髪盛ってるから森姫

わたしの愛する仕事人としてのアオイさん

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◆Look at Star

 「一分の隙もない丁寧なコードが書ける人」

 「誰もが理解できる分かりやすい仕様書が書ける人」

 エンジニアとして尊敬できる人。

 「360度、どの角度からみても素晴らしい人」

 「限られたショップの中から一番のコーディネイトを見つけられる人」

 ギャルとして尊敬できる人。

 エンジニアとして、1人のギャルとして、尊敬できる人は星の数ほどいます。

 都会の路上はあまり星が見えないので、都会に住んでいたときでしたらきっとすぐに今回のお題「尊敬するプロフェッショナル」で書くことができたのではないかな? と思います。

 元都会のギャルは現在田舎で毎日多くの星を見て過ごしています。

 「さて、どういう風にまとめるかな……」と考える夏の夜。

 ふと、とある雑誌に載っていた人のことを思い出しました。

 わたしがエンジニアになる前、わたしがギャルになる前にずっと見ていた人。

 小見出しでどのジャンルなのか気が付かれた方も多いかと思います。「アオイさん」というある舞台俳優であり脚本家であり演出家である人のお話です。

◆アオイさんの過酷な舞台

 本番の日が迫っているある日のことでした。

 演目が1週間前に観客の投票で決まるという企画のもとで進められた芝居。

 過去に演じた芝居とはいえ、アオイさんは1週間でセリフを全部覚えなくてはいけませんでした。

 約2時間の舞台のセリフを全部頭に叩き込まないといけないのは大変なことです。

 選ばれた演目は、よりにもよってアオイさんの中では一番難しいものでした。

 アオイさんも「ただ演じる」人ではありません。今の時代にあったように演出を変える人です。

 どんな舞台になるのか、わたしも楽しみでなりませんでした。

 アオイさんは同時に生放送の番組もやっていて、ちょうど舞台の3日前ぐらいにも番組がありました。

 番組内のアオイさんは誰がどうみてもいつもと違う様子でした。

 番組が終わって放送される「楽屋内映像」では、アオイさんは遠い場所で台本を読んでおりました。

 そこへ、カメラ内にアシスタントの人が入ってきてぼそりと一言。

 「アオイさん、本日体調を崩されています」

 舞台、中止にしたほうがいいじゃないか……と思いました。

 いくらベテランとはいえ、約2時間の舞台を1週間でマスターすることにも無理があるし、熱でふらふらしている状態では、上演中に倒れるのではないか? だとしたら、代役をたてたほうがいいのではないのか?

 そして、舞台本番の日。

 アオイさんはいつもと変わらぬ表情で舞台にいらっしゃいました。

 代役を立てることもなく、アオイさんはいつものように舞台の上を走り回りました。

 セリフも一言も噛まず、倒れることもなく、いつものように演じていました。もちろん、過去の作品といいながらもアレンジを加えて。

 終演後、アオイさんはいつも観客にお礼をいって回るのですがその日もいつものように観客と接していました。

 「もう体調は直ったのかな?」とわたしはその時までおもっていたのですが、「アオイさん、大丈夫なんですか?」と聞くと「実はまだ熱があるんだ」と平気な顔で答えてくださりました。

 いや、それは平気な顔でいうセリフじゃない、というかさっさと帰って寝てくださいと言おうとしたわたしに、アオイさんはにこりと笑って「見に来てくれてありがとう」と一言。

◆アオイさんから学ぶ仕事論

 その時のアオイさんの姿は、「舞台俳優」「脚本家」「演出家」というものを越えて「仕事人」として見えました。

 アオイさんのお仕事は「目の前のお客様に自分の最高の舞台を見せる」ことです。

 「お客様を大切にする」こと。

 「自分の芸を妥協しない」こと。

 「目の前の舞台1つひとつに真剣に取り組む」こと。

 例え、それがどんなに過酷な状況であっても。

 もちろん、体調の悪い時はしっかりと休んでほしいし休むべきであるとは思いますが(注:アオイさんは前述の舞台の後、休養をとり回復しました)。

 アオイさんは耐え抜きました。

 きっとアオイさんは知っているのだと思います。自分の舞台のために、「何カ月も前から予定をあけてくれているお客様」「遠くからわざわざ足を運んでくれるお客様」「チケットを徹夜でとってくれたお客様」、こんな苦労をしている人たちがいることを。

 そういう人たちを追い返したくない。自分の舞台を見てくれるお客様を大切にしたい。

 アオイさんは、

 「仕事をするということは背景をよく読むことなんだよ」

ということを教えてくださいました。

◆しかし、わたしはアオイさんとは違う職業

 わたしは「舞台俳優」「脚本家」「演出家」いずれにも該当しません。

 アオイさんとわたしでは職業はまったく違うので見習うべき場所というものはもちろん違ってはきますが、自分が仕事をすることで「人に与える影響」を知ることは重要ではないのでしょうか。

 自分にかかっている期待や答えるべき声を知って、それをすべて理解したうえで自分の取るべき行動を考える。

 どうすれば最善か、どうすればより多くの人を満足させることができるのか。

 わたしはアオイさんのように完璧にはふるまえません。まだ他の人がなにを自分に期待しているかが分からないからです。

◆では、自分はどうすればこの業界でアオイさんになれる?

 わたしがこの業界でアオイさんのような仕事人になろうと思ったら、まずは自分の背景を知るところからはじめなければなりません。

 実のところ、わたしは自分の状況をよくつかんでいません。

 特定派遣というところまでは理解できたのですが、それを考えると「自社からの期待」「派遣先からの期待」、双方向から考えなくてはならないからです。考えている間に頭が暴走してきます。

 とてもじゃないですが、ここから先の文章でまとめられる自信がありません。それにそれを書いてしまうとお題からはずれてしまいます。

 やれ、アオイさんに近づくにはまだまだ修行が足りないですね。

◆好きです

 アオイさんは今も舞台に立ち続けています。わたしも時々見に行っているのですが、やはり真剣に世界をつくりだしています。

 終演後に時々お話しをさせていただくのですが、「やっぱり試行錯誤だよ」とおっしゃいます。

 アオイさんも悩みながら頑張っているのだから、自分も試行錯誤でいいのではないのかな? と思います。

 いつか、誰かに「森姫さんはアオイさんみたいな仕事人だよね」といっていただけるように日々成長していきたいものですね。

 ※注意:アオイさんは実在する人物ですが、都合上仮名とさせていただいております。

あとがき

いつもコラムにコメントをくださる皆様、ありがとうございます。お返事できなくて申し訳ございません。しかし、しっかりと読んでおりますのでこれからもよろしくお願いいたします。 by 森姫

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