蘭の社内SE奮闘記(2)
私の名前は織田蘭です。社内SEの仕事をやっています!
ユーザーからパソコンでグループウェアが使えないとのクレームがあり、現場に行ってみました。机の下を見たらLANの線が何本かはずれており、それらを繋いでシステム部に戻ってきました。ところが多くのユーザーからグループウェアが使えない、インターネットが見れないとのクレームが殺到してきました。
上司と武田先輩が何か重大な障害が起きたのかと思い、サーバー室に入って行きました。私も何かお手伝いできることがあるかもしれないと思って、一緒ににサーバー室に入ってみてハブを見てみました。
武田 「これが3階営業部のセグメントのハブですね。リンクランプ全部ついてますよ」
伊達 「このハブって、L3スイッチのどこポートにつながってるんだ」
武田 「このポートですね。このリンクランプもついてます」
武田 「織田さん、ノートパソコンとLANもってきて」
蘭 「はい、持ってきましたよ」
3階営業部から20本ほどのLANが先輩が問題だと言っているハブにの接続されていた。先輩は、そのハブの空きポートとノートパソコンをLANで接続した。パソコン担当の人と同じようにping というものを実行してみたらしい。
武田 「やっぱり駄目だ。L3スイッチにPCつないでみるか」
私はL3スイッチってなんだかわかりませんでしたけど、見た目はハブと変わらないのので、ハブの親玉かなあなんて思いました。
武田 「L3スイッチはpingが通るな~。やっぱりこのハブこわれていますね」
伊達 「いや、このハブは正常のリンクランプがついてるから、それはないんじゃないかあ」
武田 「営業部の人たち皆困ってイライラしていますよ。即他のハブに変えましょうよ」
伊達 「ちょっと待て、これってあれかもしれないな~」
武田 「なんてすか、あれって」
伊達 「L3につながっている元線以外、全部はずしてみろ」
武田 「何言ってるんですか?」
伊達 「いいから元線以外全部はずすんだ!」
しぶしぶ先輩は20本ほどのLANを抜きました。
上司 「どこかのポートにPC繋いで ping やってみて」
武田 「お~、ping 通った!」
上司 「抜いたLAN1本ずつ差して、その度にping してみろ」
武田 「織田さんLAN差してみて、差したら僕がpingで応答確認するから」
私は1本ずつLANを指して、差すたびに先輩に ping で応答を確認してもらいました。ちょうど10本目のLANを指したとき、武田先輩が「ping 通らないぞ」と言いました。
伊達 「よ~し、そのLAN以外は全部つないで」
私は残りのLANを接続した。
武田 「これって、この異常があるLANの接続先に問題があるってことですか?」
伊達 「うん、そうだね。織田さんと一緒に営業部に行ってみて」
私は武田先輩と一緒に営業部に行き、グループウェアが使えているかどうか聞いてみた。
「みんなグループウェアが使えている見たいですけど、私だけまだおかしいですが」
とひとりの社員が言ってきた。この社員って私がさっきLANをハブにつないであげた社員なのだ! 先輩はその社員の机の下に入り込みPCに接続されているハブの結線を確認し始めた。
武田 「このLANどこに繋がってるの? 織田さん、これたぐってみて」
蘭 「このLANさっき、私がトラブル対応で行ったとき外れてたんで、このハブにつないだんです。ちょっとまってください。長いですね~。あれ、こんなところにハブがあって、そこに繋がってますよ」
武田 「変だなあ、それって、さっきまで外れてたんだよね。元線じゃないから外していいんじゃないか?」
先輩はシステム部にいる上司に電話を掛けた。電話中、私に変だと指摘したLANをハブから抜けと指示した。先輩は電話が終わると、そのハブがつながっている社員のPCでグループウェアが立ち上がるかどうか確認するように私に指示した。
社員 「グループウェア見れるようになったよ」
武田 「大変ご迷惑をおかけしてすいませんでした」
先輩はすごずごと私を連れてシステム部に戻った。自席に帰ると上司が私に小声で私に話しかえてきた。
上司 「今後、LANを抜き差しするような作業をするときは、私に一言くださいね」
私は、なんだか納得しなかったので、その日、仕事が終わった後、先輩にひそかに相談しました。
先輩はホワイトボードに以下のような図を書いた。
武田 「ハブというものは元線1本で繋いでいくのが原則なんだよ。この赤線が織田さんが配線したLANだよね。これってどっちのハブが元のなるのかわからない関係だよね。こういった配線をするとセグメント全体に障害が起きるんだ」
蘭 「それって私のミスですか?」
武田 「そうだけど、織田さんに責任はないよ。我々部署の責任だから。今後再発することのないように注意すればいいんだ。」
繋がっていないLANをハブに差して、よかれと思ってしたことが、結果的にシステムトラブルとなり武田先輩、伊達課長まで迷惑をかけてしまった。私は落ち込んで、その晩はよく眠れなかった。パソコンやハブにLANを接続するなんてことは家でもよくやっていることだ。それが何で仕事でミスを起こしてしまったのだろう……悔しさのあまり涙も出た。
それから数日後である。私がネットワークスペシャリストの資格をとるために勉強を始めたのは……。
(続く)
この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。