地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

今の仕事は来年もできるか

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 私の場合、表立って取り扱われないジャンルを好む性格というのもあり、非常にニッチな路線ばかり気に入って調べたりすることが非常に多いです。自分としては見所があるから気になって調べているわけですが、ここ @IT をはじめとして、各種媒体で取り扱われない分野であったりします。世の中的には同じように、なかなか日の目を見ない技術に注目して、周りがどうあろうと関係なく自分の道を進んでいる人も多いです。

 技術というのは非常に面白いもので、ずっと日の目を見なかったものが突然表舞台に登場するということも多いです。もちろん実際には、本当の意味で突然現れるものは数少なく、その多くは昔からの積み重ねがようやく実って登場する、そういったケースがほとんどだと思います。

 例えば私は、コードを書かない開発という分野に興味を持っています。この分野も大分昔から研究されており、その時代に合わせて多くのソリューションが登場しています。現実としては、期待の応えられるような製品ではなかったこともあり、今に至るまで浸透することはなかったのですが、それでも着実に昔よりは多くのことが対応できるように進歩しています。

 職業として私もコードを書く人間ですので、コードを書く開発が完全になくなるようなことはありえないとは考えています。ですが、今コードを書いて開発しているものでも、数年後にはコードを書く必要がなくなるであろうことは当然の流れです。全てを自前で構築しなくてはいけなかった時代を知っているのであれば、今の環境では半分以上が自分たちで作業しなくとも対応が可能となっている事に、古くからのエンジニアであれば気付いているでしょう。これと同じことは、これからも同様に起こり続けるのです。

 作成したシステムを動作させるインフラも、クラウド環境が一般的になった今では一から構築することもかなり減っています。多くのことを知らなくてはできなかったことが、今ではその一部分を知っているだけで同様のことができる時代です。当然、だからといって知らないままでよい、とは一概に言えませんがそれでも知らなくても大丈夫、という領域は日々確実に広がり続けています。

 この流れと同様に私の中では、いつかコードを書かなくとも求める要望の多くを叶えることができる時代が来る、そう期待してしまうのです。

 IT エンジニアでなくては対応できなかった多くの事柄も、非 IT な人が対応できるように技術は進んでいます。Web サーバーを構築するのも、今では誰でも簡単にできる時代です。ノウハウが必要な運用面も、どこかのタイミングで誰でも扱えるようになっても何ら不思議ではありません。

 開発・構築においても、Iaas がコスト的に見合わなくなり Saas や Paas がようやく浸透してきているのもあり、私たちが面倒を見なくてはいけない領域が確実に減っています。決してなくなりはしませんが、そこに携わる必要のある人はほんの一握りに限定されていくのは間違いないでしょう。自分たちがそのような重要なところを担っていると意識できている人であればよいのですが、世の中のほとんどのエンジニアにとっては自分たちが行うべき作業が減り、仕事がなくなるというのもあながち遠い未来の話ではないのです。

 会社としての都合があるので、わかってはいてもこの方向へ転換できない会社もあるでしょうが、そのような会社は遠からず淘汰されてしまても不思議ではありません。私達には関係ないと思っていても、気が付いた時にはすでに取り残されていることが、今のご時世では非常に多く起きています。

 今だけを見れば、このような考え方に基づいてあれこれ心配することはないのかもしれません。ですが、それほど知識のない私でも予想できる数年後には、少なくとも同じようなやり方で開発や構築を行っているとは、まったくもって考えにくいことです。もっと多くのことを知っている人から見れば、確実に近いタイミングでそのような方向転換は起きる、と具体的なイメージが見えていても、何も不思議ではないのです。

 私が願う、コードを書かないで行える開発も、恐らくは今行われている部分を賄えるようになるのに、それほどの時間は必要がないでしょう。大規模なインテグレーション的な仕組みだとかは代表例で、昔は送受信の仕組みを作成してやりとりしていたことも、今ではコードを書くこともなく実施可能です。そのようなサービスや製品は非常に多くの数が、世の中に登場しています。これも昔では考えられなかったことです。

 このように、気が付いたら自分たちの仕事がもっと安価に確実に誰でも行えるようになる、というのは珍しい事ではありません。自分たちの仕事には需要がある、そう思う事は大切ですが、今と同じやり方ではその需要もなくなるでしょう。そうと気づいたときに取り残される側とならないよう、エンジニアとしての引き出しを多く持ちたいものです。

 これは会社から言われてやるのでは恐らく遅く、エンジニア一人一人で危機感を持って行動するのがよいと私は考えます。来年の今、自分の仕事があるかどうかも予想できない時代です。そうなった時に慌てないために、今やっている事以外にも手を伸ばしておくのがよいのではないでしょうか。このように私も書いていますが、自分がそうならないよう、日々色々な事柄に興味をもっていかなくては、と改めて気を引き締めた次第です。

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