お気楽“IT系女子”の日常を徒然と綴ります。

「残業課長」スピンオフ ラブライフハック企画『アットマークX'mas-久実チヨ編-』(3)

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 クリスマス特別企画・ IT業界の恋愛模様を描く集中連載。 ITエンジニアたちよ、恋愛していますか? 毎回、ちょっとしたライフハックネタも紹介します。12月20日から12月24日まで、毎日更新!

◇ ◇ ◇

◆前回までのあらすじ

 久実に振られ落ち込む朝田ススムを励ますため、持参した缶コーヒーをあげてしまった森村。そのせいで眠気が取れず、仕事でミスをしてしまう。落ち込む森村を励ます為、紅サラとともに食事に出かけたチヨ。やり残した仕事を早めに出社して仕上げようとしているチヨだが……。

◇◆◆◇

 おはようございます。久実チヨです。ああ、眠い……。昨日は結局、終電まで3人で語り合った上に、残った仕事を片付けるために2時間も早く家を出たから、さすがに眠ーい!

 今日は「眠*打*」が3本ぐらい必要そうだな、とか思いつつフラフラと歩いていると、廊下の角からいきなり人影が!避けきれなくて思いっきりぶつかるわたし。しかも、踏ん張れずにガクっと倒れこむ……。ああ、ここがライブハウスならスニーカー履いてるから、持ち堪えられるのに!

 「おわぁっ!……あ、チヨ。」

 「いったーい!……なんだ、直樹さんか。」

 ハッ! アタシ今、何て言った!?

 「珍しいな、こんな早くに。大丈夫か?」

 情けなくも、直樹さ……じゃなくって、鋼野部長に助け起こされつつ何とか立ち上がる。……ああ、ええ、森村ちゃんなら大丈夫よ。サラちゃんから勉強会のこととか教えてもらってたし、やっぱりあんなに若いのに1人で出向して来てくれてるから、いろいろストレスもあるみたい。心に溜めてたものを吐き出してもらって、スッキリしてくれたと思うんだけど……。眠気覚ましの方法とか教えたわよ。わたしにできることなんて、飲みに誘って話を聞くとか、そんなことぐらいだから。

 「ああ、いや、お前が大丈夫かと思って」

 え、ああ、大丈夫よ。ありが……う、ちょっと打ったところが痛いけど、平気っ。

 セカセカと歩き去るチヨを見送る鋼野。でも、チヨは気付いていた。鋼野のネクタイ。そして、鋼野もチヨの手首にキラリと光るブレスレットに気付いていた。それらは、かつてお互いにクリスマスプレゼントとして贈り合ったものだった……

◇◆◆◇

 その日の業後、珍しく同期の川場田アイちゃんからお誘いが。いつもわたしがほぼ一方的に、忙しいアイちゃんに話を聞いてもらってるから、なんだか気になるなぁ。どうしたんだろ。

「今朝、見たよ。鋼野部長と話してるところ」

 ああ、そうなんだ。珍しく早く出て来たら会っちゃって。あっちは徹夜だったみたいよ。それがどうかしたの?

「……。あのさぁ、チヨ。アンタ、鋼野さんのことどう思ってるの?」

 な、どうしたの急に!

「どうしたの、とかどうでも良いから! どう思ってるのよ。まだ好きなんじゃないの?」

 そ、そんなことないってば! もう終わったの、あの人とは。

「マキアートから来てくれてる、森村さんって子。サラちゃんに聞いたけど、鋼野さんに気があるみたいよ。どうすんの?」

 どうするも、こうするも、アタシには関係ないし。それに、森村ちゃんはすっごく良い子だから、もし鋼野部長と良い感じなんだったら、それで良いじゃない。不倫してるなら問題だけど、あの人もまだ結婚してないしね。彼女がいるのかどうかは知らないわ。

「あぁもう! 意地張っちゃって!! 見ててじれったいのよっ! まだ好きなんでしょ、鋼野さんのこと。絶対、鋼野さんもチヨのこと想ってるよ。フラフラ用もなく人事部に顔出してるでしょ? 会議の席でもチヨのこといつも見てるよ、気付いてないの? どっちかが素直にならないと、ずっとすれ違ったままじゃん! せっかく、鋼野さんが大阪から東京に戻ってきたのに。何とかしなよ!!」

 そ、そんなすごい剣幕で言われても。あの、心配してくれてありがとう。でも、本当に終わったんだもん、あの人とは……。

 「……」

 店を出てからの帰り道。クリスマスのイルミネーションが無性に寂しかった。ああ、そっか。前は手を繋いで歩いたんだっけ。人が多くて大変だったけど、そんなこと気にならなかった。綺麗だったなぁ。でもさ、1人の方がラクだよ。いちいち、相手の気持ちを図ってこっちが勝手に振り回されなくて済むし。いちいち、相手にヤキモチ焼いて苦しまなくて良いしさ。おひとりさまバンザイ! だよ。

(つづく)

Comment(1)

コメント

森姫

組長さん
いやー、はじまりましたね!(遅)
たしかに、見ていてじれったいです(笑)
でも、相手がいないほうが仕事に集中できるということもありますよね。
おひとりさま万歳!

なんかにやにやで読んでしまう・・・。

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