『アットマーク・マキアート物語』 第2話:新宿メガネ
2009年9月19日~23日 毎日昼14時 O.A! 株式会社マキアートの新人が、コーヒー片手に旅したIT業界のお話。
★ ☆ ★
■ 新宿メガネ
1カ月も同じ土地にいたら、近所の有名ラーメン店が空いている時間ぐらいわかるようになります。
そんなわけで空いている時間を見計らってホープでラーメンをいただきました。テレビの噂どおり、おいしかったのですが、胃が弱いためパンチがよく効きました。
「お腹がいたいー!!」
しかし、無情にも今日は月曜日。今日から赤坂ではないところにいかなくてはなりません。無駄に長い都会の電車に揺られて、胃も揺られてわたしは新宿へと行きました。
新宿東口といえばALTAです。新宿といえばALTAです。しかし、わたしの目的地は西口でした。突如として「西口」が「中央西口」にかわる不思議な駅を乗り越えて、なんとかわたしは新宿西口の徒歩5分にある納品先にたどりつきました。
「株式会社マキアートの森村です!」
通されたフロアにはメガネをかけた人しかいませんでした。というのはちょっと語弊があります。
メガネをかけた人が9割! 圧倒的なメガネ率、そしてほぼ男性!!(女性は希少価値)
「赤坂がエプロンなら……なんだろ?」
結局、そんな納品先の人たちの名称はわたしの心の中では「新宿メガネ」になりました。
本当、コンタクトの上からメガネでもしてるんじゃないのか? というぐらいメガネ率が高いです。どうでもいいですが、モニタと顔がくっつきそうなぐらい近いし!! だから目が悪くなるんだよ!! とでも罵りたい。
「君が、マキアートの人?」
リーダーらしき人にはなしかけられましたが、やっぱりこの人もメガネでした。新宿メガネ店、店長とでもいいましょうか。
「遠いところからありがとう。この製品がないと作業がすすめられなかったから助かったよ」
あ、なんかいい人だ。エプロンも最終的にはいい人だったけど、メガネ店長は最初からいい人みたいです。これは楽に仕事が終わりそうだなぁ……にやにや。
にやにやしているのもつかの間、その表情が真っ青になるのは時間の問題でした。
「リーダー、この人ですか?」
メガネ店、副店長がやってきました。
「そうだよ。あ、この人ね、サブリーダーの壱場さん」
壱場って……まさしくメガネじゃん(眼鏡市場)。
「……見た感じ若いね。君、開発経験何年?」
「え? あの……わたしは納品をするために来たものでございまして……」
そういえば、わたしの役割って何だろ? 肩書って何? 納品? 保守? 運用?
頭の中が「?」でいっぱいになっていることは関係なく、副店長は続けました。
「ないってことか」
「はい」
「マキアートの新人ねぇ……。へぇ……」
さらにメガネ店員がやってきました。
「壱場さん、データの統計がでました」
「ちょっと見せて」
エクセルでつくられたらしきその書類をみながら副店長は厳しい顔になりました。
「このソフト、言語何で作られてるの?」
「えーっと……」
作成言語なんて知るわけないじゃん! とも言えないのでお茶を濁しておりました。
「たぶん、これJavaだと思うんだけど、やたら遅くない?」
「は?」
「検索の処理がちょっとおかしいと思うんだけど」
「ここ、この画面との親子関係になってるけど、正しいの?」
「単純な文字列の連結だと思うんだけど、遅くない?」
「処理中に操作できるみたいだけど、画面制御かけてないの?」
「こことここ、JA」
ぴー!! わたしのメーターがふりきれました。目の前がいきなり曇った感じです。もうそれ以上、メガネ副店長がなにをいっているかわからなくなりました。
「新人ちゃん、聞いてるの?」
「え? あぁ、はい……。えーっと、処理が親子関係で文字列Javaですよね」
「……君、1カ月ここにいるんでしょ? 保守契約あるから」
「わたしは動作がおかしくなったときにヘルプとしているわけでありまして」
「せっかくだから、お勉強して帰ろうよ。大丈夫、こんなのロジックが予想付くからバグの出る箇所ぐらいわかるから。それ直す勉強しよう!」
「はい!?」
「うちの会社って主にプログラムの開発が仕事なんだよ」
メガネ店長こと和親さんにつれていかれたコーヒーショップで、カプチーノを飲みながらわたしはこのメガネ会社がプログラム開発の会社だということを知りました。
「だから壱場くんもついつい他社製品のロジックがきになるみたいでね」
聞くところによると、壱場さんは開発5年目のバリバリのプログラマだそうです。
「どうしても動きや速度が気になるんだよ。これ、プログラマの性というか」
「は、はぁ……」
プログラマってそんな感じなの!? それとも副店長が特殊なの!?
