「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

ゴールドエクスペリエンス

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■これはUX論ではない

 最初に断っておくが、ここでUX論を展開するつもりはない。ゴールドエクスペリエンスは、その名前の響きからUXの文脈で語られることが多い。しかし、私が思うに、ゴールドエクスペリエンスの本質は、それとは別のところにあるのだ。そして、それはスタンドを見ることができない我々一般的なエンジニアにとっても、非常に有益な能力であることは間違いない。

■前提知識

 おっと、失礼。いきなりぶっ飛んだ話を始めてしまったようだ。少し説明をさせてもらおう。もちろん、ゴールドエクスペリエンスの出典は『ジョジョの奇妙な冒険』だ。このコラムの読者はエンジニアであり、『ジョジョ』はエンジニアの必須科目のひとつでもあるので、私がここでゴールドエクスペリエンスについて書いても、なんの問題もないはずた。きっとあなたも、よくご存知のことと思う。もしも記憶が曖昧なら、本棚から第5部を引っ張り出して読み返して欲しい。もちろん、エンジニアの本棚にはジョジョが全巻揃っているはずだから、なんの問題もないはずだ。

 さぁ、復習が済んだら早速ゴールドエクスペリエンスの話を始めよう。

■ゴールドエクスペリエンスとは何か?

 それはひとことでいえば、モノに命を吹き込む能力。ジョルノがその手でモノをぶっ叩けば、そこに命が吹き込まれる。それが基本だ。

 それでは、我々エンジニアもキーボードをぶっ叩けばデバッグ中のオブジェクトに魂が宿るかといえば、そんなことはあり得ない。エンジニアが命を吹き込んだシステムによって、ユーザーが黄金の体験を得られるなら、世の中は黄金の体験で満ちあふれているはずだ。しかし業務アプリケーションを立ち上げるたびに愉悦の極みを感じるユーザーはあまりいないだろうし、会員登録フォームに個人情報を入力するたびにエクスタシーを感じる人もあまり見かけない。

 スタンドとはそもそも、精神が実体化したものだ。従って、その本質はスタンド使いの精神そのものに求められる。ブチャラティたちは、ジョルノに出会ってから自分たちの生きている世界が大きく変化して行くのに気づく。実は、彼らこそがジョルノの精神によって命を吹き込まれていたのだ。彼らの感じた感覚。それこそが、ゴールドエクスペリエンスといえる。

■ブチャラティはなんと言ったか?

 ディアボロの野望を打ち砕くために、自身を投げ打ったブチャラティの最後の言葉がすべてを表現している。63巻の42ページだ。『ゆっくりと死んでいくだけだった・・・オレの心は・・・生き返ったんだ・・・』

 お分かりだろうか?ブチャラティにそう言わせたものは、ジョルノのスタンド能力ではない。ジョルノの持つ精神。自分が正義と信じる道を突き進む、確固たる信念と、それを貫く強い意志。周囲を巻き込む行動力。それこそが、ゴールドエクスペリエンスの種子なのだ。チームのメンバーは、それに共感したり反発したりしながらも、充実感を得ながら一丸となって行動していく。

 気をつけて欲しいのは、ジョルノはリーダーではないということだ。チームはリーダーだけがコントロールするわけではない。ジョルノのような黄金の精神を持ったメンバーが、ゆっくりと死んでいくだけのチームを生き返らせることもある。

 さぁ、あなたもゴールドエクスペリエンスを発現させてみないか?

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