地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

そこにある繋がり

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 気が付くと、わたしもこの業界でそれなりの年月を過ごしていました。気持ちだけは「永遠の20代」などとうそぶいていますが、寄る年波には勝てません……というほど、年を重ねている訳ではありませんが。

 営業職や経営層に比べて、ITエンジニアという職種は外に出ない方が比較的多いと思います。電算部やシステム部という形で企業内部にて働かれている場合やオペレータといった職種など、人によって状況はさまざまかと思いますが、他の職種と比較すると、外に出る機会が少ないのではないでしょうか。

 わたしの場合はITエンジニアでありフィールドサポートであり、システム営業的なことも経験してきたので、同業種の方に比べるとまだ外に出る機会が多かったと思います。しかし、ここ最近となると、純粋にエンジニアリングを行っていることもあって、そうそう外に出ることがなくなってきました。

 これは、非常にもったいないのではないでしょうか。

 わたしだけかどうかは分かりませんが、技術者気質を持つ方というのは、他よりも顕著に刺激を求めていると思います。外に出ることによって、社内では知らなかった多くの刺激と出合えるのではないか、と考えています。そして、その刺激がよりよいエンジニアリング活動を行わせるための糧となるのだとも。

 今まで、わたしは Microsoft が開催している無償セミナーに、できるだけ参加するようにしていました。コミュニティ活動まで手を出さなかったのは、諸般の事情が存在していたためで、その中でもできるだけの刺激を求めて参加していたものです。

 実際にセミナーだけであろうとも、得られる刺激は数多いです。提供されるセミナーは新しい技術をメインに講習してくれることが多いので、そこで聞いた内容を元に今後のシステム像を考えたり、提供できるアプリケーションを試してみたりすることで少しでも前に進もうとしていました。

 今年に入り、北海道で活動されているコミュニティである CLR/H に参加させてもらうようになり、さらに多くの刺激を受けることができています。コミュニティに参加している方々は、自主的に参加されていることもあって、非常に刺激的です。

 最近行われた勉強会では、F# を題材とした関数型言語のセッションが設けられ、手続き型言語ばかり扱ってきていた自分としてはものすごい衝撃を味わいました。正直、業務として関数型言語を扱うか、といわれるとまだまだ未知数ですが、その考え方自体は間違いなく必要となるだろう、と感じた次第です。

 このようにプラスになる点が多いのが、わたしがセミナーやコミュニティ活動に参加する理由です。しかし周りを見ると、数多くの方がそのように動かれてはいないのが実体ではないでしょうか。

 わたしの勤務先においては、同じように活動される方はいません。技術職に就いているという意識からなのか、特に外へ出る必要性を感じていない方が多い様子です。仕事が忙しいからだ、といわれることもありますが、残念なことに月労働時間が社内で最も多いのがわたしですので、それはあまり事実ではないでしょう。本当の理由は何なのか、そこはわたしには分かりません。

 ですが間違いなくいえるのは「もったいない」ということです。自らが成長できる機会をみすみす捨てているようなものです。プロとして働いている以上、常に前へ前へと進んでいくようにしていなければユーザーに対しても失礼ではないでしょうか。

 いい方を変えれば、「常に何も変わらない電化製品を売りつけている」ようなものです。変化しないことが良いとされる世界とは、わたしたちが身をおく IT 業界は違う世界だと思います。

 もしそのような機会を目にした際は、迷わずに参加してみるようにすると良いと思います。それは確実に自分に対してプラスとなることだと思います。またそのような場に身を投じることは、新しい繋がりを得ることにもなります。

 技術者層は比較的、横の繋がりが薄いと思えます。もし繋がりが増えることがあれば、社会人としてだけではなく1人の人間としてプラスとなることが多いのではないでしょうか。

 わたし個人として、ここエンジニアライフでコメントしてくださる方々や、Twitterなどで交流してくださる方々すべてが師と仰げるような存在と思っています。そのような方達との交流はもっともっと増やしていきたいものです。

Comment(13)

コメント

kuroki_trx

はじめまして。

興味深くエントリを拝見いたしました。
私の勤務先でも、全く同じ問題を抱えておりまして。

Ahfさんが指摘される繋がりの薄いエンジニアの多くは、
恐らく、成長することを諦めているのではないかと推測します。
もしかしたら、受け身の体勢で仕事をし続けてきたのかもしれません。

もともと前向きだったエンジニアを元に戻すのは、
環境を整えたり刺激を与えれば、自分から勝手に変化していきますが、
諦めてしまったエンジニアを元に戻すのは、大変困難です・・・。

