@IT メールマガジン「@IT通信」に載ったアイティメディア社員のコラムを紹介します。

非技術者にお薦めする、現在を生きるための方法論:XP

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 2002年6月26日の「@IT通信」に掲載したコラムを紹介します。編集者のお仕事にも、XPの理論はすごく有効だと思います。皆でエクストリーム!

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 僕は@ITでアンケート調査などを担当していますが、調査設問を作るときに煮詰まると、参考書(ネタ本)としてIT関連書籍を買いに行きます。

 といっても、何が書いてあるかなんて分からないまま、ボキャブラリだけ仕入れるという激しく不毛な読書体験が99%を占めるわけですが、たまには読んでいて熱くなる本に出合ったりすることもあります。今日はそんな1冊、XPこと『XPエクストリーム・プログラミング入門 ソフトウェア開発の究極の手法』について書いてみます。

 ※僕にはオブジェクト指向のAgileな開発プロセスを語る素養も資格もないので、その辺のお話にご興味ある方は、ぜひ@IT Development Styleコーナー(編注:現在は「アーキテクチャ」に移行)をご覧ください。

 XP入門は、その名のとおりソフトウェア開発者のために書かれた本ですが、僕のような事務屋が読んでも、なぜか自分のために書かれているような気がしてくる不思議な魅力を持っています。それは何でだろなあと手元の本を眺めなおすと、こんな一文に出くわします。

“すべてのものは変化する。要求は変化する。設計は変化する。ビジネスは変化する。テクノロジは変化する。(中略)変化自体は問題ではない。変化は起こりうるものだ。問題は変化が起きたときに対処できないことだ”

 これは、本書のクールな副題“Embrace Change:変化を抱きしめよう”の背景となる(たぶん)個所だけど、「すべては変化する」というこの基本認識は、ソフトウェア開発者にだけ当てはまるものではないでしょう。

 非定型な業務に携わっていれば、先が見えないから不安になる。それを避けるために念入りな計画を立てても、どこかで変化が生じてストレスフルな状態に陥る。変化をコントロールできないことによるこうしたトラブルは、家事分担から銀行合併にいたるまで、いまどき渡世のあらゆる場面に見られる現象ではないでしょうか?

 著者のケント・ベックは、変化を必然のものとして受け入れて対処するために、「コミュニケーション」「シンプル」「フィードバック」「勇気」という4つの価値を示しています。これらはすべて著者のプログラミング体験から導かれたものですが、その成果をテクニカルタームに閉じ込めず、現在に生きる僕らが等しく共感できるまで昇華させた点こそ、本書の魅力の源泉といえるでしょう。

 「がんばっているのに、なぜか万事うまく回らない」

 そんなときに、現状打破のヒントをくれる1冊だと思います。

 ケント・ベック著『XPエクストリーム・プログラミング入門』ピアソン・エデュケーション、2000年。

 (@ITマーケティングサービス担当:小柴豊)*当時
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