ユーザーは、空想上の生き物ではない
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システムをつくるに際して、我々は、ユーザー層として同業者であるバリバリのエンジニアを想定することは少ない。もちろん、エンジニア向けのツールなどは除いての話だ。
ここでは話をコンシューマー向けのWebサービスに限定して考えてみよう。その場合、ペルソナの選択肢からは、IT業界人は除外されるのが普通だ。いや、明確に意識して除外しているわけではなく、ただ単に選択漏れしていることが多いのだが。
そして、空想上の存在である「一般ユーザー」という生き物の行動を想定して様々なシナリオが創作される。その物語に登場する「一般ユーザー」に共通する特徴は、ITにあまり詳しくないことだ。
しかし実際のところ、リリースされたサービスに真っ先に飛びついて、使い倒してみるのは我々エンジニアであることが多い。
そして、そういう人は、サービスの提供者側が想定したペルソナとはまったく違った行動を取る。行動もそうだが、そもそもの利用環境が異常な場合が多い。それは、自分の環境や行動を振り返ってみればすぐに思い当たるだろう。
最近は「ユーザー視点で考えろ」とか「おもてなしの心が大切」という台詞が現場で飛び交うことも多い。確かにそれは大切なことだ。しかし、忘れてはならないことがある。
ユーザーとは剣と魔法の物語の中で描かれるような、架空の、空想上の存在ではない。そんな漠然とした架空の第三者のことばかり考えずに、自分の視点、自分の感覚を大切にする方が、遥かにいい。Webを一番利用しているのは、自分たちなのだから。
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