髪盛ってるから森姫

会社から「熱い人」がいなくなった日

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 「もう会社のために働けとはいえません。残り数カ月は自分のために、少しでも何か吸収するように働きましょう」

◆盛り上がる理由

 仕事にしろ、コミュニティにしろ、何でもそうだと思うのですが、「物事に熱い人」がいて成り立つものだと思います。

 仕事も「何となくやっている人」の集まりではなく、「熱い人」がいることで、その人を中心に盛り上がり、活気が生まれていく。そういうものではないでしょうか。

 わたしにとって、先輩は「会社の中で一番熱い人」という認識で、この人がいるからがんばろうという気持ちになりました。

 先輩はわたしと同じ境遇で、どこぞの会社に派遣されています。しかし、社内のことに熱心でわたしが聞く前に社内の様子を教えてくれました。派遣として社外で働いている身でありながら、社内に置き去りにされている感がなかったのはこの先輩のおかげです。

 一時、わたしも先輩も社内で働いていたことがあって、そのときはわたしの知らない仕様書の書き方などを教えてくださったりもしました。

 教育熱心で、部下のこと、何よりも会社のことを思ってくれる先輩。

◆先輩が会社を見捨てたとき

 そんな先輩から届いたメールに、冒頭で引用した文章がありました。

 一時わたしが派遣がいやになって愚痴をこぼしていたとき、相談にのってくれて「会社にお金が入るのは貢献している証拠だから、会社のためにもがんばろう」といってくださいました。

