「失敗のもと」を探ってみよう
■緊張は失敗のもと
スポーツにしろ、楽器の演奏にしろ、プレゼンにしろ、初めてのデートにしろ、緊張してガチガチになると、ロクなことは起こらない。
試合ではミスを連発して負けるし、演奏では音程を外すし、プレゼンでは話す内容を忘れ、デートでは相手の名前を間違えて修羅場を呼ぶことになる。
■焦りは失敗のもと
時間がないときや急いでいるときにも、やはりロクなことは起こらない。
忘れ物をして家に取りに帰って結局電車に乗り遅れたり、駅の自動改札でSuicaをタッチミスしてゲートが閉まったりする。プログラマなら、バグを見つけて慌ててソースコードを修正すると、別のバグを埋め込んだりソースをデグレードさせたりしてしまう。
■怒りは失敗のもと
さらに、頭に血がのぼったときも、同じくロクなことはおこらない。
喧嘩中に怒りにまかせて、ついついいわなくていいヒトコトを口走ってしまって、それが相手にとっての「会心の一撃」だったりすると、友達なら絶交だし恋人ならその場でお別れだ。上司に殴りかれば降格や解雇が待っている。
■熱中は失敗のもと
熱中するのは基本的にはいいことだが、限度というものもある。限度を超えると、そこにはやはり罠が待っているのだ。
恋はヒトを盲目にするし、趣味に熱中し過ぎて本業がおろそかになったり、カラオケで盛り上がって終電を逃したりもする。エンジニアの場合、技術ばかりに目が行ってしまって顧客をないがしろにするような状況だ。
■成功は失敗のもと
「おいおい、お前はどうしてそうやってすべてを否定したがるんだ?成功まで否定するつもりか?じゃぁ成功するなっていいたいの?」という声が聞こえてきそうだが、そうではない。
過去の成功体験にしがみついて、そこから先に進めなくなるのが危険だといっているだけだ。昨日成功したやり方が明日も通用するという保証はどこにもない。しかし、過去の成功体験を捨て去るのはとても難しいものだ。
■心は、どこにある?
さて、ここまでいろいろと書いてきたが、上に挙げた話に共通するものはなんだろうか。
ひとことでいうと「心ここに在らず」だ。
過去とか未来とか、今やるべきことと関係ないこととか。要するに、失敗は心を「今ここ」以外のどこかに飛ばしているときにやってくる。
だから我々は、常に自分の心を「今ここ」にとどめるように努めなければならないのだ。週末に買った『禅マインド ビギナーズ・マインド』(鈴木俊隆著)を読みながら、そんなことを感じた。みなさんにもぜひ、じっくりと繰り返し読んでいただきたい一冊だ。