インフラ系SEはパソコンの調律師
ピアノに調律師があるように、パソコンや、サーバのコンディションを良好に保つために、フィールドエンジニア職や、インフラ系SE職があるのです。「高次のCE」と言ってもかまわないでしょう。最終的に切り分けるのは、現場に赴いた「パソコンの調律師」なのです。お客さんに誉められるのも、怒られるのも、すべては現場の「調律師」なのです。
■曲を作る人や、鍵盤を弾く人とは違って
ピアノが正しい音が出せるように、調律師がいるのです。同様に、パソコンやサーバのコンディションを保つために、僕らは頑張っています。作曲家(プログラマ)が偉いんじゃ、いいえ、ピアニスト(ユーザー)が偉いんじゃと、おっしゃる向きもあろうかと思いますが、そろそろ、コンピュータの調律師としてのフィールドエンジニア職やインフラ系SEの地位向上があってもいいのではないかと思っています。
■さまざまなコンピュータを調律してきました
パソコンの調律師としては、さまざまな企業や家庭、学校などで、いろいろなパソコンやサーバに触れて来ました。調律師の道具としては、LANの圧着端子、圧着器具をはじめ、回線抵抗を測る機械、+-および特殊なドライバーなどの工具類、予備のケーブル(時には50m一巻き持っていくこともある)、ファイナルデータ、ウイルス対策ソフト、デバイスドライバ、修正パッチ、予備のバックアップ用HDD、それから大切なモノは、会社用の自分のノートパソコンです。これだけでも、もう、鞄はパンパン、手荷物はふんだんにあります。
■ピアニストが「ダメ」と感じたら、直さなければならない
自分としてはこれで満足か、お客さんは満足したか? と思うものでも、お客さんによっては不満足な場合があります。満足を満たすために、調律師は「もうこれ以上ないです」とは言えず、たとえ、エンジニアとして却って不満足な場合でも、ピアニストに合わせて、好みの音色を探ります。これは、コンピュータで言うところの、「修正パッチを当てたらよけい変になった」という具合にです。お客さんが、今更ながら、時代遅れの Windws NT4 を頑なに使い続けたり、いまさら、ラウンドロビンケーブルのSCSI一本槍という方もおられます。ここで「USBではダメですか?」というのはタブーです。あくまで、お客様本位で直します。
■大きなホールから、中小企業向けまで調律しました
非常に神経を遣う仕事です。ピアニストの指をできるだけ止めないようにしなければならないのです。弦を切るなんてもってのほかです。そうして、ほこりを掃除するところから始め、パスワードを付箋に貼ってもらい、個人情報は持ち帰らない方針で行きます。ピアノと根本的に違うのは、ピアニストが「弾いている最中でも直さなければならない」場合が出てきます。ダウンタイムを最低限に、いや、極限までないような状態にしなければなりません。
■本物の調律師さんも「メカ大好き」
機械いじりが大好きなのが高じて、本物の調律師になられた方がおられます。2010年2月4日付けの、NHK第一放送「ラジオ深夜便」午前4時台のインタビュー。「こころの時代」舞台裏の仕事師「ピアノ調律師 曽我紀之さん。子ども時代、ラジオを鉄くずにしたのは僕と一緒ですね(笑)。やはりメカ好きは、カテゴリを問わず「この中身は一体なんだ」と思うのでしょうね。で、たまたまその人は、自宅にあったピアノを開けてしまった。「なんだこの複雑なものは」というところから、ピアノの調律師になられた。うーん、何か共通するものがあるなあ……。
■ピアノもパソコンも、同じように鍵盤を使います
まあ、ピアニストほど鍵盤が使いこなせる訳ではありませんが、基本は知っています。電子回路や、論理回路、ハードウェアの具体的な中身、ソフトとハードの振る舞いぐらいは、ある程度知っておかなければなりません。僕の仕事は、作曲家の皆さんや、ピアニストの皆さんが、気持ちよくピアノを調律する……いえ、パソコンを調律するものです。ただし、サーバの調律は、夜も昼も問わずにインシデントが発生して来るのですが……。奇しくも、ピアノもパソコンも鍵盤を使うモノ。もし、突然動かなくなったら、困りますよね。事前に故障を予知予防することも、パソコンの調律師の大切な仕事です。
■マイコンボードを買い込んで、技を磨く
H8-3048搭載のマイコンボードが手に入りました。C言語を極めないと、幾らUSBをつないでも「ぬくもる」だけで、何にも動きません。この右側のLEDやボタン、それに右上のA/D、D/Aコンバータは動作いたしません。徐々に、少しずつ、楽しみながらC言語のスキルを伸ばす。これですね。単にPCだけでC言語をやっていても、僕はおもしろくないのです。こういうのが、ピコピコ制御されて、動くのを見るのが楽しいのです。
■一太郎2010のパッケージデザイン投票ページに記載
なんと、田所のコメントが一番トップに掲載されていました。まあ、一太郎3.1の頃からのおつきあいですからね。「デザイン1」の、一番先頭のコメントです。
http://www.justsystems.com/jp/camp/just2010/package/index.html
(このようにして、今日も明日も模索は続く……)