おっといけない、愚痴になってしまったw

wona

僕の場合は技術系よりも一般のビジネス書やビジネス系雑誌の勉強会に参加しています。
理由は同様に刺激を求めてです。他の会社のエンジニアの方と話すのも刺激になりますが、他の業界の方と話すのも同様に大変刺激になります。また、こういう勉強会は意外とIT業界の方が多いんですよね。
で、勉強会に参加しているIT業界の人と話してもそうですし、僕自身もそうなんですが、ビジネス書が好きだったり、勉強会に参加しているというとひかれるのではないかという恐怖感がちょっとあるんですよね。

がると申します。
個人的には、技術者という職分は「相手の意向をシステム化する」職分だと思うので。「相手とのコミュニケーション」と、その土台にある「基本的なビジネス系スキル」は、職能の一つだと思うんですが、実際どうなんでしょうかね?
また。技術は「他人に教える」ことで、深みも増せば成熟も習熟もするものだと思っているので。そういう意味でも「独りで閉じこもっている」ような状態に、あまり優秀な気配を、私は感じないです(苦笑

最近購入した書籍ですと「情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方 http://amazon.jp/dp/4274067939/ 」がそのあたり非常に面白かったですね。

インドリ

同感です。私も常に刺激を求めて行動しています。
私の場合は、色々な理由があって勉強会には参加できませんが、「俺より強いやつに会いに行く」と考えてネットを使い始めました。
それで改めて感じた事は、社会的常識が欠落した人や、コミュニケーションを取れない人や、読解能力が著しく低い人が居るという事です。
コミュニケーションや常識やマナーといった事は、技術者うんぬん以前に社会人として当たり前の事だと思うのですが、この記事を読んで社内やコミュニティなどの一部の世界に閉じこもっている人ならば、それもありえるのかなと納得しました。
やはり交流は大事ですよね。
私も余裕が出来たら勉強会などのイベントにも参加したいなと考えております。
ただ、勉強会に参加しても精神的に閉じこもっていたり、技術者同士の狭い世界で閉じてしまったりしては意味がありませんので、参加するだけではなくてアクティブに交流を深め、広い見識を持ちたいです。
その為には、ビジネス系の勉強会に参加する必要があるかもしれませんね。
その他にも、学問系の人にも会ってみたいです。
他の専門家の思考は興味深いです。
とにかく、繋がりと広い視野は大事ですよね。

Ahf

kuroki_trxさんコメントありがとうございます。

>恐らく、成長することを諦めているのではないかと推測します。
>もしかしたら、受け身の体勢で仕事をし続けてきたのかもしれません。

私も似たように感じています。ここ最近は特に顕著で、受け身姿勢な人というのがかなり増えてきたと思えますね。恐らくはその中においても、刺激が与えられるような環境に出会えれば変わる人もいるのだろう、とは思って・・・いや、信じたいところです。

諦めてしまった人に対しては、理想として企業側で何らかの対策を用意するなりしてもらえればいいのでしょうが、現実にはそれも難しいですしね。私のような勤め人ができるかもしれないのは、少しずつでも風向きを変えることぐらいなのかな、等と思っています。

Ahf

wonaさんコメントありがとうございます。

>僕自身もそうなんですが、ビジネス書が好きだったり、
>勉強会に参加しているというとひかれるのではないかという
>恐怖感がちょっとあるんですよね。

その気持ちはわかる気がします。@ITとか色々なサイト等で勉強会について目にすることが増えたとはいえ、まだまだ実際に参加されている方々の割合というのはかなり少数なのですよね。このあたりは個人主体で活動するコミュニティ形式に、どうしても発生する課題なのかもしれませんね。

私はビジネス系の勉強会には参加できていませんが、その類の話題も非常に興味があります。というよりも、どんなことでも面白いですし、自分の為になるのですよね。こう考えるのは社内などでは少数派かも知れませんが、コミュニティ等の外部では結構大丈夫だと思っています。

Ahf

がるさんコメントありがとうございます。

>技術者という職分は「相手の意向をシステム化する」職分だと思うので。
>「相手とのコミュニケーション」と、その土台にある「基本的なビジネス系
>スキル」は、職能の一つだと思うんですが、実際どうなんでしょうかね?

