地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

自分の思惑とは違ったローコードの受け入れられ方

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 7月が終わろうとしていますが相変わらずの夏真っ盛りなここ最近です。とはいっても、私が住んでいるところではそこまでの猛暑となることは少なく、ここ最近は雨の影響で暑くはないけども湿気が多いことが続いています。お仕事の方はありがたいことに順調で、こちらが想定している以上のお声がけをいただけていることもあり、人手が足りないとぼやく毎日を過ごしています。

 ここ数年、私が取り扱っている領域はローコードやノーコードの世界です。個人的にも関連する活動を行っていたこともあり、社内においてはどちらかというと周囲を引っ張る側に属する程度には成長してきたと感じます。多くの案件を対応していくことで、今の世の中的にどのようにローコードやノーコードのサービス・ツールが受け入れられているかという点が見えてきたように思えます。

 もともと私としては、ローコードやノーコードを活用して自分たちでシステムを作り上げることができるようになるのが望ましいと考えていた面はあります。ただし、IT 技術系によくある、ここに至るまでに何度か通ってきた道でもありますので、どこまで受け入れられるかは五分五分かな、とも考えていました。ツールやサービスが進化を続けていても、一定数はそこに魅力を感じないと考えていましたので、今回もどこまで浸透できるかは何とも言い切れない状況であったといえます。

 それはユーザー側だけでなく、プログラムを書いて開発を行う側はより顕著でした。どうしても、プログラムを書いた方が速い、という実体験に基づく経験から手間が増える割に大したことができないように見えるノーコードやローコードに魅力を感じないのです。個人的にはどのような感想を持つのも自由だと思いますので、このような反対意見があるのも自然なことだとは思います。

 ただ、実際に業務として関わり合いを続けたことで、思っている以上にユーザー側には受け入れられているという実態を感じることができました。内製化を進めたいから支援してほしいという話もありますし、最初から自分たちで作り上げることは難しいので最初は外部へ委託、完成後の機能強化から自分たちで行うといった方針でのお話も数多いです。ここが私が見えていなかった部分でもあります。

 純粋な開発を生業としていた場合、他人が作成したシステムを引き継いで保守運用していくことはできれば避けたい、このように考える会社は多いでしょう。ですがユーザー企業の場合は心理的な障壁が低いのか、外部に作成してもらったシステムの面倒を自分たちで見ることを受け入れているユーザーは結構な数になります。これは、最初から自分たちですべて行おうとハードルを高くするのではなく、現実的な対応として少しずつ自分たちが慣れていく形を優先し、可能であれば作成してもらったシステムをお手本として活用する、このような考え方をする会社は体感的な感触も含め非常に増えてきていると思います。

 全てを自分たちで扱えるように教育や活動支援を依頼する会社も多いですが、正直なところその試みが成功するかは色々な要素が絡み、社内の風土として取り込むことを断念する話も聞きます。そのような他社の話を耳にしたから、自社での取り組みは違う形で時間をかけて取り組もうと考えられているのかもしれません。どちらにしても目指すところとしては内製化なのですが、そこに至るまでのアプローチはいろいろ考えられます。その中の一つが、最初は外部に依頼しその後を自分たちで面倒を見る形なのだと思います。

 ここまでローコードやノーコードが受け入れられた背景は、やはりスピード感とコストの問題が大きいです。パブリックな世界で運用するシステムを構築するといった、多くの知見や技術力を求められる場合でもない限り、それこそ社内で限られた人間が使うだけのものにかけるコストとかかる時間が釣り合っていない、そう感じるユーザーが増え続けていることのあらわれでもあります。ユーザー側の気持ちが変化してきたことに、開発を生業とする会社が気づけなければこの先は苦労する未来になる可能性が高いです。

 開発側としては、どのように活用することでよりユーザーがメリットを感じられるかを話すことができるようになる必要性はますます高まると思います。これまでも当然求められていましたが、ユーザー側が採用できる手段が増えてきたことに、私たち開発側も追従できなければならないのではないでしょうか。ユーザー側に、こうあるべきだ、と言ってしまうのは簡単です。ですがその結果どうなるか、開発側の都合を押し付けることには今後より一層厳しい目が向けられていくのではないかと私は考えます。

 今後の流れがどのようになるかはわかりません、ですが、今を乗り切れなくては未来もないのも実際です。より良い方向へ進んでいくためにも、相手に合わせて話ができるようになることをより一層身につけていかなくてはならないのだと思います。

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