ITプロジェクトでの経験を日常生活で活かそう
先日、わたしのもっとも重要で、なおかつもっとも扱いに注意が必要なクライアント(妻の人)から、洗面・脱衣室用の棚をリプレースしたいという案件が持ち上がった。もちろん、わたしもそのコンペに参加させてもらった。家計のため。
■提案フェーズ
早速、翌日には協力会社(カインズホーム)を訪れて、必要な材料などの調査を行った。
仕様書(設計図)を渡せば、パーツの作成(木材のカット)まではカインズさんができるという話を聞いていたので、そこはカインズさんに発注して、塗装と最終的なビルドを私が行うという前提でラフな設計図と見積もりを作成し、クライアントに提出。
結果は、見積もり金額が他社よりも圧倒的に安い点と、他社のパッケージ製品とは違って、サイズなど柔軟に対応可能な点が評価され、即決で受注と相成った。
■設計フェーズ
クライアントの要望では、棚には整理ボックスを並べたいとのことなので、ボックスのサイズをもとに棚の高さや仕切りの間隔なども計算し、購入予定の木材のサイズや、それをどう加工するかも含めて何度も線を引き直し、サイズの確認を行いながら設計を行った。
■製造フェーズ(協力会社)
設計が完了し、いよいよ製造フェーズ。まず、協力会社のカインズさんに購入する木材とそのカット方法を指示。ところがここでいきなりつまずいた。
カットに関して制約事項があったのだが、わたしはそれを事前に確認していなかったのだ。提案フェーズでの詰めの甘さが、次フェーズでの入念な設計をひっくり返し、大きな後戻りが発生してしまった。
ここで本来は、落ち着いて設計をし直すべきなのだが、一緒にいたクライアントの不機嫌そうなまなざしに動揺して、ついついそんな基本はぶっ飛んだ。
「納期は動かせない。今週末中に完成させるんだ!」
結局、その場でサイズの変更を決定し(購入する木材の変更も発生)、カインズさんに指示を出し直す。納期を守るために、脳内設計とメモだけで、ドキュメント化は後回し。実作業優先! 気合いで乗り切れ!!
■製造フェーズ(内製)
このフェーズは省力化のために自動化ツール(電動ドライバー)を利用することを前提にしていた。ところが、ここでも事前確認の甘さが露呈した。サイズの関係で、ツールが使えない部分があったのだ。
そしてまたしても、ここでわたしは初動の判断を誤った。
「このくらい、力技で行ける!!」
行けなかった。力の入りにくい無理な持ち方で作業したため、あっと言う間に握力がなくなり、さらに指に水ぶくれまでできてそれ以上手動でドライバーを回すことができなくなったのだ。
そんな状態になってからようやく、代替となるツールが工具箱に入っていることを発見した。オフセット・ラチェット・セットだ。これを使うことで、なんとか無事に作業を完了させることができた。
■教訓
さて、ここにはたくさんの教訓がある。
まず、協力会社とのコミュニケーションだ。今回の場合、事前確認を怠ったために、自分がやって欲しいことと、相手ができることの間にズレがあった。そしてそれが発覚するのは、プロジェクトが佳境に入ってからだった。これはITプロジェクトでもよくあることではないだろうか。
また、ズレが発覚した際のリカバリー方法。クライアントにいい顔をしようとして、問題が発生したときに納期交渉をすることなく、本来必要な作業を削ることによってつじつま合わせをした。これもITプロジェクトでありがちな問題だ。
さらにツールの適用可能範囲を事前にチェックしていない点と、代替手段を事前に考えていない点。リスクのコントロールが甘いのだ。そして極めつけは、力技で切り抜けようと作業者に無理をさせる典型的なデスマーチへの舵取り。
こんなことは、ITエンジニアなら誰でも知っていることではないか。知っているなら、日常生活でも活かせばいいではないか。そうすれば、日常生活においてもっとも重要なクライアントとの関係も、今よりもっと良好に保つことができるに違いない。皆さんにも強くお勧めする。「ITプロジェクトでの経験を日常生活で活かそう」と。
ところで今回のこのタイトル。なんだかどこかで聞いたようなフレーズなのだが、はて、いったいどこでだったかな...
コメント
仲澤@失業者
よほどでっかいのを作ったのでしょうか。
ところで、教訓をもういっちょう追加してはどうでしょう。
◇現場(一般に鉄火場)をクライアントに見せてはならない。
・・・とかっ(^^;)
ちなみに、自分も洗濯機の上にすばらしい棚をこしらえたのですが、
クライアント様は「棚の上の方に手が届かないから何とかしろ」
と仰せです。本案件は現在ペンディングとなっています。
onoT
仲澤さん
とても重要な教訓の追加、ご指摘ありがとうございますw
それから、明確に要件に含まれていなくても、クライアント様の身の丈にあったサイズものを提供することも大切ですね。
abekkan
仕事でやっていたはずのことなのに意外とできない。日常のプロジェクト管理ができないとはonoTさんもまだまだですな。
「IT技術を日常生活に活かそう」を読んで勉強しないと(笑)
onoT
abekkanさん
まったくお恥ずかしい限りで。。。
週末は「IT技術を日常生活に活かそう」を全部読み返します!