私も同様に考えます。コミュニケーションにおいては、技術者のみに留まらず社会人としては必須なのではないかな、とも思います。何かを行う際に、コミュニケーションが無くとも行えるものというのは、殆どないのではないでしょうか。

また「優秀な~」の部分も同様ですね。人に説明などを行うことにより、色々なフィードバックを得ることができ、最終的に自分自身が更に高みに上ることができるというか。社外であろうと社内であろうと、そのあたりは同じだと思うのです。

Ahf

インドリさんコメントありがとうございます。

>他の専門家の思考は興味深いです。
>とにかく、繋がりと広い視野は大事ですよね。

私もそう思います。一人だけで行っている場合に得られない知識等、多くの繋がりや広い視野がもたらすものというのは、物凄く良い影響を与えてくれると思います。技術者間の繋がりでも、別業種との繋がりでも、それらは特に差はないのですよね。どちらであっても自分自身にプラスになると感じています。
 そしてもし自分が他人にプラスの影響を与えることができていたとしたら、これは更に嬉しい事ですよね。

>「俺より強いやつに会いに行く」

懐かしい台詞ですねぇ・・・って合ってるのですかね(笑)
某格闘ゲームのキャッチコピーというかなんというか。

インドリ

>懐かしい台詞ですねぇ・・・って合ってるのですかね(笑)
>某格闘ゲームのキャッチコピーというかなんというか。

正解♪

Jitta

自分というコミュニティにだけ所属している人が、一番質悪い。

第3バイオリン

Ahfさん

第3バイオリンです。

>もしそのような機会を目にした際は、迷わずに参加してみるようにすると良いと思います。
>それは確実に自分に対してプラスとなることだと思います。またそのような場に身を投じることは、新しい繋がりを得ることにもなります。

私も去年の冬、WACATEというソフトウェアテストの勉強会に参加して、世界が広がりました。
勉強会で得たことをそのまま社内に応用、というのはさすがに難しいところがありますが、
同じ志を持つ人がテストについて熱く語り合ったり、
本や雑誌で見たことある人が実際に目の前にいて、しかも話ができるというのはとても良い刺激になります。

勉強会に参加して、私は「成長し続ける」しかなくなりました。
なぜなら、ここで出会った人たちに次に会うときに、自分が少しも成長していなかったらあまりにもかっこ悪いし、申し訳ないからです。
(コラムニストという、ちょっと目立つこともやっているのでなおさらです)

その道のトップランナーと呼ばれる人たちに会い、彼らに憧れ
「技術者としてこの人たちに認められたい、できることなら同じステージに立ちたい」と思う一方で
「でもそこにたどりつくまでにどれだけの努力が必要なのか、そもそも、たどりつくことなどできるのだろうか」と怖くなることもあります。

正直言って、怖くなると「片田舎の小さな世界でただのサラリーマンやっていたほうがある意味幸せだったかも」
という、せこい考えが頭を掠めることもあります。
それでも、「小さな世界でダラダラする幸せ」と「すごい人に出会えて、彼らをリアルな存在として感じられる幸せ」のどちらがいいかと言われたら
やっぱり後者のほうがいいです。
(そもそも、会うこともない「雲の上の人」は憧れようがないですからね)

実際に憧れの人たちのようになれるかどうかはわかりませんが、
目標は大きいほうがいいです。

というわけで、6月に開催されるWACATEに行ってきます。
(もちろん参加レポート書きますよ~。と、人様のコメント欄でさりげなく予告してみます)

Ahf

Jittaさんコメントありがとうございます。

「自分コミュニティ」という表現が非常にイメージしやすいですね。
刺激を得られないという点でも物凄く勿体ないのですが・・・。

閉じこもることで得られる安心感は、ただ自分をごまかしているだけなのだと思います。

Ahf

第3バイオリンさんコメントありがとうございます。
いつもお世話になっております(笑

>「技術者としてこの人たちに認められたい、
>できることなら同じステージに立ちたい」と思う一方で
>「でもそこにたどりつくまでにどれだけの努力が必要なのか、
>そもそも、たどりつくことなどできるのだろうか」と怖くなることもあります。

その気持ちは良く解ります。同じようになりたいけれど、そこまで到達できるのか、と不安も一緒についてまわるのですよね。
最近私の中では「似た方向を目指すけれど全く同じ位置は目指さない」という考え方になった事もあり、自分がやれるだけのことをやりその結果を当然として受け入れる形に落ち着きました。勿論いつかは追い抜きたいと思う気持ちもあります。

何も知らなければこのような不安も感じることはなかったのでしょうが、私も第3バイオリンさんと同じく
>「すごい人に出会えて、彼らをリアルな存在として感じられる幸せ」
を選びます。

>というわけで、6月に開催されるWACATEに行ってきます。
>(もちろん参加レポート書きますよ~。と、人様のコメント欄でさりげなく
>予告してみます)

一読者として、首を長くしながら期待してお待ちしています!

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