このコラムでは私が体験したIT業界の黒歴史を語ります。

戦場のSEたち~トップだけでない、かなり前からの地殻変動

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 前々回コラムから前回コラムまでかなり時間が経ってしまいましたが、前回コラムではその分力強く書かせていただきました。今回はさらに力強く! 新年度早々ヘビーな話題で恐縮です。

 いつも、コラムを書くときにはわたしの体験や当時のメモ書きをベースにしております。しかし、今回の話題については記憶の曖昧模糊を避けるために、当時の関係者に改めてヒアリングしてまとめております。

  • カオス度:5
  • クライム度:4

(筆者の独断と偏見によるものです)

※これ以降の文章には、非常に生々しい描写が含まれております。ご自身の適切な判断が必要です。

■プロパーSEが協力会社役付を日常的に呼び捨てにする

 ある大規模プロジェクトの日常風景。

A社プロパーSE氏「おい、Y。今度の線引き決まったから。この部分はYがやってくれ」

B協力会社Y氏「分かりました」

 Y氏はオトナの対応でその場を凌いだが、後で休憩時間に、

朝之丞「Yさん、呼び捨てにされてよく我慢できますね」

Y氏「いやー、プッツンきそうですよ」

 ちなみに、A社プロパーSE氏は27才無役で、かつそのプロジェクトのリーダークラス、サブリーダークラスでもない。B協力会社は割と大きいSIで、当時Y氏は課長だった。

 気になって、A社のプロパーを観察すると、一般職から部長に到るまで、協力会社の技術者を呼び捨てしていることに気が付いた。

 現在、B協力会社で部長となったY氏に、改めて当時を振り返ってもらったが、

Y氏「社員教育がなっていないせいだと思うけど」

と述懐してくれた。

朝之丞「知り合いにA社の社員教育をしていた人がいたけれど……」

Y氏「どういった社員教育なの?」

 表現自主規制のため、割愛。

Y氏「その社員教育の前に、社会人としてのモラルを教育して欲しいな」

■逃げ回るプロパー中堅SE、協力会社がエンドユーザーに叱責される日々

 A社プロパー中堅SEについて、C協力会社のT氏に当時を振り返ってもらった。C協力会社、割と大きいSIで、当時T氏は課長だった。

朝之丞「進ちょく会議でリスケなどが決まって、エンドユーザーに説明しに行く時、なぜか僕を含めて協力会社の人間だけになってしまう現象がありました。いまだに謎なのですが、何か事情を知っていましたか?」

T氏「いや、イイ突っ込みですね朝之丞さん 相変わらずだ(笑)。あれはね、進ちょく会議の後、A社プロパー中堅SEというか課長クラスが、やれ出張だとか掛け持ちの別のエンドユーザーへ行くとか、あれこれ理由を付けて、エンドユーザーのN社に報告しないわけですよ」

T氏「だから朝之丞さんとかわたしがN社へ報告へ行って、ボロカス言われる。その繰り返しだったじゃないですか」

朝之丞「そうそう、そうでした(笑)」

T氏「中にはエンドユーザーとの打ち合わせ直前になって、『頭が痛い』とか『腹が痛い』といっては逃げるA社プロパー課長もいましたよ」

朝之丞「E社主任のように、勝手に早退とか?」

T氏「いや、E社主任なんて、まだ可愛いもんです」

朝之丞「でも不思議だったのは、N社にはわたしがA社プロパーでないことが知られていたし、元○社ってことまで伝わってた」

T氏「権限の委譲と言えば聞こえがいいんだけれど、ようはA社が責任を取りたくないので、誰が責任者か分からないような構図(体制)になっていたんです」

 A社プロパーは、上にいくほどやり方が破廉恥になっているとのもっぱらの評判だったが、

T氏「ある部長がエンドユーザーのクレーム処理に追われて、オーバーフローした時に」

朝之丞「そうそう、時期外れにA社プロパー主任を課長に格上げ(抜擢)して」

T氏「全部、その新任の課長にN社のクレーム処理をやらせた」

朝之丞「あげくに、しばらくしたら関西に行ったと聞きましたが」

T氏「あれはね、無理やり格上げされて仕事を押し付けられた課長が鬱っぽくなってしまったので、リハビリで関西に飛ばされたらしい。部長から『しばらく関西で休んどけ』って」

