「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

お客様が神様なら、システムは神に捧げる供物だ

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■神様はどこの何様?

 「お客様は神様です」とは、もともとは歌手の三波春夫氏が、自分の歌を聴くために公演に足を運んでくれるファンに対してステージ上でいったコトバだ。

 つまり、この文脈で考えると、企業にとって神様と呼べるのは消費者全体というわけではない。

■信者は神様だ!

 三波春夫氏にとってのファン。企業にとってのブラント忠誠度の高いユーザー。これが「神様」だ。

 「一見(いちげん)さんお断り」的な雰囲気を醸し出している店舗にとっての常連さんは、まさしく神様だろうし、例えば「Apple信者」と呼ばれる人々も、Apple社にとっての神様といえるだろう。

 結局のところ、企業にとっての神様とは、自社に友好的な感情を抱く馴染みのユーザーが主体ということだ。信者にとっては企業が神様なのだろうが、神と崇められる企業にとっては、自社の信者こそが神様なのだ。このループ構造が企業とユーザーの結びつきを強固なものにする。

■「オレサマ」は神様ではない

 それに対して、例えば、初めて入った店でサービスが悪いとイチャモンをつけて「お客様は神様なんだろ? お前んとこでは神様に対してそんな対応するのかよ?」とまくしたてるようなヤカラは、ちっとも神様ではない。

 そもそも今の日本人で神を信じているヒトなどどれだけいるだろうか。そのくせ、文句をいうときには自分を神と同一視するのだ。不敬にも程があるというものではないか。

■荒ぶる神々にご用心

 とはいえ、やはり商売をする上では俺様キャラの荒ぶる神様に目をつけられることもある。現代の荒神様は、特にネット上で信じられないくらい冷酷な行動に走ることがある。

 古来日本では、荒神様から危害を被ることを避けるために、恭しく祀る風習があった。現代の荒ぶる神々は、ネットという強力な武器を持っているので、以前にも増して、ご機嫌を損なわぬように細心の注意を払わなければならない。

■神様への捧げもの

 では、一体どうすれば荒ぶる神々からの危害を避けつつ、神様と呼べるお客様を増やしていくことができるのだろうか。

 それは、やはり神様が喜ぶ捧げものを納めるしかないだろう。つまり、質が高く、ユーザーが喜んで使ってくれる製品やサービスを提供するということだ。

 自分自身の経験や、周囲を注意深く観察してみれば分かることだが、多くの場合、神様は値段では獲得できない。どんなに安くても、まずい店には二度と入ろうとは思わないし、不具合でクラッシュしてばかりのアプリは、たとえそれが85円でも評価欄に「金返せ!」と書き込まれてしまう。神様を求めるなら、値段でどうこうしようと思ってはダメだ。

 だから我々は常に神様の声を聴き、自分の技を磨き、神様の不敬を買わないように精進するのだ。

 さぁ、今日も神様を喜ばせるモノをつくろうか!

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