書籍「BODY SHARING 身体の制約なき未来」を読んでみた。身体がひとつなんて物足りない【第47回】
いつもありがとうございます。平岡麻奈です。春を間近に、新生活が始まる方も多いのではないでしょうか。私自身も気持ち新たな局面を迎え、毎日ワクワクしているところです。自分の考えに自信が持てるように知識を蓄える。これが私の人生の課題です。『〇〇さんが言っているからダメなんです』などと伝えて叱られた経験は沢山あります。実際に自分には何も知識が無いまま、誰かのせいにしてしまう。【解らなければ自分で調べなさい】、この教えには非常に有り難く感じています。これが読書を好きになる理由のひとつです。世の中には知らないことが沢山ある!と思うとまたワクワクします。
そして、今までは【仕方ない】と片付けることが多かったと反省しています。本当は〇〇と思っているけれど【仕方ない】、無駄だけど昔からの決まり事だから【仕方ない】。まるで発展性がなく、改善していこうにも想像力が奪われる生活には、別れを告げました。その影響もあって、選ぶ書籍にも変化が表れ始めました。それは、未来を見据えた夢のある内容のもの。例えば【宇宙】とか【火星に住む】だったり、想像力を掻き立てるものが好きになりました。スケールは大きく!そうすれば、毎日の小さな悩みは宇宙スケールで考えられるようになり、ちっぽけに思えてきます。
さて、今回ご紹介する書籍は、何十年、何百年と先の未来を見ている。長生きしたいなー!と思わずにはいられない、いや、寧ろ生死の区別さえも無くなる未来があるかもしれません。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第47回は、正に想像力を養う、未来を見据えた一冊をご紹介します。
BODY SHARING
身体の制約なき未来
【著】玉城 絵美
https://www.amazon.co.jp/dp/4479393773/
体験を電子データ化し
写真や動画のように
シェアできる世界へ
【Body Sharing】
身体に付随する感覚の情報を相互共有することによって、自らの身体を、他者、ロボット、アバター、さらには複数人数と共有すること、そしてそのことによって得られる『体験』をデータで共有する技術
【体験】とは、"情報を得るという受動的な行為ではなく、自らも情報を出して作用し、それに対する情報をまた受け取るという、能動的な身体と外界とのインタラクション"と示されています。スマートフォンが普及してから、自分自身でない誰かの経験もすぐに確認出来るようになりました。沢山の情報に触れるきっかけにもなりますが、受動的な感覚だけでは、【他人に羨ましさを感じる】気持ちを掻き立てる要因になります。本書では、一人が体験した面白いことを地球上の全員が体験できる世の中を目指した、様々な取組みが紹介されています。実際に現在のTikTokでは、ひとつのBGMを利用して沢山の人が様々な動画を投稿し、共有しています。これは【体験共有】の仕組みでもあり、体験の楽しみ方を学ぶことが出来ます。
人生は体験の記憶でできていて、体験はこれほどまでに人を人として成長させ、そして成熟させていくのか、私はそのように感じていた。(第1章 感覚伝達とインターフェース P,48)
本書では、著者の学生時代に体験した入院生活が記されています。入院生活での人との出会い、色々な話を聞くことが出来ても自分は【体験出来ない】中、不安を抱えながらも『満足した経験を得て成長したい』という想いが、壮大な未来のプロジェクトへと繋がっていると感じました。
情報通信技術の発達と集合知によって社会のかたちが変わっていくというのは自然なことでもあり、逆に言えば世界がそのように変化していく流れを止めることはもはや誰にもできないだろう。(第3章 サイバーとフィジカルが融合する世界 P,171)
より無駄がなく、効率的な社会を目指すためには、変化に順応していく必要があります。人がうまく業務を行った時の感覚データをロボットが学習すれば、適切な仕事をしてくれるようになり、【人が作業した時の身体データをAI分析しそれをロボットに移植、そして人は単純労働から解放される】未来を描くことが出来る。【人は本当に価値のある体験だけを得る】ことが可能になると示されています。
【体験共有】への様々な取組みと並行して大事なこと、それは『欲、想像』と『社会的受容』。実現させたいことが社会でどのように受け入れられるかを想像出来るかが実現への課題となるならば、私達が未来を夢見る『想像力』がいかに重要かが解ります。
『想像力』を働かせられない現実は、こんなこと言っちゃダメかな、と周りを気にして発言が出来ない状況も影響しているかもしれません。本書を読み終えた時、どうして今まで小さく殻に閉じこもっていたのかと反省し、冒頭の気持ちに繋がりました。是非『想像力』を豊かに、夢を描きましょう。その描く未来は案外近いかもしれません。
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