そうしてわたしは保守もそこそこに、みっちり1カ月お勉強でした。
★ ☆ ★
「そんなわけで、うちのソフトはどうみても遅いです」
「君は1カ月でずいぶん論理的になったね……」
「壱場さんと協力して問題点をだしました。メールしますね」
「……いらない」
がちゃん! 固定電話をがちゃんと切る上司の癖も問題点としてメールで書いておこうと思う。
「最終日おつかれ!!はいこれ、お土産!」
壱場さんは最終日に2冊の本をくださいました。オブジェクト指向についてかかれた本と、Javaの教本でした。
「がんばって!!」と、握手。
メガネ副店長はいい人でした。
「IT業界なら、プログラムのお勉強はしておいたほうがいいよ」
店長こと和親さんもそう言ってくださり、1カ月プログラマの泥臭いところをわかったというかそんな感じでした。
「で、君って何する人なの?」
自分の仕事が見えないまま、次の納品先にいくことになりました。
■次回予告:
「じゃ、本番いきまーす!!」
「ほら、早く変えて!」
「はい!!」
「今、3カメだから!!」
「はい!!」
なぜか放送局のアシスタントをやることに。保守業務はそっちのけ! ! 次回「渋谷マイク」、9月21日(月)昼14時放送!
コメント
インドリ
>「どうしても動きや速度が気になるんだよ。これ、プログラマの性というか」
実はこれ、正しいです。
私も何でも気になります。
そんな私は勿論「め・が・ね」です♪
今回も面白かったです♪
明日も楽しみです。
組長
ワーイ、ワーイ、第2話だー★
>壱場って……まさしくメガネじゃん(眼鏡市場)。
思わず吹きました。笑
良いなぁ、私もみっちりプログラミングの基礎を誰かに教えてもらいたいです。
>「で、君って何する人なの?」
私は職業について尋ねられたら、今は合コンだと「受付嬢」と答え(笑)、通常の場合は「パソコンと、パソコンを使う人々の面倒を見る仕事」と答えてます。
明日も楽しみですー★
森姫
インドリさん
動きって気になりますよね。
実際にモデルになった方も動きが気になってしょうがないようでした。
その方も「め・が・ね」なんですよ!!(笑)
組長さん
いらない裏話ですけど。「和真」ってメガネ屋もあります。
ちなみに書類もってきた人の名前は「三木」さん。みんなメガネ!!(笑)
職業について主人公の森村さんがどうなっていくのかは今後に期待してください~。
森姫
第二話解説
*このお話は全体的に実体験をもとにしたフィクションです。
プログラマの人って基本的に「教えるの大好き!!」なんですよね。
ただし、話に出てくるような能動的な人は少ないです。
「聞かれたら答える」感じですかね。
でも、聞かれたらそれはそれは嬉しそうに目を輝かせて答えてくれるんですよね。
もう、技術関係のお話大好き★みたいな。
ちなみにモデルになったのは当時の先輩ですね。
入社したての私が「プログラムちょっとできます!!」といったとたんに
質問攻めにされて「ぴー!!」な状態になりました(笑)
そしてみっちり教育。で、今の私がある・・・と。