「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

戦士だけでラスボスを倒せるか?

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 日本のビジネスマンはよく戦士に例えられてきた。最近では、一部のブラック企業を除いてその考えは減少傾向にあるようだ。しかしわれらがIT業界では、いまだに社員はIT戦士となって日夜戦い続けるのが優秀さの証と考えられているフシがある。ブラック企業ではなくてもだ。

■戦士だけのパーティの末路

 当然のことながら、その考え方は間違っている。職場には戦士以外のタイプもいるのだ。

 さりげなく「いる」といったが、ここには2つの意味を込めている。つまり「存在する」と「必要だ」の2種類だ。たとえばオンラインゲームで狩りに行こうとしてパーティを募ったら戦士系のキャラしか集まらなかったという状況を考えてみよう。そんなアンバランスなパーティで強敵に立ち向かうのはかなりツラい。

 戦士系だけのパーティでプロジェクトを進めるとどうなるかを示した動画がある。皆さんも一度は見たことがあるだろうが、もう一度見ていただきたい。


YouTube: スパルタ達によるプログラマ職業紹介

 動画の最後で、「ひどいな、この業界」という台詞が吐かれるが、これは間違いだ。業界がひどいのではない。パーティの組み方がひどいのだ。300人の戦士だけのパーティ。そのパーティ編成を見ただけで結末を予測できる。

■パーティ編成は計画的に

 プロジェクトの構成メンバーが、プロマネからプログラマに至るまで全員戦士タイプでは、上の動画のような惨劇が繰り返される。つまるところ、なにごともバランスが大切ということだ。

 研究熱心な魔法使い、おやつや飲み会のセッティングなどでメンバーを回復してくれる僧侶、交渉のうまい商人、そしてそんなバラエティに富んだパーティを導いてくれる賢者。

 このように互いを補完しあえる存在があってこそ、プロジェクトは円滑に進む。こういったことは、会社全体で共有し、取り組むべきことだ。

 ただ、経営層が戦士タイプだとこれを理解してもらうのは難しい。特に小規模な会社に多いのがバーサーカー(狂戦士)タイプの経営者だ。彼らは社員全員がバーサーカーになることを望む。そういうところでは、組織を変えるなどという理想論は捨てて、今すぐ脱出の準備をした方がいい。

 ひとりでも多くのエンジニアが、信頼できる旅の仲間と協力し合いながら、プロジェクトという名をクエストに挑戦し続けることを、そして自虐的に自分の属する業界を「ひどい」と表現するエンジニアがいなくなることを、心から願ってやまない。

Comment(3)

コメント

ardbeg32

脱出・・・なんだか自分の実力の無さを棚に上げ、狂戦士経営者に責任を転嫁して青い鳥を見つけるまで転職しそうで怖いんですよね・・・
かといって今更パーティーを組めるほどメンバーのいる大企業に拾ってもらえる年でもなし、しかしウダウダ言ってるうちに心を壊すか会社に見限られるか・・・
管理職だからと言って24時間働けるわけもなし、際限なくASAPの仕事をふられても死ぬまで剣を振れるわけじゃないっての。
やっぱ転職すべきなんだろうな、うん。

onoT

実は、その「脱出」の部分はちょっと迷ったんです。「他人事だと思って簡単に言ってくれるな」と気を悪くする方もいるでしょうから。
しかし、青い鳥を探すのも理想論かも知れませんけど、その場に踏みとどまって組織を変えるというのもやっぱり理想論なんですよね。
どちらを取るかは、結局のところどちらの方が勝ち目がありそうかというところだと思います。
個人的な感覚では、本物の狂戦士タイプに勝てるのって、より強力な狂戦士だけだと思っています。
だから私は狂戦士に出会ったら尻尾を巻いて逃げ出します。

DX担当新米教師

ちょっと数理的になるけれどダイセルイノベーションパークの久保田邦親博士(工学)の材料物理数学再武装って品質工学と人工知能のあいのこみたいで面白いよ。AIのブラックボックス問題はこれを使って教えるといいと思った。

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