいに扱おうと決心しました。

Comment(1)

コメント

いちごのさくら

僕は、au派だったのですが、(今でも、浮気はしていません、ちなみに…!?)ところが、GalaxyTab(7.0inch)の画面サイズといったら…、写メ好きの僕としては、写真チェック用に、どうか、というより、やっぱり、一目惚れだったような気がします…!! ちなみに、発売当初の値段そのまま、高い値段で買いました…!! 今の値段はといますと、ただも同然…!! 事務手続き手数料にての、お買い求め~!! にて、ショック~!! また、今年に入っての春…、auソニ・エリs006を見て、また、写メ画像数と、輝度(他の機種よりも、明るくシャメが撮れるんです…!! )が、素晴らしく、また一年前のモデルと、お別れをしました…!! う~ん、2台持ち+emobile&ネットブック(コーヒーブッカケ、分解整理中、メモリー紛失、未だ、回復のメド経たず…!!)、挙句の果て、親父に泣き込んで、¥100円PC+15.6inchノートPC(emobileと、抱き合わせ)を買い替え、今に至ります…!! 僕の出費、au携帯2台分(1年+2年分)にて、1万円ぐらい、+emobile(半年+1年分+2年分、2台は、自己の名義、もう一つは、親父の名義にて購入…。)で、1万円超えるか…!? それで、スマフォのGalaxy Tab(3G+Wi-fiは、emobileを使用している為、本体代金のみ…。)¥3,700円位…。結果、¥23,700円…、位か!?給料13万円…!! 食費を削るだけ削っています…!! 嗚呼、いっそ解約できるお金が手元にあったら~(T_T)

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