OSのサポート切れはビジネスチャンス
今年(2010年)、Windows 2000がサポート切れとなった。今後もマイクロソフトはWindows XP、Windows 2003のサポートを切るとアナウンスしている。PCにしてもサーバにしても、OSのバージョンを上げることで、いままで使用してきたアプリケーションが動作しなくなる可能性がある。Windows 7では「XPモード」というものがあり、個人ユーザーがゲームのようなXPアプリケーションを動作させるのに役立つ。しかし、企業でネットワーク接続、ドメイン参加するアプリケーションには仮想環境にも別のIPアドレスが必要になるなど管理上の煩雑さが増すので、容易にはWindows 7を導入できない。
1990年代にMicrosoft Visual Basic(VB)が登場、簡単にGUI(ユーザーインターフェイス)を開発しPC上で動作できるようになった。1990年代以降、企業では爆発的にVBアプリが開発され、Windows XPまで、アプリケーションの互換性がかなりの程度まで維持されてきた。Windows 7でも限定的にVBアプリケーションの互換性は維持しているが、なにしろユーザー企業はVBアプリを大量にかかえているため、すべてがWindnows 7で動作するわけではない。
VBアプリを.NETアプリに自動変換するツールも最近では存在するだろう。しかしVBアプリにサードパーティコンポーネントを使っている場合は、Windows 7では動作しないことが多い。
作業工程X サードパーティーコンポーネントが使用されている部分の特定
作業工程Y .NETで稼働するコンポーネントに置き換え
のような作業が発生する。1990年前半では文化オリエントなど、16bitのOCXコンポーネントが供給され、多くのアプリケーションに使用された。Windows 7以降、OSで動作保証するためには、.NET アプリケーションに置き換える必要がある。サードパーティコンポーネントを使うにしても最新のコンポーネントへの置き換えが必要になるだろう。
アプリケーションの書き換え作業は、SIerにとっては大きなビジネスチャンスとなりえるだろう。今後のITビジネスとしては新しいものを作るだけでなく、システム維持面も重要視するべきで、ユーザー企業の今後のニーズとも合致する。
■ユーザー企業はどのようなSIerを歓迎するか?
アプリケーション関しては、1から.NETアプリに書き直すよりも、古いVBソースを自動に.NETにソース変換する実績があるSIerやサードパティーコンポーネントの置き換えまでも熟知しているSIerをシステムパートナーとして望むだろう。またバグフィックスなどはVBアプリはPCにインストールし直す必要があった。Webアプリケーションに変換するとこのような作業がなくなるのでメリットがある。
サーバに関して、マイクロソフトは将来的に64bitOSを主流とする方針を出している。ドメインコントローラ、EXCHANGEなどの移行実績が豊富な企業が望まれる。またOSをバージョンアップせず、仮想環境内で動作することもシステム存続の有効な手段である。Windows 2000などはマイクロソフトがサポートしているが、SIerも豊富な知識をもっている。仮想サーバを導入し、Windows 2000サーバを仮想化すれば、ウイルスに破壊されても、イメージバックアップから正常に戻すことが可能になる。
ERP、SCM、CRMなど、新しいものを導入する面ではSIerから提案が多かった。一方でシステムを「延命」させることの提案は少ないように思える。しかし、ユーザー企業にとっては「延命」は生命線にかかわることなので、ぜひとも活発な提案を期待したいものだ。