 あれほど「会社のため」と言っていた先輩が、いよいよ会社を見捨てるような発言をしてしまったのです。

 メールをいただいて数日後、急な人事異動がありました。

 先輩はそれまで「幹部」だったのですが、急に別の先輩が幹部をやることになったのです。

 先輩に「なんで幹部を降りたのですか?」と聞きました。

 とはいえ、電話番号などは知らないのでメールで。メールは一向に返ってきませんでした。

 後輩にそれとなく聞いてみたところ、「会社が急に先輩を幹部から降ろしたわけではなくて、先輩から幹部を降りたいと申し出があったらしいよ」とのこと。

 先輩は、役職すらひっくり返しました。

 先輩が会社を辞めることはないと思いますが、先輩はもう会社に冷めてしまった様子でした。

 「契約を取ることはもう考えない。何かセミナーでも受けて過ごす」とメールの最後に書かれていました。

◆自分の無力感

 物事を「盛り上げよう!」としている人がいてはじめて物事は盛り上がるのです。

 勝手に盛り上がること、燃え上がることはないと思います。

 おそらく今の会社に「会社を盛り上げよう!」としている人はいません。

 経営者は「盛り上げよう!」とは思っているかもしれませんが、具体的に動いている姿が見えないのでどうともいえません。

 言い方は悪いですが、先輩が会社を見捨てた瞬間に、いまの会社は終わったものだと思ってしまいました。

 先輩の熱さを継げるような人はいない。

 誰かに頼らず自分が継げばいいじゃないか、とも思い、先輩の補佐の役職に立候補したのですが、相手にすらしてもらえず。

 社内で働いている人から見れば、社外で働いている人間がでしゃばっても「社外の人間に、社内の何が分かるの?」と言った様子でした。

 何を言っても、聞いてもらえない。何をしても成果が出ない。

 もう、わたしにできることはありません。

◆社外で働いて社内で失ったもの

 社外で働くということは、社内においての発言権がなくなるということなのだと実感しました。

 とはいえ、これもおかしい話なのですが。なぜならば、社外の仕事をしているということは社内にお金をいれているので。

 しかし、社内から見れば「よそ者が!!」という感覚なのですよね。まぁ、わたしの契約はあんまり儲けが出ていないからかもしれませんけど……(たぶんこれ)。

◆冷え切った会社

 いまの会社は存続はするでしょうが(会社はそう簡単に倒産しないのです)、こんなにも冷え切った会社にこれ以上いることに意味があるのか、という面で悩んでいます。

 このご時勢なので、仕事を選んでいる余裕はないのですが、働いていて、とても無力感を覚えるのです。

 せめて社内が熱ければ、社内を支えるためにがんばろうと思えるのに。

 先輩がいう「自分のため」をいま、必死で考えています。

 「自分のために数カ月をすごせ」

 わたしが、いまの会社で自分のために何かできるとしたら、何なのだろう? と。

 自分がこれから先、何をして過ごせばいいのか分からず、途方に暮れています。

◆好きです。

 渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、ぽつんと1人立っているようなものです。

 こんなことしていたら、いつか車に引かれますが、車に引かれてしまうほうが楽かもしれない……というぐらい、毎日が暗くてどうしようもない状態です。

 でも、笑いながら仕事はしています。恐怖と戦うためにはちょっとでも笑っていないといけません。

 あと数カ月で、人生が大きく変わるかもしれません。

 もしかしたら変わらないかもしれないし、変わるのは数日後かもしれません。

 どうしていいか分かりませんが、とりあえず1日でも多く笑ってすごせるように努力はしていきます。

 できれば未来も笑っていられるように、最善の道を考えながら。

Comment(3)

コメント

インドリ

こんにちは。森姫さん。


>渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、ぽつんと1人立っているようなものです。

フリーな私は常に部外者なので、この感覚良く分かります。
この恐怖に耐えるには、プロフェッショナル精神が必要です。
プロフェッショナルの定義を持てば、この感覚を冷静に受け止める事が出来るようになります。
私の場合は、「顧客や依頼主に合わせる」をプロフェッショナルの定義にしております。
自分が良いと思ったことでも、顧客や依頼主が悪いといえばそうだと受け止め、
自分が10点と感じても、顧客や依頼主がそれで100点と思うならばそれでいい。
徹底的に顧客と依頼主に合わせるのが私のプロ精神です。
そうすれば、熱さが蒼い炎となり、独りだけの状態でも熱さを保てるようになります。

あずK

うちの会社(部署)も似たようなものでして。
尊敬していた上司は熱い方で、大きなビジョンも持っていました。
その上司が辞めてからは、部署に明確なビジョンはなく、
会社全体でもビジョンは無く。
冷えてますわ、会社…。
昔は「OSSでビジネスしましょう」「社内SNSを作りましょう」と熱かった僕も
今や頑張る気になれず社内で大人しくしています(苦笑)。

未来については僕も最近よく考えています。
僕の場合は父の件も含めて考えないとなので、
なかなか、最善の道は見つからないですね…^^;

しっぱ

こんにちは。しっぱと申します。

以前の会社では火消し屋ということもあり、社内だけでなく社外の現場でも初めての人ばかりでした。
当然最初は発言することもできず・・・

ま、でもそれでは仕事になりませんので、私自身、何が出来るのか、今なにをしたらこの仕事がうまくいくのか。
それだけを考えて、仕事に向かうようになりました。

そのおかげで人の話を聞く、話の裏側を汲みとる能力を身につけることが出来ました。

結局、一人ってのは社内にいても社外にいても同じなんですよね。

あずK様がコラムでも同様のことを書かれていましたが、ひょっとしたら自分から壁を作っているだけなのかもしれません。

しばらく私もエンジニアライフは拝見していませんでしたが、森姫様は確かAndroidで何かやろうとご自分で動かれていたと思います。

それはきっとご自身の意欲だと思います。

自分とは違う他の何かのために頑張ることは依存しているということ。

そんな時こそ自分がどうしたいのか、どうなって行きたいのかしっかり考える良い機会なのかもしれません。

自分の気持ちにまっすぐであれば、人や会社に依存することなく仕事はやっていけると思います。

最後になってしまいましたが、メンタルヘルス持ちとして一言だけ。
文章を拝見すると結構凹んでる感じを受けますが、周りに流されず自分を信じてあげましょう^^

ある程度会社で働いていると色々なことが降ってきたり湧いて出たりします。
もっといえば、喜びも悲しみも全てヒトという生き物にとってはストレスなのだそうです。(入院の際に医師に言われてショックを受けた一言ですが。。。感情をなくせってことか?って思いましたが、今は全く違う認識です^^;)

森姫様はきっと真面目すぎるんだと思います。
もっと気楽に構えててもいいと思いますよ^^無理しすぎないでくださいね!

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