書籍「科学が解き明かす禁断の世界」を読んでみた。見たくないモノは見たいモノ【第50回】
いつもありがとうございます。平岡麻奈です。炎天下の中、少しでも歩くと汗が出てきます。1日の多くを外で過ごすとなれば尚更、着ている服には汗が滲んできます。建物に入ったり出たり、涼しい室内に入れば、【汗が引いた】という表現の仕方でしょうか。珈琲をこぼしたわけでもないので、乾くことにより汗が滲んでいた事実は分かりにくくなります。(あくまでも日常生活の汗のかき具合を想像してください。)事実が曖昧になってはいるものの、汗が沢山滲んだであろう衣類を、【汗抜き加工】というフレーズに希望を持たせ、クリーニング屋へ持ち込むことも多々あります。それは、普通に洗っても汗が全て落ちているか不安。詳しくどういうことをしているかは知らないけれど、やっておいた方が良いかもしれない。というような、【よくわからないけど、なんだか嫌】という感情が働いているからかもしれません。
さて。何を申し上げたいかと言いますと、【よくわからないけど、なんだか嫌】という不愉快さが日常には沢山存在します。爽快感を伴う汗もありますが、そのままにしておくわけにはいきません。良い汗と悪い汗があるんだよ、というざっくりな知識で終わるのも宜しくない。さらに身体に関係するものだけでなく、色々な事柄に焦点を当ててみます。
見た目が不気味だったり、不意に現れる昆虫を思い出します。その不気味さに向き合うことは極力避けたいかもしれません。ゴキブリの生態を知るよりもまず、ゴキブリに出会いたくない!という人も多いはず。けれど、人類よりもはるかに昔から存在しているのなら、学べることは多いのでは?と感じます。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第50回は、普段興味があるけれどなかなか踏み込めない、恐怖や不快に向き合う1冊をご紹介します。
科学が解き明かす禁断の世界
[著]エリカ・エンゲルハウプト
[訳]関谷 冬華
https://www.amazon.co.jp/dp/4863135262
どの領域をとってみても、科学者たちは気持ちが悪いと思われていること、恐ろしいこと、タブーとされていることについての知識を追い求め、私たちの心や体や、世界についての驚くべき真実を明らかにしている。(はじめに P,14)
本書は一般的にタブーだと思われていることを深堀りしたり、具体例を元に真実を解明します。この本書の魅力のひとつ、タブーを敬遠する理由として、【すぐに自分たちの常識で決めつけて批判しがち】なことを挙げている点だと感じます。不思議なもので、気持ち悪いことや不愉快なことというものは、毛嫌いしているように感じますが、興味深いものです。ましてや、その【気持ち悪さ】を見逃してしまえば、なにかの発見〈病気を知るサインなど〉が遅れてしまう要因になるかもしれない。そう考えると、【綺麗事】だけではなにも解決しないわけです。
この書籍を通して、1番興味深く感じた項目は、【PART4 嫌な生き物たち #23 一番痛い虫刺されの話 】です。タイトルだけでも嫌悪感が拭えませんが、『どれぐらい痛い?』という問いの答えが、いかに難しいかを教えてくれます。
例えば、輪ゴムが当たったときよりも針を突き刺したときの方が痛いという意見には誰しもが賛成するにしても、どれくらい痛いかを数字で表せと言われると困ってしまうだろう。(PART4 嫌な生き物たち #23 一番痛い虫刺されの話 P,227)
この章で紹介されるジャスティン・シュミットは、虫に刺されたときの痛みの程度を表すシュミット指数を開発。刺されたときの痛みを体のあらゆる部位について評価し、実験は自らの体で行ったというもの。私たちが今、色々と情報をすぐに得ることが出来ますが、結局は【誰かが調べたなにか】であって、実体験ではないことが多いのではないでしょうか。日常の不安な要素でも、よく痛みの度合いを気にしてしまいます。痛みに弱い方は麻酔を、、で片付けられても不安。痛みへの恐怖心を数値化しようと試み、成し遂げた人の存在を知ることは素晴らしい発見でした。
【この本を読むのはストレスがかかります。体調の良いときに読むことをお勧めします。】
本の帯を外してみると、この言葉が書かれていました。半分以上読み終えた後にこのような仕掛けがあったとは、、ちょうど帯に隠れて見えずにいました。そんな矢先、短い期間のうちに夜道でゴキブリとネズミに出会しました。壮絶にブルーな気持ちになると思いきや、凄まじい生命力に圧巻!という気持ちになったわけです。もはや、この本に出会ったことにより、知らないことが気持ち悪さを加速させていたに過ぎない、綺麗なモノに囲まれすぎると少しのイレギュラーでさえ嫌悪感が湧き出てくると。見て見ぬふりは辞めましょう、これは大きなメッセージです。
読み終えてから日常生活で改善したことがひとつ。それは疲れて帰ってきた夜(半分以上は呑んで帰った夜)、そのまま寝落ちして朝を迎える、詳しく言えば、顔を洗わないで寝てしまうことを辞めました。それは何故か。【PART4 嫌な生き物たち #18 小さくて、誰にでもいるもの】を是非ご覧下さい。皮膚の形成に、その生き物は何らかの形で助けてくれているかもしれない、その可能性があれど、【よくわからないけど、なんだか嫌】なうちに、辞めておこうと感じました。早いうちに。
研究者でなくても、私たちは気持ちが悪いと思うものを受け入れて、何かに生かしていくことができる。(あとがき P,340)
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