蘭の社内SE奮闘記(1)
私の名前は織田蘭。蘭といっても、某名探偵の娘ではありませんよ。私の名字は織田です。某会社で社内SEの仕事をしています。
蘭の勤めている会社でも、一般の大手企業と同様に営業、研究、事務職は全員パソコンが支給され、グループウェアやマイクロソフトのオフィス製品を使っています。本社や支店にはファイルサーバを置き、本社のグループウェアサーバとはWANで接続しています。
蘭の初仕事は、パソコン担当専門の派遣社員から社内のPC設定やインストール方法を教わり、社員からパソコンのトラブル対応でした。最初はどうやって対応していいか分かりませんでしたが、半年くらいパソコン担当の先輩に教えてもらいながら、仕事をしていくうちに自分で対応できるようになりました。
ある日、社員から電話がかかってきました。
社員「グループウェアが立ち上がらないんです」
蘭「ファイルサーバのファイルが見えますか」
社員「う~ん、見えない」
どうやらPCがLANにつながっていないようだ。パソコン担当の人に聞いてみた。
「こういうときは、台帳にその人の持っているPCのコンピュータ名が載っているから、自分のPCからコマンドプロンプトを開いて、ping コンピュータ名を実行してみればLANにつながっているかどうか分かるんだよ……う~ん応答がないから確かにLANにつながってないなあ」
私は電話をかけてきた社員のフロアに赴いて、机の下のLANの状況を見てみました。思った通りハブに接続されていない。2本ほど接続されていないLANがあるので、そのうち1本のLANをハブに差してみた。
蘭「どうですかグループウェア見えますか」
社員「お~見えるようになった!」
私はそこでやった~と思って、ついでにもう1本のLANもハブに差してシステム部に戻ってきました。何やら武田先輩が電話で社員と話しています。それから私の上司、伊達課長にも電話がかかってきました。
伊達 「お~い、3階営業部のLANがすべてつながっていないようだ」
武田 「そのセグメントのサーバのハブが壊れたんですかね~」
3階営業部は、私が先ほど社員のLANをつなぎに行った場所だ。武田先輩が言っているセグメントってなんだろう? いずれにせよ全員のLANがつながっていないなんて、私のさっき行った対応がまずかったなんてことはないはずだ。先輩の言うとおりサーバ室のハブが壊れているんだろうと思いました。
しかし、これが私の大失敗だとは思いもよりませんでした……。
(続く)
この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。