【59】社長や経営者は何故エンジニアの言葉を理解しようとしないのか?
こんにちは、手塚規雄です。
先週のIT用語解説系マンガ食べ超を読みましたか?「社長にはオブジェクト指向が分からぬ」
私はあのマンガが何気に好きです。たまに意外と知らなかった言葉が出てきて、マンガを読んだ後に真面目に言葉を調べた事もあります。そんな食べ超ですが、先週の「社長にはオブジェクト指向が分からぬ」で社長が言い放った言葉に関してのコラムになります。
売り上げに直結しなさそうなのでどうでもよくなったのだ!
これからはオブジェクト指向だと思っていたけど、儲けには関係なさそうだからどうでもよくなった、という話しです。エンジニアとしては「ちょと待てコラっ。」と突っ込みたくなるシーンかもしれません。でもやっぱり社長や経営者としては技術の中身がどんなものであれ、やっぱり売上・利益に直結しないと興味がわかないのが本音だと思います。
極端な話、Windows10が増収増益に直結するOSなら、興味がわかない社長や経営者はいません。でも実際には利益に直結する事はないのは誰もが知っています。WindowsXPのサポート切れの時と同じです。どんなにセキュリティの危険性がある事を啓蒙しても、パソコンを何台も買い換えるのは多額の経費がかかるのでやりたがらない。どちらかと言えば買い替えても経費、セキュリティ問題が発生しても信用を失う。どちらも失わずにする方法はないのか?と思ってしまうのが経営者だと思います。
エンジニアとしてこんな質問されてしまうと、ナメんな!と怒りたくなるのですけどね。
社長や経営者がなんで数字が好きなのか?
食べ超の社長さんはこういう発言もしています。「オブジェクト指向なら22%少ない工数で作れるということだね」。社長さんにとっては結局オブジェクト指向の内容はどうでもよくて、とりあえず今までより工数が減って、人件費も減るなら、オブジェクト志向の方がいいね!という発想です。でも、実際の社長や経営者もそうじゃないですか?
過程は問わず、結果を残せ。数字化してわかりやすく良くなった事、利益を出た事を示せ。そんな事を言われている人も多いと思います。そもそも社長や経営者の方々は自分自身が置かれている立場がそんな状況、過程より結果が大事な状況だからです。社長や経営者は増収増益できなければただの人。会社を潰してしまえば大悪党になってしまう。だから結果にシビアに生きざるをえない。そのためにも数字が大事になってしまいます。
立場も変われば、見えてくるものも違ってくる
食べ超はエンジニアライフと同じく、自分戦略研究所の一つのコンテンツです。エンジニア向けの内容なので、どうしてもエンジニア視点から物事を考える内容です。でもそこでちょっとだけ視点を変えると、いつもの日常と違ったものが見えてきます。
よくある話ですが、開発者視点と利用者視点では違ったものがみえるし、利用者視点で物事を考えて欲しい。そんな言葉はどこでも言われているのですが、実際に利用者視点になって物事を考えるのは難しいです。それはその心理も知らないし、経験もないからです。
社長や経営者はエンジニア視点を知らないし、エンジニアは社長や経営者視点を知りません。だからお互いの意見はすれ違いになりやすい。社長がエンジニアになれ!というのが無理があるので、エンジニアが社長や経営者の立場を勉強して、彼らの理不尽な言い分はどういう心理から発せられるのかを知ってみると、今までと違ったものが見えてくるかもしれません。
出世すると人が変わる、という話を聞いたことがありませんか?
よくある話に人が出世して管理職になると昔と言っていた事を逆の事を言ったり、するようになった。この手の話をけっこう聞くのですが、それは管理職になったことで今まで見えなかったものが見えるようになって、考え方が変わったのではないのか?それぐらい従業員と管理職では見えているものが違ってくる証拠の1つだと思っています。
となると管理職と経営者でもまた違ってきてしまう。この事から従業員と経営者では見えているものがぜんぜん違うから意見がぶつかりやすい。ニュースで経営者と従業員で意見が大きく違う場合があるのはこの辺りに理由があるからではないでしょうか?