「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

木の上に立って見ろ!

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 経済学においてはマクロな視点とミクロな視点から経済活動をとらえて研究する手法があるが、そのような分類はマネジメントの世界でも行われている。つまりマクロマネジメントとミクロ(マイクロ)マネジメントだ。(以下、「マイクロマネジメント」と表記)

■マクロとミクロ

 マクロマネジメントとは、方向性を示して適度にコントロールしながら任せるところは任せて進めていくやり方。マイクロマネジメントはその逆に事細かく指示をだしてしっかりコントロールしながら進めるやり方。

 これらはどちらが良くてどちらが悪いというものではない。ケースバイケース、メンバーそれぞれの熟練度に合わせて使い分けることによって、プロジェクトの全体としてのパフォーマンスを上げることができる。

 例えば仕事に慣れていない新人に対しては現場のイロハを教えながらしっかりとマイクロマネジメントしつつ、ベテランにはある程度の裁量権を与えてマクロマネジメントで回していく。このように、ひとつのプロジェクトの中でも画一的な管理をするのではなく、メンバーの能力に合わせて柔軟に対応することが肝心だ。

■理想と現実のギャップ

 とはいえ、そんな絵に描いたような理想的な教科書通りのマネジメントができるヒトはそうそういない。大抵のマネージャはどちらかに傾く。そして残念なことに、うまく行かなくなるとよりいっそう強力に自分が傾いている方向に突き進むことが多い。

 その根底には、自分のやり方は間違っていないし、そのやり方は万能ですべての人間に対して有効だという揺るぎない(根拠のない)自信がある。しかし、過剰に傾きすぎるとそれはもうマクロマネジメントでもマイクロマネジメントでもない。というか、マネジメントではない。

 マクロに傾きすぎるということは、言葉を選べば自由放任主義。実情は管理を放棄した無秩序なカオス状態になる。これはプレイングマネージャに多く見られるパターンだろう。このパターンの最大の欠点は、管理だけでなく責任まで放棄することだろう。自由にやらせておいて、うまく行かなければ「信頼して任せたのに、おまえは期待を裏切ったな!!」と激怒する。

 逆にミクロに傾きすぎると、過剰な報告を求め、常に監視し、過保護な親のようにメンバーの仕事に介入するようになる。これではメンバーはいつまで経っても独り立ちできないし、やる気を失ったり抵抗したりもするだろう。

■とりあえず、木の上に立って見ろ!

 木の上に立って見るのが親だという。まったく、たった一文字の中にサラリとそんな深い教訓めいた意味を持たせてしまうところが表意文字のステキなところだ。

 このスタンスは、マネージャに取っても大いに見習うべきものがある。常に気にかけてはいるけれどベッタリしすぎず、付かず離れず、いつでも声をかけ手を差し伸べられる絶妙な距離感。もしもあなたがマネージャやチームリーダーや後輩を持つ身であるならば、マクロとかミクロとかそんな理論はどうでもいいから、まずは木の上に立って見ることから始めてみるのがいいだろう。

 そういえば、マクロとミクロに2極化しがちなのはマネージャだけではないようだ。育児放棄したマクロタイプの親や、モンスター化したミクロタイプの親が関係するニュースのなんと多いことか。そんな親たちにも、ぜひとも木の上に立って見てくれるようになって欲しいものだ。

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