髪盛ってるから森姫

泣きながらプログラミングをした1週間

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◆熱い夏のセミナーのご案内がやってくる

 季節は夏。思えばプログラマがテストエンジニアとなってしまって1年が経過しようとしておりました。日曜プログラマどころか、半年プログラマになってしまった自分がそこにいました。

 しかし、日々は平和です。そんな平和なある日、知り合いから「こんなセミナーがあるよ」とプログラマ向けのあるセミナーを紹介してもらいました。

 場所は最悪ですが、チューターがとても豪華すぎました。業界では名の知れた方々がいっぱい。

 「絶対に行かないと一生後悔する」とすら思いました。

 しかし、募集要項には以下の2点が必要と書かれておりました。

  • テクニカルな内容のブログを持っていること
  • Androidアプリ開発経験があること

 もちろんですが両方とも満たしておらず、わたしには参加資格がありませんでした。

◆あきらめるその前に

 募集要項を見たときから、締切までは1週間ありました。

 逆にいえば、1週間あるのです。

 わたしはこう思いました。

 「1週間で参加資格を満たせば参加できる!!」

 しかしセミナーの定員はかなりの少人数。

 参加資格を満たしたところで、必ずしも参加できるわけではないのです。

 そもそも、1週間で身につけられる技術なんてたかが知れています。仮に参加できたとしても、レベル的についていけなくて悲しい思いをするだけ。やめておけばいいのに……という声も聞こえてきました。

 そこを「だからなんだ!!」とひっくり返して、わたしの長い1週間ははじまりました。

 「最初からあきらめるより、なにか努力して砕け散った方がよっぽどマシだ!!」

◆1日目:ひどい風邪にうなされる

 朝起きたら熱が38度以上ありました。

 それでも何とかプログラミングをしようとしたのですが、eclipseをたちあげた瞬間にパソコンではなくわたしの頭が固まってしまいました。

 熱暴走というやつです。その日は諦めて寝ることにしました。

 撃沈。

◆2日目:仕事の打ち合わせが長引いて帰れない

 熱は下がらぬまま、仕事を休むわけにもいかなかったので仕事に行きました。

 しかし、打ち合わせが長引き、なかなか帰れず。

 帰宅したら23時で熱は上がりっぱなし。耐えきれず寝て過ごしました。作業できる体ではないです。

◆3日目:ブランクという壁

 これでも1年前まではバリバリにVB書いてたんだ!! Androidプログラミングなんてお手のものだぜ!!今に見てろ!! 2時間で仕上げてやる……。

 そう思ってeclipseを立ち上げたのはいいのですが……

 「……プロジェクトの作成ってどうやるんだっけ?」と頭に「?」がたくさん浮かんでしまい、Google先生に聞きながら行う始末。

 待て待て、これだけ右も左も分からない状態というのは、相当まずいのではないか!?

 その日は昔組んだプログラムを読んで理解し、なんとか応用したものを作成するまでで時間が終わってしまいました。3時ぐらいまで、うなされながらプログラミングをしました。

◆4日目:小難しい利用規約との戦い

 少ない時間を縫って何とか「Yahoo! ニュースを検索するアプリ」を作成しました。

 ちなみに、この日は風邪も治っておらず37.5度ありました。

 フラフラでもう、利用規約なんて読む頭はありません。斜め読みしていると、利用規約にはかなりうるさいことが書いてありました。しかし、これを守らないとアプリになりません。

 「……あぁ、もう分からーん!! 利用規約のいらないアプリを作った方が早い!!」ということで方向修正。

 すでに1週間は半分すぎていたので涙目。涙目というかすでに泣いていました。

◆5日目:休日出勤を命じられて絶望する

 「土曜日と日曜日があるからなんとかなるや」と思っていたのですが、納期の都合上、休日出勤。

 しかも忙しくてなかなか帰宅できず。忙しいので熱は上がる一方。

 ふらふらしながら、また夜中に帰宅して……なんとか明日は休みだ!!

