パンチョのフラメンコに思うこと
2005年10月19日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。迫害されたものの嘆きは優れた表現の生みの親ですね。ロマについて詳しく知りたい方はWikipediaに記述があります。そちらもどうぞ。
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先日フラメンコを見てきました。友人のフラメンコ教室の発表会です。友人は伊東という名字なので、あだ名がパンチョです。パンチョは4年ほどフラメンコ教室に通っていて、その発表会に招待されたのです。
この教室は1年半ごとに発表会を行っているそうです。前回の発表会をビデオで見せてもらった感想は、「習い事の発表会だね」というものでした。ちょうどスペインに旅行に行き、有名なダンサーのフラメンコを見た後のことだったので、特にそういう印象を受けてしまったわけです。
フラメンコはスペインの南部、アンダルシア地方に発生した民族音楽舞踏です。アンダルシア地方は、15世紀にイサベル女王によってスペインが統一されるまで、800年間イスラム王朝の支配下にありました。その後インドを追われたロマ(北インド起源とされる少数民族、ジプシー)がアンダルシア地方に定住し、ロマ、イスラム、スペインの3つの音楽が融合していまのフラメンコの基になったそうです。そのためフラメンコはスペインというヨーロッパの国にありながら、非常に東洋的な感じを与えるものとなったようです。
スペインのタブラオ(フラメンコが見られるレストラン)で見たときも今回の発表会でも同じ感想を持ちました。日本でフラメンコ人気が高いのは、フラメンコが持つ東洋的な要素が日本人の何かをくすぐるのではないか。
フラメンコは生きるための歌といわれ、歌詞は生活の苦労を表現したものが多いようです。スペイン語でロマのことをヒターノ(gitano)といいます。ヒターノは歴史的に長い間迫害され、その苦労や嘆きが歌に込められています。スペインで見たときは何の予備知識もなく見に行ったのですが、今回はせっかく行くのならと、フラメンコについてプチうんちくを仕入れてみました。
パンチョのフラメンコに苦労や嘆きを感じることはなかったのですが、ビデオで見たパンチョの踊りと、1年半練習を続けてきた発表会の踊りを比べてみて、あらためて継続は力だなと思いました。
(人財開発部 柳澤浩嗣)