ジェネレーションギャップを認識しよう
May Day! では、わたしが実体験したことをなるべく冷静に書きつづっているわけですが、まだコラムのテーマが1回りしておりません。本当は、テーマが1回りした時にまとめとして書こうかなと思っていたお題ですが、『わたしはこれで会社をクビになりました』にコメントを頂戴しましたので、中締めとして書いてみたいと思います。
- カオス度:4
- クライム度:4
(筆者の独断と偏見によるものです)
※これ以降の文章には、非常に生々しい描写が含まれております。ご自身の適切な判断が必要です。
■尖る場所が違うのでは?
中締めにするということで、少々つづるのに悩んだのですが、ブログに馴染んでいる読者の皆さんにとって至極分かりやすい例がありましたので、参考にさせていただきます。
『権利ばかり主張して義務を果たさない無能人。|未来予想株式会社COO 庄子素史の日記』
庄子素史氏はVentureViewでも執筆なされてますが、元記事を削除したのはいただけない。上記の反証として
『「病気で欠勤している間に個人ブログを更新したためにクビ」はアリ ?』
元ネタはこちらです。
冷静に書いている山野光正氏に好感を抱きました。
ここまで人ごとの様に書きましたが、わたしは零細企業の社長です。社長というと「儲かってるんだろうな」とすぐにステレオタイプの感想が湧くかもしれませんが、そんなことはないと明記します。
卑近な例で恐縮ですが、弊社に問題を抱えている技術者がおり、
A氏 「わたしは5年間も鬱病に悩まされてきました、そのわたしに他人の鬱病の話をするんですか?」「どうなんだよ、テメー」
と、TELでキレて絶叫(発狂)しました。どうも彼の気に障るような言葉を、わたしが失言してしまったようです(わたしの発言は清く撤回しました)。
しかしながら、このA氏は、
- 行く先々の職場で「スキル不足、コミュニケーション能力不足」とクレームが付くのが当たり前だった。
- 闇金に手を出してしまい拉致られそうになったこともある。なおかつ闇金に弊社の名前、住所やTELも教えてしまい、闇金からガンガンTELがかかってきた。
- A氏のゴミ屋敷になっているアパートを弊社社員が片付けてあげて、無事引っ越しできたという過去がある。
- A氏が「自分自身が信用できない」と言うので、わたしが免許証の更新に付き添い、免許証を預かっている(注:A氏が言うには「免許証を持っていると、またどこかで借金しそう」とのことで、仕方なく預かっている)。
- わたしの妻はとある病気で、わたしが14年間看病している。妻の病気のために子供も身体的に被害を受けたことがある。こうしたことは、A氏にはあまり話していないが、わたしの苦労は「大したことではなく」、自分が鬱病で苦しんだことの方がより辛かったと絶叫した。
弊社としては、A氏に「何とか真人間になっていただきたい」との一心でフォローしてきたのですが、「自分に気に食わないことを言われてTELで絶叫」となった訳だ。
前述の庄子素史氏ならば、
>ベンチャーには「悪」以外の何者でもありませんね、そういう輩は。ただただ、組織に伝染らないうちにひねり潰すのみです。
ということになろうか?
弊社の恥を晒した訳ですが、吹けば飛ぶような会社とはいえ、なまじ社長などと肩書きを持つわたしも苦労している、という実例を皆さんにご理解いただきたくて、A氏の話を書きました。
実際問題、会社としては、こうした社員さんにできることは少ないです。庄子素史氏のように伝家の宝刀を抜く(クビにすると言うこと)くらいしか選択肢はない……。しかし、わたしは14年間会社経営してきて、クビにしたことは1度もないです。まぁ、甘いと言われればそれまでですが。それでは何故A氏をクビにしないかというと、
- 今、彼を野に放ってしまうと「Aくん、朝之丞の会社にいたんだって? 君のスキルからすると朝之丞の会社も大したことないね~」と言われるのが癪。それ以前にその程度のスキルではIT業界を渡っていけないと判断している。
- どうせなら弊社で一人前の技術者になってから巣立ってほしい。
という考えを持っているからです。
TELで絶叫された時に「朝之丞も逆ギレしたのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、我々IT業界の技術者は「本番トラブルなどでエンドユーザが右往左往している時にでも、あくまで冷静さを失わずに対応する」といった状況をこなしているので、
- A氏が逆上したということは、何か悩みがあるのだな。
- いいガス抜きかもなったかも。
- 逆に言えば、A氏の限界がわかった。
- わたしに逆上できるまでになったことは「彼が鬱病を克服した」と思う、むしろ喜ばしい。
と冷静に分析しました。しかし、わたしに対して逆上してメリットあるのかな、尖る場所が違うのでは? と少々情けない気持ちを抱きました。
■頭の回転が速すぎてニートになっているのでは?
