サッカー日本代表選手から学ぶ「人間万事塞翁が馬」
2006年11月30日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。2009年は成長の年にしたいなあ……と思うエンジニアライフ担当でした。
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サッカー日本代表、オシム・ジャパンの1人、羽生直剛選手ってご存じですか? JEF千葉に所属する非常に小柄なトップ下の選手。小さな体をしていますが、ひとたびピッチに出れば縦横無尽に走り回り、相手にとって嫌なスペースに顔を出しまくる、敵に回すとやっかいな選手です。
彼を見るたびに思うのは、十分な能力を持ちながらそれを発揮することなく引退していった数々の過去の名選手のことです。もし羽生選手に恵まれた体があったならば、いまのようなプレースタイルを確立し、チームにとって欠かすことのできない存在になっていたでしょうか? 恵まれた能力ゆえにスポイルされ、いまの彼にはなっていなかったのではないか……なんてことを思ってしまいます。
もう1人、やはりオシム・ジャパンに選出されて脚光を浴びている鈴木啓太選手はご存じですか? 彼は、アテネオリンピックの予選まで五輪代表だったのですが、肝心の本番では落選。非常に悔しい思いを味わいました。でも、そこで終わらなかったのが彼のすごいところ。足りない部分を少しずつ補い、こつこつ成長を続け、いまでは所属チームでもオシム・ジャパンでも、文字通り「ダイナモ」の役割を果たすまでになりました。彼の場合も、五輪候補からの落選というつらい経験がなかったら、いまの姿はなかったかもしれません。
こんなふうに選手の成長を見るにつけ、人間万事塞翁が馬ということわざを痛感します。スティーブ・ジョブズ氏が2005年にスタンフォード大学で行った卒業祝賀スピーチではありませんが、信念を持って進めば、一見不利な条件も挫折も、すべての「点」はきっとつながる――彼らを見ていると、そんな気持ちにさせられます。
ということで不肖タカハシ、転籍経験は多々あれど、転職経験を持たないままメディアという仕事にこだわってきました。自分の無能さに悩み、たまった仕事に押し流されて段ボールの布団で寝た日々もありましたが、そんな経験も挫折もいつか何かにつながるよね、そんな気持ちでキーボードに向かっています。楽観的すぎるかな? こんなキャリア(?)もあるよってことで、参考になれば幸いです。
(@IT編集部 高橋睦美)