How toという名のTシャツと、Why toという名のパンツ
■新しい年には新しいパンツを
新年というのは誕生日などと並んで非常に大きな区切りとなる。だから新年を迎えるにあたって、普段利用している日用品を新調して元旦から使い始めるヒトも多いだろう。ウチでも子どものころから毎年、元旦には歯ブラシや下着などを新調していた。
今年もきっと、わたしと同じように新しいパンツをはいて、すがすがしい元旦の朝を迎えた方も多いに違いない。ところで、そのすがすがしさを職場でも味わってみたいとは思わないだろうか?
■How toは大切だけど、それだけでは足りない
IT業界の時間の流れは速い。テクノロジは日々新陳代謝し、プレイヤーは下克上を繰り返す。だからその中で生きているエンジニアがHow toを求めるのは当然のことだ。しかしHow toだけで成長することは難しい。
わたしの敬愛してやまない写真家、エドワード・レビンソン氏が『エドさんのピンホール写真教室』という本のあとがきに「自分はHow toライターではなくWhy toライターと呼ばれたい」というような意味のことを書いておられる。
『写真教室』というタイトルからはHow to的な内容を想像してしまうが、この本には、全編に渡ってWhy toが満ちている。読み返すたびに、わたしの心の中に「どうやって撮るか」ではなく「なぜそれを撮りたいのか」が鮮明に浮かび上がり、いても立ってもいられなくなる。
■Why toはパワーの源
このようにWhy toを自分に問いかけるとモチベーションが増幅される。これは重要なポイントだ。エンジニアは、たくさんのHow toを吸収することによってスキルアップできるが、それだけでは次のステージに進むことは難しい。ゲームでも、つまらなかったり飽きたりすると、ステージ途中でやめてしまうこともあるだろう。先に進むには、Why toというパワーの源が必要なのだ。
しかし、忙しい日々の仕事に流されていると、目先のタスクをなんとかするためのHow toばかりを追い求めて、パワーの源であるWhy toが薄れてしまいがちとなる。
■How toはTシャツで、Why toはパンツだ
多くのヒトは、周囲から注目を集めるHow toというTシャツは毎月のように買い替えているが、ほとんど誰にもみられることのないWhy toというパンツはずっと同じものをはきつづけているのだ。
あなたはパンツ一丁で人前に出るのとTシャツ一丁(ノーパン)で人前に出るのと、どちらか一方を選べといわれたらどちらを選ぶだろうか。わたしなら、間違いなくパンツ一丁を選ぶ。パンツとはそのくらい重要なものなのだ。
だからせめて年に1回くらいは、くたびれてヨレヨレになったパンツを捨てて、新しいものにはきかえることをお勧めする。
すがすがしい気分で仕事に取り組むために。