前章では簡単に弊社理念みたいなものを書きましたが、これはわたしが25歳くらいから思ってきたこと、実践してきたことに他なりません。
が、このくらいのことは、読者の皆さんはすぐお分かりになると存じます。なぜならば、我々の世代は高学歴だから、否、教育機会に恵まれていたと言い直します。馬鹿じゃないということです。
直近で「日本のインターネットは云々」の話が盛り上がってましたけれど、少なくとブログなり書けるのは「ある面、キチンと教育を受けてきた」証左だと思う。わたしの先輩に「人生の師と仰ぐ人」がいるけれど、メチャメチャ頭がよいです。何年間も疎遠でもお会いすると、わたしの現状をピタリと当てて的確なアドバイスをくれる。
話が横道に逸れましたが、
- 頭の回転が速いので、ある程度自分の未来が見えてしまう。
- 見えてしまった未来に失望……。
ズバリ言ってしまいますが、社員を自分の感情に任せてクビにしてしまうような社長さんとは、学生当時の教育内容も違い、ジェネレーションギャップは確実に存在します。それも最悪の形として……(注:前述A氏に対してもジェネレーションギャップがありそうです)。
そのギャップは「頭の固くなった人には治せないし、そもそもギャップに気がついていない」のです。
しかし断っておきますが「ジェネレーションギャップを努力して貴方が埋めなさい」ということではない。
「あの部長は朝令暮改だからな~」と認識するだけでよい。ようは朝令暮改につきあって辟易したくないということが根底にあるわけで、それを理解することこそ大人になることだ! などと、どこかに売っている本のようなことも言わない。1番困るのは「年功序列で部課長とかになった人でかつノンポリ」の方が何を考えているのか分からなかった。だからPMをやっている時には非常に苦労した経験があります。
例:いつも長残をこなしているB課長に「人気のなくなった職場で自慰行為を楽しむ」困った癖があった。これを止めていただくのに何度話し合ったことだろう。ことほど左様に「人の管理」は難しい。
ジェネレーションギャップを認識すれば少しは気が楽になり、対応策を練る余裕も生まれてくるはずです。
この対応策を練り実行することが、実は人生の肥やしになるのではと思います。決して無駄ではありません。言い換えれば「この策を考えるのに会社に行く」くらいの気構えで十分です。
まず、相手の傾向を見定めるための観察から始まりますね。わたしは根が暗い性格なのか、これが思いのほか楽しかった。
わたしが編み出した具体的かつ実践的な「世渡りの方法」は、今回全てをここでは書けませんが、May Day! の過去のコラムをお読みになっていただければ、示唆に富んだ部分もあるはずです。
しかし、この対応策を練り実行するということも面倒くさい人には、転職を勧めます。わたしのブログの例ですが「どうもPVが伸びない」などの悩みがあれば、別のブログサービスに移行してみるのも手です。無理して書いている必要はないと思います。
某ブログではPVが伸び悩んでおりますが、@ITエンジニアライフでは皆様のご愛顧ご愛読のたまもので、イイ感じにPVも伸びてきており、これも一つの転職?(立ち位置の変更)と考えております。感謝申し上げます。ただし、転職後は努力を惜しまずに。
次回予告:壮絶、社内レクリエーション
コメント
組長
こんにちは。組長です。
毎回楽しみにしています、朝之丞さんのコラム。
私は当然、人事に関与する立場ではないのですが、私はタイプ的に割と早期に伝家の宝刀を抜いてしまうタイプの人間なので、今回のコラムには何だか感銘を受けました。部下にとっては非常にありがたい上司(というか、社長さん)だなぁと・・・。自分のかつての上司も似たような感じで、我慢しながら私を使って下さってました。以外と離れてみて一層、ありがたみを感じるというか、よくも見捨てずに育てて下さったと感謝の念に堪えません・・・。自分は辛抱が足りない性格なので、朝之丞さんを見習いたいです・・・。
組長さん
こんにちは、朝之丞です。
コメントありがとうございます。
>毎回楽しみにしています、朝之丞さんのコラム。
ありがとうございます。私も組長さんのコラム毎回拝読させて頂いております。
>朝之丞さんを見習いたいです・・・
いえ、私も若い頃は結構過激で見切りが早かったです。年相応の分別がついてきたと言ったところでしょうか(笑)
今回、原稿には一度書いて消してしまったのですが、私自身今の分別を10年くらい前に持っていれば...
カオスなクライムな話もいっぱいありますが、こう言った「社長としての考え」、「上司としての考え」もいっぱいもってます。ただ恥ずかしいので今までは書いてきませんでした。
一つ追記っぽい話
結局「売り上げであったり、人件費削減であったりと、お金目線」だと、人材は育たない様な気がします。これはスキルのない人を馬鹿にしているのではないとお断りしてから書きますが
「子供の目線に立って考える」とか標語があると思います。全く同様に「技術者の目線に立って考える」必要があるのではないかと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。