肉食系男子自動車選手権
時は1980年代、いわゆるバブル全盛期の頃の話だ。
会社員も「バブリーマン(バブルなサラリーマンとしておきましょう)」が多かった(わたしはバブルの恩恵に浴したことはないが……)。
「車なんて何でもいいじゃん」
という現在の草食系男子とは違い、
「否、男子たるもの、速いものに憧れるべし」
本当は、草食系男子たちもお金があればかっこいい車に乗りたいはずだ。「車なんて何でもいいじゃん」は、「お金がない」の方便と捉えたい。
今回は、バブリーマン達の自動車の話をしよう。
- カオス度:3
- クライム度:4
(筆者の独断と偏見によるものです)
※これ以降の文章には、非常に生々しい描写が含まれております。ご自身の適切な判断が必要です。
■自動車メーカーの駐車場にて
新型車が発表されるたびに徳大寺有恒氏の姿を拝見していた頃のエピソードです。
Kくん 「筆記試験(運転免許証の筆記試験)で6回も落ちたTさんが、今日車で来てますよ」
朝之丞 「ええっ、本当?」
大向こうから、課長が、
課長 「大丈夫か?」
Kくん 「とりあえずあそこに駐車してますけど」
窓から見下ろすと、何気に「はみ出して駐車している」1台の車がある。
そんなふうに寸評していると、
館内放送 「駐車場Bに止めてある横浜ナンバー○○○○の車はすぐに移動して下さい」
Kくん 「Tさんの車ですね」
課長 「おおっい、Tくん車を移動してくれよ」
Tくんが車の移動に行ったのですが、心配になって窓から見下ろしていると、
課長 「おいおい、フェンスにぶつかっているのに未だバックしているぞ、誰か止めてこい!」
ガシャーン
Tさんはバックしすぎてフェンスを倒してしまいました……当然始末書です。
■バブルな時代の自動車購入も大変だ
まぁ、世の中全体勢いがあった。もちろん自動車販売店も「つよき、強気」。
ある主任が当時デート車として人気のS13という車を買いに行った時の話です。
主任 「S13って今どれだけ値引くの?」
セールスマンA 「S13は人気車種なので、値引きゼロです」
主任 「ゼロって……」
別の自動車販売店に行く。
主任 「R32って今どれだけ値引くの?」
セールスマンB 「R32は人気車種なので、値引きゼロです」
といったような話を昼休みに、主任が話してくれた。
Kくん 「僕は3時間粘って、S13を5万引きにしてもらいました」
■とにかく車好き「少年の夢の続き」
バブリーマンは羽振りがよいので、1人でもスポーツカーを購入すると、それこそ「我も我も」と購入合戦が始まる。当然「少年の夢」の続きみたいなことになる。
同僚A 「俺のS13、馴らしも終わったのでそろそろ全開」
同僚B 「お前のS13なんて目じゃないね。俺のR32で軽くぶち抜くよ」
同僚C 「えー、BのR32て4枚ドアのオートマだろ。遅いよ!」
わたし自身はすでに結婚していたということもあり、彼らの会話にはついていくことができなかったのだが、行き着く先はご想像通りだ。
朝之丞 「あれ、今日は車が違うね」
同僚A 「えっと、S13 修理に出しているんだ」
同僚B 「実は俺も代車」
朝之丞 「まさかCも?」
同僚C 「俺は、C33を買った」
朝之丞 「C33って、オ○ジ車?」
同僚A 「Cは全損で買い換えただろ!」
今風に言えば「頭文字D」状態で、3名とも事故ったらしい……3名とも怪我はなかったのが不幸中の幸いだ。
■傾向と対策
Tくんには後日談があって、60万円で買った中古車を駆り、1週間で事故を起こして修理代60万円も掛かったということ。その当時職場でも言っていたのだが「筆記試験6回も落ちる人は運転には向いてない」と思う……。
最近、久しぶりに同僚Aと会ったのだが、
同僚A 「家族もいるし、今は、このM35だよ」
当時は「寝ても起きても車、車」な同僚Aだったが、少しは大人になったらしい(エンジンはやんちゃだが)。とにかく、お互い安全運転しようよというと、
同僚A 「えー、○○5i乗って、まだ少年の夢を見ているヤツに言われたくないなー」
次回予告:「アカギなSE」