プログラマがテストエンジニアになっちゃって
◆梅雨の季節
雨がしとしと降る季節です。髪も巻きづらい梅雨の季節です。このコラムを執筆中の現在、まだAndroid最前線が連載真っただ中で、実は+αの部分の原稿を途中までしか書いていないので書かないといけないのですが、身に降りかかった不幸をネタにしたくて書いています。さて、雨といっしょに降りかかった不幸を書きます。プログラマとしての危機!? がやってきました。
◆プロジェクトは突然に
梅雨がそろそろ開けそうな西日本です。梅雨明けと同時に、わたしがいま携わっているプロジェクトも終わりを迎えそうで、いよいよ次のプロジェクトのスケジュールが組まれておりました。
わたしはそんなおえらい立場ではないので、自分でスケジュールを組めるなんてことはありません。上流工程に携わっているお偉い諸先輩方が、頑張って「あれはこうで……」といいながらスケジュールは構成されます。その間、製造が終わり、テストだけになったプロジェクトで、あれこれやっているのがわたしです。
相変わらずテストをこなしているわたしが、ある日会議室に呼ばれました。呼ばれたのはわたしだけじゃなくて、システムに携わる全員です。行った会議室で配られたのが
「次期プロジェクトスケジュール・役割分担表」
でした。もうそんな季節か……と思いながらスケジュールを見ました。
2月までひっぱってありました。そして役割分担。まさかこの役割分担表をみてドラマのように紙を床に落とすことがおきるなんて……。
◆開発・森姫じゃない!!
たしか入社するときには「開発希望」といっていたんですよ。「プログラマになりたいです!!」といいました。実際そういうこともいっぱいやらせてもらいました。現にいまのプロジェクトでは開発バリバリにやっているので、次期プロジェクトは言語が違えども開発をやらせてくれると思ったのです。思ったというか、そう思い込んでいました。
が、表題にもあるとおり……開発の人員の中に、わたしの名前はいっさいありませんでした。
愕然としました。先輩・後輩の名前はちゃんとあるのです。も、もしかして……
これは遠まわしなクビ宣告!?できれば「忘れられてただけ」にされたいです。慌ててスケジュール表をよくみました。よくよくみたら、下の方に名前がありました。
開発より先のフェーズに名前が!!よかった、クビじゃない!! 嬉しさもそこそこ、役割欄に目を向けると……
「結合テスト・総合テスト」
え? プログラマからテストエンジニアになっちゃったの? わたし??
◆好きです。
テストという作業は、本当に大切で、ここを逃すと納品先でバグしか出ないことはわかっております。ある種、このフェーズでプロジェクトの命運をわけるといいましょうか。納品先でトラブルが出たら、「テストが悪い!!」で責任を一番押し付けられるのもこの立場です。
重要なフェーズを任された。それはわかってるんですが……。
せめて、同時に走っているプロジェクトで開発を、と思ったら、やっぱりテスト欄に名前がありました。8月以降はずっとテスト作業みたいです。
でも、私がやりたいのは開発なんです!! プログラミングなんです!!
VBからJAVAに行っても文句はいいません。むしろ喜んでいきます!! ぐらいの姿勢だったのに、急に仕事に対して絶望がやってきてこっそりベランダで泣きました。「開発希望」で入社して、ちょうど3年目になる8月でした。
◆白い封筒とにらめっこの数日
思えば、入社してプログラマでいられたのは1年も満たない期間でした。なにをしていたのかいうと、某社に出向してずーっとテスト作業。テスト以外のことは資料はもらいましたが、実際にやらせてもらうことはできず(忙しいので)。
派遣切りがニュースになったころに出向がお取り壊しになり、自社に戻ってからはしばらくテストエンジニアで、ここ3カ月でようやく開発をやらせてもらうようになった……と思った矢先にこれです。誤解を招かないように書いておきますが、決してテストエンジニアを開発よりも甘く見ているわけではありません。ただ、プログラマとして「戦力外通知」を食らったのがとても悔しいところなのです。
やりたいことができない。
やりたいことを伝えているのに、いつまでたってもやらせてもらえない。
この会社にいるといつまでたってもテストエンジニアである気がする。
プログラミングをやらせてもらえない気がする。
わたしは基本的にネガティブなんです。悪い方向に、悪い方向にと考えてしまいます。ちょうど会社でいざこざがあって、会社にいるのも苦痛で本当に「退職届」と書いた白い封筒を出すか出さないかで数日考えていました。
◆そういうのは、青い鳥症候群
「自分にはもっと開発をやらせてもらえる職場が必要だ!!」
と、昔のわたしならまっ先に白い封筒を躊躇わずに出していました。
年齢を重ねてきて、いろんな職場を経験して、同じような境遇の人の話を聞いて、ようやく「働くっていうのは必ずしも自分の希望通りにいくとは限らない」というのが分かってきました。
以前のコラムでも書きましたが、「かっこいいだけじゃ仕事はできない」のです。
まさしく自分が「青い鳥症候群」になっていたのを実感して、わたしは白い封筒を捨てました。
この業界で生きて行くには、理想だけじゃだめなんだ。
◆じゃあ、開発になるには?
どうすればいいの? ということです。現実を受け止めるのも大切ですが、理想をかなえるのも大切です。
「実力を形にして認めてもらう」しかないのです。悲しいことに。
努力に努力を重ねて自分の生きたい道を会社に示すしかない、と。
「森姫はテストエンジニアとしても、プログラマとしてもいける!!」と会社に思わせるようになにかしらアクションをせねばいかんのです。
具体的にどうすればいいのか?
プログラマとして……というのなら、資格を取るなり、なにか役に立つようなものを作ってみるとかいろいろあります。まだスキルは全然足りてないんですけどね……。
◆ここまで書いた矢先にさらに危機がやってきました
「よし!じゃあテストエンジニアになってもプログラミングを続けていずれはいろんな人から認めてもらおう!!」と決意してそれを書こうとした矢先の出来事です。
営業さんから「森姫さ~ん、某社に出向してくださ~い」
……え?
ま、ま、ま、またですか!? マジですか!?
「出向宣告」は突然にふってくるものなのですね。世の中の厳しさを実感。ちなみに、出向先での作業は、
「テスト作業」
です。
話をもってきた営業さん、やっぱりこのご時世だから相当ご苦労なさったんでしょうね。超笑顔でした。
「Aye, aye, sir」
やや力なく答えました。
さて、自社じゃなくて出向先でプログラマになるには、どうアピールする?
……というのを次回、皆さんから意見を募ってみたりなんかしちゃおうかな~? と思ってます。