お気楽“IT系女子”の日常を徒然と綴ります。

「残業課長」スピンオフ ラブライフハック企画『アットマークX'mas-久実チヨ編-』(4)

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 クリスマス特別企画・ IT業界の恋愛模様を描く集中連載。 ITエンジニアたちよ、恋愛していますか? 毎回、ちょっとしたライフハックネタも紹介します。12月20日から12月24日まで、毎日更新!

◇ ◇ ◇

◆前回までのあらすじ

  同期の川場田アイから呼び出され、鋼野への気持ちを問いただされたチヨ。「もう終わったことだ」と言ったものの、街のイルミネーションを眺めつつ鋼野とのことを思い出してしまう……。

◇◆◆◇

 200*年某月。若き日のチヨはビビっていた。なにせ、今日からヘルプデスクとやらになるための研修が始まるのだから。普通のOLになるつもりで、たまたま某IT系企業に就職し、つつがなく社会人生活を送ってきたが、上司から突然告げられたのは「リストラ」という名の晴天の霹靂。一般事務職の女性社員は、契約社員への転換、職種変更、退職のいずれかを選択することを余儀なくされたのだ。

 しかし、チヨはメゲなかった。持ち前の負けん気で、ヘルプデスクへの職種転換を申し出たのである。そして、運よくそれが認められ、現場に出るまでの間チヨは他の社員と共に研修を受けるのである。講師役は若手のホープ、和久原と鋼野。特に、鋼野はすでに主任に昇格しており、社内でも技術力の高さには定評があった。

<チヨの思い出>

 やー、ぶっちゃけ、あの時の直樹さ……や、鋼野部長は女子社員からモテてたなぁ。まぁ、確かにオシャレ眼鏡だし何となくカッコよく見えちゃうし、仕事もできるって評判だったしね。でも、ちょっと嫌味なところがあって、特に彼より技術レベルの低い人や新人達の間では、好き嫌いが別れてたかな。まぁ、単に嫉妬だの、ひがみだのもあったと思うけどね。

 研修は、ITリテラシーの基礎、Windows(サーバ、クライアント)、ネットワークが鋼野部長、Unix&Linux、ネットワーク、プログラミング、HTMLが和久原課長が担当で、3カ月みっちり。わたしは、特にLinux(懐かしのRed Hat7.2よ!)が全くの初めてだから、意味が分からなくて、どこが分からないのかすら分からなくて、講習中に泣きそうになっちゃった。

 でも、基本的に研修は面白かったよ。初級シスアドは取ったけど、理解よりも暗記して受かった感じだから、研修を受けたおかげで、「今までよく分かってなかった事が分かるようになる。出来なかったことが出来るようになる」っていう楽しさがあったし、初めてプログラミングの講習を受けた時は本当に感動したなぁ。「うわぁ! 動いたぁ!!」って(笑)。現場に出てから、各講習のことを思い出して、「なるほど、あの時和久原さんが言ってたのはこれかぁ!」って、やっと実感出来たりして楽しかったなぁ。

 Unix講習の時には、サポート役をやっていた鋼野のフォローにより、何とか付いて行くことが出来たチヨ。講習中はメモを取るのに必死なため、休憩時間を削って復習し、同じフロアに勤務する鋼野が昼食を終えたところを見計らって質問に行く毎日。チヨの熱意に動かされ、忙しい鋼野もいつしかチヨと一緒に休憩を取りながら指導するように。そんな2人は、やがて周囲から「付き合っている」と噂されるようになってしまった……。

<チヨの証言>

 ああ、あの噂ね。鋼野部長のことは、「なんか、面白い人だな」ぐらいにしか思ってなかったし、こっちは講習に必死だったから、そんな噂なんか構ってられなかったわよ。あっちも同じじゃない?当事者のアタシ達の方が冷静だったなぁ。

<鋼野の証言>

 え、チヨを狙ってたかって? や、アイツのことは「頑張ってるなぁ」ぐらいにしか思ってなかったけどな。そもそも、昼とか一緒にメシ食いながら面倒見てやってたのも、脱落者が出ると講習の進度に影響するからってだけだし。

<川場田アイのつぶやき>

 そういえば、そうだったよねー! 結構、噂になってたよー😆。 鋼野さんにしといたらって勧めたのは、実はアタシなんだけど、最初は2人とも互いに男女としての興味は全くなかったよねぇ(笑)。

 講習が進むにつれ、休憩時間だけでは足りず、業後も鋼野に(時には和久原にも)指導を仰ぐチヨ。次第に、家で勉強中に分からない部分が出て来た時には、メールや携帯電話でも連絡を取り合うなど、2人は急接近。クリスマスイブを迎える頃、最初は単なる噂だったことが、噂ではなくなっていた。

 鋼野と付き合うことで、仕事での悩みを相談する相手を得たチヨ。一方、鋼野はチヨに、「どんなに良いことを言っても、偉そうだったり、キツすぎたり、言い方を工夫しないと相手に内容が伝わらない。『怒られた』とか、そういう記憶しか残らなくて、言ったこと自体が相手の中に残らない」と諭された。始めは、「甘ったれてるヤツの方が悪い。」と反発していた鋼野だが、少しずつ対応を変えていくことで後輩や同僚との関係が良くなったように感じ、周りからも、「(良い意味で)丸くなった。面倒見が良くなった」と言われるように。公私ともに充実するチヨと鋼野。しかし、2人が付き合い始めて半年が経った頃……

「俺、大阪に転勤することになったんだ……」

(つづく)

Comment(2)

コメント

第3バイオリン

久実チヨさん

ついに、チヨさんと鋼野さんの秘められた過去が明らかになってきましたね。
ところで、「直樹さん」という名前は…?
(あまり聞かないほうがいいんですかね)

>どんなに良いことを言っても、偉そうだったり、キツすぎたり、言い方を工夫しないと相手に内容が伝わらない。

これはテストの仕事をして、開発チームや自部署の人と話をする機会が増えた今、痛感するところです。
コラムを書くときも、誤解されそうなところがないか、
読者が嫌な気持ちになったりしないかどうか、いつも考えています。

組長

>第3バイオリンさん

こんばんは。コメントありがとうございます。

「直樹さん」という名前は、わたしが高校生の時好きだった人の名前です。更に、私の好きなバンドにも「直樹さん」というメンバーさんがいまして、そこから取りました。笑

>どんなに良いことを言っても、偉そうだったり、キツすぎたり、言い方を工夫しないと相手に内容が伝わらない。
この台詞は、かつてわたしが実際に「(悪い人じゃないし仕事も出来るんだけど)ちょっと嫌味な性格」の先輩に言ったことなんです。自分も出来てないくせにどうかな、とは思いますが・・・。常に忘れることなく、忘れてもすぐ思い出せるようにしておきたいですね。

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