地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

個人目標を捨てよう

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 技術者に対して、納得のいく評価を行っている会社というのも非常に少ないイメージがあります。規模が小さいうちはまだ可能ですが、大きくなるにつれてどうしても技術者が納得する評価制度をとることが出来なくなってしまうようです。

 恐らくは技術者に限らず、ありとあらゆる職種の人が同様に感じているのかもと思います。もちろん万人が納得する評価基準というのは、世の中にはありえませんのでどこかで妥協するしかないものではあります。ですがそれにしても、技術者に対する評価については、納得のいかない人も多いのではないでしょうか。

 私は経営・管理側ではないので、実際に他人を評価することはそれほど多くはありません。せいぜいが、プロジェクトに参画するメンバーに対して評価する程度です。自分の基準としては、そのプロジェクトにおいて相手が持つプラスの面をできるだけ見ていきたいのですが、稀にプラスの面を打ち消すくらい強烈なマイナスを保有している人もおり、そういう場合では厳しい判定を出すこともあります。

 会社に属する社員として考えると、その会社の理念や思想にどれだけ貢献しているか、という結果から評価を下すことが多いのかな、と感じます。この方法だとどうしても、案件単体で見ていかざるを得なくなりどれほど優秀なスキルを持っていたとしても、案件が失敗した場合は高い評価を下すことはありません。そもそもスキルに対して評価を行う、という方法は非常に難易度が高いように思えます。

 技術者のスキルというと、プログラムを組む能力や設計する能力、キーマンと折衝する能力など多岐に渡ります。業務としてコードを書くことが殆どであればコードを書く能力を、リーダーとして複数人をまとめ上げる立場であるならコミュニケーションや管理する能力を、というようにその人がどの立ち位置にいるかによって評価すべき項目は変化します。理想としては、その立ち位置を細かく定義したうえで評価できればよいのでしょうが、それでは非常に複雑になってしまいます。

 そういった事情も見え隠れしているので、文句はあるけども少しは納得しているのですが、どうしても納得できないものが一つだけあります。

 それは「個人目標」です。

 会社によっては、上期下期の変わり目に今季の目標やら施策やらを提出させられているところも多いと思います。たてた目標に対してどこまで実現できたか、という結果をもとに個人評価を行うことになるのですが、私の中では会社としてこれをやらせている事にはまったくもって納得できません。

 例えば年数に応じて求める目標内容をステージ分けしたりしますが、人によってはそもそも自社にいないよという人も多い中で、そのようなステージ分けはあまり意味がありません。場合によっては一人でずっと常駐させられている状況が続いたりすることあり、経験年数によるステージ分けはほとんど無用の代物です。また常駐先によって求められることが大きく変わることも、全く珍しくありません。そんな状況で会社が決めたステージに沿った目標を立てさせることに、私としては意味を見いだせていません。うがった見方をすれば、達成できない目標を決めさせマイナス要素を作らせるためにやらせているのではないか、とも思えるほどです。

 会社として何らかの評価を下す必要があるのは理解しています。ただそのために、立てるのも達成させるのも難しい目標を、わざわざ作らせることは必要ないのではないでしょうか。ましてや相対評価を行っている会社の場合では、目標オールクリアであっても結果的に評価が下がる、という何を言っているかわからない状況になることも多々聞きます。そのような結果が起こることもある方法に、どのような良い点があるというのでしょう。

 よく書籍や記事などで、社員に目標を立てさせることでそれぞれの成長を促す、的な内容を目にすることがありますが、それを行うための前提として、目標を達成したら正しく評価する、という土台が必要です。達成しても評価しないのであれば、それは何の意味もないどころか、社員が会社に対する気持ちを大きく後退させてしまいます。

 会社として必ず評価できるものではない、というならば最初から目標など立てさせなければよいのです。立てさせるにしても、純粋に個人的な目標にとどめ、評価には用いないなどと分けて考えればよいのです。もしかすると経営・管理側に身を置くと、そうも言ってられない事情があるのかも知れません。ですがそういった話があるならば、それを社員に落とし込む必要は間違いなくあるのではないでしょうか。

 あいまいな基準のもとに評価されることは、社員にとっても何一ついい事はありません。基準を明確にすることが大変重要で、もしその中に目標制度が盛り込めているならば、その時は納得して自身の目標を立てることと思います。少なくともそこがクリアにならなければ、私は個人目標と呼ばれる代物はなくなって構わない、とまで感じています。

 評価するというのは難しい事だ、それは非常に理解できます。それならば、明確な評価基準を立てるためにも、あいまいになりやすい個人目標というのは廃止してしまってもよいのではないでしょうか。

Comment(1)

コメント

通りすがり

全く同意
目標設定シートなんて糞くらえだ

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