 どうもA社の関西方面はリハビリセンター化していたらしいのだが……

T氏「これいっちゃうとA社の名前がばれそうなんだけれど、○○とか○○は、さらに迫害されていると○○の人から聞いたことがある」

■職場近辺のマンションに「愛の住み家」がある部長

 これは当時A社プロパー部長から直接聞いた内容です。

 「職場付近マンションに愛の住み家がある」

 わたしにしてはめずらしい文学的表現ですが、ようは愛人を囲っていたのです。

D協力会社K氏「当時、アブラギッシュなA社プロパー部長に、ずいぶん自慢話を聞かされましたよ」

朝之丞「ぼくもE社部長が女子大生囲っているとか、いやというほど自慢話聞かされた」

K氏「1回、そのマンションで成○アキラもどきのイベントに誘われたことがあってビビりました」

朝之丞「成○アキラって(笑)。でもA社プロパー部長ほどにもなると、フリーハンドで使えるお金って結構あるのかな? これ別の機会にコラムUpしようと思ってたんだけれど、あの伝説の結婚式って、確かA社プロパー部長も出席してたよね」

K氏「新郎の友人にAV女優が来ていた、あれですね」

朝之丞「みんな鼻の下伸ばしていたわけではなく、引いてたよね」

K氏「えっ、確か朝之丞さん『ナイスですね~』(村○とおる監督風)とか言ってませんでしたっけ?」

前述T氏「それは俺だよ、俺(笑)」

■傾向と対策

 ここまで書き進めてきましたが、話をちょっと戻します。こうった方々との会議は「まさに戦場」です。

A社プロパーSE氏「おい、Y。おまえんとこのHって、使いもんならないじゃないか(上から目線)」

A社プロパー新任の課長「そうそう、喫煙室に入り浸ってるじゃないか(居丈高)」

 わたしも若かったので、

朝之丞「R課長さん、今月5日間しか来てないじゃないですか? B協力会社のことだけ責められるんですか?(ヌンチャクを持った男風)」

アブラギッシュなA社プロパー部長「朝之丞、おまえはオブザーバーだから発言する権利ないの! 大体○○社上がりというのが気に入らん(怒号)!!」

 こういった、殺伐としたやり取りに終始していたプロジェクトだった。

K氏「最近の職場でも身なりがおかしい人の名札を見るとA社なんだな、これが」

T氏「うちも、ロン毛で茶髪の若い人、A社なんですよ」

朝之丞「それってA社プロパーの人ですか?」

Y氏「ロン毛で茶髪いいじゃん。うちなんか金髪だよ男性が」

 表現自主規制のため、割愛。

 非常にハードボイルドなエピソードが続いたので珍エピソードを。休憩室での会話。

A社プロパーSE氏「うちって六大学*0番以内が入社するんですよ!」

N社プロパーSE氏「えっ、うちは10番以内だけど」

A社プロパーSE氏「……」

 最後に、当時のA社を映画に例えてもらった。

Y氏「仁義なき戦い 広島死闘篇」

T氏「難波金融伝ミナミの帝王『トイチの萬田銀次郎』」

朝之丞「ちょっと待った。そっち系の例えしかないの?」

T氏「じゃあ、戦場のメリークリスマス」

朝之丞「ヘビーなのはあまり変わらない……」

K氏「バトル・ロワイアル」

朝之丞「うっは、厳しいです。僕はジョーズかな」

 話は前後しますが、今回の会合は「当時苦労を共にした同期会」のような感じでした。

次回予告「一癖も二癖もあるSE」

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