@IT メールマガジン「@IT通信」に載ったアイティメディア社員のコラムを紹介します。

谷に古いに宇宙の宇

»

 2002年5月29日の「@IT通信」に掲載したコラムを紹介します。編集部員かねたけは、「お金の“金”に武士の“武”」と説明しています。「かねしろ」「かねぶ」「きんべ」と呼ばれたら、たぶん全部振り向きます。

■□■

 こんにちは。谷古宇です。ヤコウと読みます。およそ1週間前に入社したばかりです。

 さて、わたしは電話で自分の苗字を説明するのがとても面倒だと思っています。あまりにも頻繁に説明をしなければならないのです。故にフォーマットを作って随時対応することにしています。「谷(たに)にふるい(古い)に宇宙(うちゅう)の宇(う)です」と。

 取材時だと先方の90%の方は、名前を聞いた後にわたしの出身地を聞いてきます。このときにもフォーマットを作り対応しています。「埼玉県の三郷(みさと)というところです。ホラ、常磐道のインターチェンジがあるところです」。こういうと大抵の人が「ああ、なるほど」と納得した顔をしてくれます。

 いままで、何回このような説明をしたか分かりません。いまでも会見案内の宛名に「谷古」や「谷古宙」や「ヤフブ」などさまざまな誤解に満ちた名字が書かれてくるので、啓蒙活動は怠らないようにしなければならないと思っています。

 @ITにくる前は、とあるIT業界紙の記者をしていました。夜討ち、朝駆けもやりました。記者クラブには入っていませんでしたが、記者クラブでくつろいだことはあります。朝の記者クラブはサービスの行き届いた喫茶店みたいなものだと思いました。

 取材ターゲットは企業の偉い方々でした。つまり経営戦略が取材の主眼だったわけです。誰が退任し、誰が就任するのか? どの企業がどの企業と合併し、はたまた吸収するのか? そういうことです。決算期には決算書の山とにらみ合う日が続きました。

 同じIT業界にいたとはいえ、切り口が違うと世界の見え方はまったく違ってきます。@ITから眺めたIT業界の動向は、これまでとは違うミクロな世界だと捉えています。ミクロとはいえ、世界そのものが狭まったわけではないのが不思議ですね。IT業界の底深さというか、そこから世界の在り方の多様さというスケールの大きな感慨を実感しているところです。
           

 (編集局:谷古宇浩司)*当時
Comment(0)

コメント

コメントを投稿する