@IT メールマガジン「@IT通信」に載ったアイティメディア社員のコラムを紹介します。

ソフトウェア業の空洞化とITエンジニアとロシア戦

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 2002年7月10日の「@IT通信」に掲載したコラムを紹介します。「これからの日本は何で食っていけばいいですかねぇ」、このつぶやきは2010年でもあちこちで聞く言葉です。

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 @ITジョブエージェント担当の小林です。先日、ある会合に出席しました。その日は折しもFIFA W杯の日本-ロシア戦の日。テレビがないアットマーク・アイティ(貧しい!)では、平日のTV観戦は望むべくもなく、唯一日曜日に開催された日本戦は「絶対逃すまい」とそわそわとしていました。

 “さて、そろそろ帰ればキックオフには間に合うわい”と思っていた矢先、同席していた大手ハードベンダのAさんが「この前、中国に行ってきまして」と話かけるではありませんか。“おいおい海外出張話はどうでもいいから、俺に稲本を応援させてくれい”と心の中で叫びつつも、メディア所属の悲しい性、「おっ、いよいよ中国進出ですか」と上の空で返事しました。

 ところが、Aさんが語ってくれた中国の現状は興味深いものでした。視察した会社は、システム開発の下流工程を受託する会社だそうですが、所属エンジニアの待遇と上昇志向の高さに驚いたそうです。まず、ポジションが1つ上がるたびに、アパートがマンションに、マンションが一戸建てにと、目に見えて生活環境が改善されていくとのこと。

 彼らは日本の下請けに甘んじるつもりはなく、いずれは米国で働くことを、夢ではなく具体的に考えているらしいのです。では、いまの仕事は手を抜いているかというとそうでもなく、“日本の仕事は日本語を学ぶチャンス、日本語は米国に行ってもキャリアアップに役立つ”と言っていたそうです。なんたるバイタリティ。

 くだんのAさん、そのような開発会社と提携でき、さぞやうれしいかと思いきや「これからの日本は何で食っていけばいいですかねぇ」とつぶやいていました。この中国の例に限らず、フレームワーク製品やCASEツールなどの普及で確実に実装工程、特にプログラマの需要(=必要人員)は減っていくトレンドなのだと思います。

 5年先のエンジニアには何が必要なのか、ロシア戦のこともすっかり忘れ、このAさんと熱い議論を戦わせました。後から聞くとこのAさん、実はゲンを担いで日本の試合は後半戦からしか見ないとのこと。どうやら時間つぶしの話題だったらしい。あやうくこのゲン担ぎに付き合わされるところでした。

(営業企画局:小林教至)*当時
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