 コーディングは無理そうなので、どんなアプリを実装するのか考えて寝ました。そして正直になりました。

 「なんでわたしはこんなに一生懸命になっているだろう」

 涙が出てきました。

 こんなひどい風邪の中、強行スケジュールになってまで、そんなにセミナーに参加したいの? そもそも、アプリとブログを作ったところで参加できるとは限らないのに……(セミナー、この時点で定員の3倍になっておりました)。

 「もう、体調悪いのだから寝て過ごせよ」という声が聞こえます。

 何度も何度も泣きながら自答しました。

 そして何度も「もうやめよう」と思いました。

 しかし、最終的に思ったのが「女である以上、やるといったからにはやる!!」でした。

 何かのプライドがわたしの中にあったらしく、わたしは決してあきらめませんでした。

◆6日目:文字通り泣きながらプログラミングした

 この日の熱、相変わらず38度。咳も嫌というほど出ます。

 しかし、わたしはやってのけました。

 「絶対、アプリを作る!! マーケットに出すところまでやる!!」

 風邪でもうろうとする意識の中、泣きながらやりました。

 作成したアプリは「デバイスのログを取得してSDに保存する」というシンプルなアプリでした。

 5時間かけてプログラミングを行い、慣れない手つきでアイコンを作成し、電話番号の罠にひっかかりながら、マーケットに登録。

 自分のケータイ(Ht-03A)から確認して、さらにAndroidマーケットをいちいちリークしているサイトを確認して……ちゃんとできた!!

◆7日目:報告する

 昨日で晴れて参加資格を満たしたので主催者の方に作成したブログとアプリを提出しました。

 こうして、わたしの(主に風邪でうなされた)長い1週間は終わりました。

 とはいえ、流れでアプリをリリースしてしまったのでこれからメンテナンスをしていかなければなりません。

 これは何かの始まりである1週間であったような気がしました。

 正直なところ、1年もプログラミングとは無縁の場所で仕事をしていたため、もうプログラマのようなことはできないと思っていました。

 しかし、死ぬ気になって、泣きながらでもできました。

 まだ、まだ大丈夫……。まだプログラマに戻れる。そんな気持ちになりました。

◆泣きながらプログラミングした結果

 長く風邪が続いたわけは実は百日咳でした……(後日ちゃんと病院に行きました)。

 そしてセミナーには無事に参加することができ、ついていけたのかは別問題として楽しく過ごせました。

 非常に長い1週間でした。

 同時に、自分の情熱ややる気を確かめられるいい機会になりました。

 この経験を通じて、体調管理の大切さと自分の中にまだ「プログラミングに対しての情熱」があったことに気がつきました。

◆好きです

 すごく苦労しましたが、やはりプログラミングが好きなのです。

 何度も何度もやめようと思いながら、やめなかった。それは愛があればこそ、だと。

 まだ、プログラミングへの愛があるうちは大丈夫。

 いつか必ず、プログラマに戻ってみせる。そんな決意をした夏の始まりでした。

お知らせ

本コラムは本日(7/13)で1年を迎えました。読んでくださるすべての人にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。by森姫

Comment(2)

コメント

第3バイオリン

森姫さん

第3バイオリンです。

Twitterでも大変そうなのは見て取れましたが、
壮絶な1週間だったのですね…。

壮絶ながらも、いろいろな意味で自分を試す機会になったのですね。
セミナーにも参加することができて何よりです。

でも、体調には気をつけてくださいね。
自分の体が一番大切ですよ!

はじめまして。早来都と申します。
陰ながらいつも楽しく読ませていただいております。

…えらい!

ですよねー。好きですよね、プログラミング。
新3Kとか言われるし実際そうなんですが、何故かやめられないんですよね。

何かを作り出すとか、さらに高みを目指すとか。
言葉でカッコよく言えばそうなんでしょうが、…なんかね、そう、愛。

こりゃ本物だ、とニヤリが止まらずコメント書いてます。
セミナーにもちゃんと行けて良かったですね。お疲れ様でした。

まあ、お疲れさまでした、って終わらないのがこの業界ですが。
でもやめられないのが愛の為せる業。

これからも体壊さないぎりぎりで、気合い入れて突っ込んでってください。
このコラム読んでると、こっちも気合い入ります。良い!

あ、でもほんとに体は大事にしてくださいね。
身体壊したらプログラムもできませんよ。実際に苦労してる人が言うから間違いない。

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